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遊☆戯☆王デュエルモンスターズHERO’s
作:龍牙



決闘04:


(…これで、レア・ハンターの撃破数二人目か…。それと…パズルカード三枚目。)

これで計算上決勝進出に必要なカードが半分まで揃った事になる。決勝進出まであと半分と言った所だが、はっきり言って龍牙には決勝進出の意思は無い。

そもそも、考え方で言えばパズルカード三枚と言う現状は、決勝進出にほぼ王手と言う事に繋がる。

(…いや、普通に勝てないだろう…遊戯とか、海馬とか、マリクとか。)

城之内だけは勝てる可能性は有るのだろう、勝てない相手にはランクインしていないのはそのためだろうか。そもそも、その内の一人を相手にする結果は、間違いなく命懸けの危険が有るのだ。

思わず溜息を付き、目の前で繰り広げられている城之内対インセクター羽蛾の決闘デュエルに視線を移す。目の前で繰り広蹴られている本編の展開の状況を知るには文字通り『原作キャラ』の行動を見るのが一番だろう。

「『墓荒らし』のカードで相手の墓地の『殺虫剤』を奪い使用する事で相手の切札『インセクト・クィーン』を破壊…鉄の騎士ギアフリードでトドメか。」

目の前の決闘デュエルは彼の呟き通りの展開になって羽蛾のライフがゼロになる。他人ひとのデッキに自分のカードを仕込む等と言うイカサマをしてまで負ける姿ははっきり言って自業自得と言うか、天罰覿面と言うべきか?

「さて、筋書きから外れない様に離れさせて貰うか。」

城之内達に見つからない様に人込みに紛れながらその場から立ち去っていく。

(…遊戯は展開通りなら、オシリスのカードを入手するまで単独行動をしているから、心配はないけど…そろそろ、人形が動き出す時期なんだよな。)

そんな事を考えながら、公園から離れつつデッキのカードを一枚一枚確認する。太陽神ラー以外のカードならば、やり方しだいで手持ちのカードで戦う事が出来る。そう、ネオスの力なら。

(…まあ、特に原作でマリクの使った『ゴッドファイブ』とか言うコンボもネオスペーシアンなら簡単に破る事が出来るが…。あいつが遊戯を優先してくれないと色々と拙い。)

間違いなくマリクに目を付けられた現状を鑑みて、最悪の方向に進んでいく考えを振り払う様に頭を振り、再び足を進める。


???SIDE


PM1:07、尾瀬呂港(童実野町より東80キロの地点)…

そこに褐色の肌の少年がその地へと降り立つ。彼こそは『マリク=イシュタール』…グールズの首領であり、千年アイテムの一つ『千年ロッド』の現代での所持者。

そう、『海馬瀬人』と並んで『龍牙が係わり合いになりたくない原作キャラ』のトップに位置する少年である。

「お待ちしておりました、マリク様。」

倉庫の様な場所の中に作られた港に立つ黒いローブを纏った男達の一人がマリクへとそう告げる。

「準備は出来ているな。」

「はい。」

マリクの問いに一人が答える。

「これが決闘盤デュエル・ディスクです。」

「………。」

今まで決闘盤デュエル・ディスクを持ち、控えていた男がマリクへと決闘盤デュエル・ディスクを差し出す。

「へー。ワリと軽いんだね…。」

受け取った決闘盤デュエル・ディスクを持ちながらそんな感想をいい、停められているバイクへと近付いていく。

「しかし…マリク様が自らバトル・シティに出向かれるとは…。街には腕のたつレア・ハンターも待機しておりますが…。」

「ボクに言う前にまず、こいつを説得してくれないか! 『神のカード』の入った、このデッキに! フフ…。」

部下の言葉に最強の神のカードの入った自身のデッキを見せバイクに跨り、そう答える。

「それに…ジッとしていると自分が決闘者デュエリストである事を忘れてしまいそうでね。」

決闘盤デュエル・ディスクを取り付けられたバイクのエンジンを動かし、エンジン音を鳴り響かせる。

「童実野町まではここから一時間ほどの距離かと。」

「ン…。なら40分だな…。現在の二人の所在地ポイントは…………?」

「武藤遊戯はE地区イーブロック地点を西に進んでいます。緋天龍牙はA地区エーブロック地点を南に進んでいます。」

「あまり彼らを待たせて、退屈な時間を与えても可哀相だしな…。童実野町バトル・シティに到着するまで遊戯とはボクが一戦、相手してやるか…。それに龍牙には『亜神』を持つ最強のレア・ハンターをぶつけるとしよう。」

マリクの言葉に二人の部下はその表情に驚愕を浮かべる。

「人形と『あの少女』を動かすのですか!?」

「ああ…。その為に人形は二日間、街の真ン中に設置しといたんだからな。それに『彼女』はさいわいにも童実野町に住んでいるからね。」

既に『本編』からストーリーは大きく離れている事を龍牙はまだ知らない。『ネオス』と『D』のカードの他に本来なら存在しないはずのカード達の存在とそれを所持する決闘者デュエリストの存在を…。






SIED アウト

「…なんだ…なんか、物凄く嫌な予感がする…。」

適当なビルの壁に背中を預けてデッキの確認中の龍牙は…そんな事を呟いた。

自分の記憶通りのストーリーで進んでいくなら、そろそろマリクの人形が動く頃なのは予測できる。その為にオシリス対策のカードとなるカードを確認し、決闘盤デュエル・ディスクにセットしなおす。

「…原作通りの神を相手にするとしたら、これじゃあ勝率は10%って所か。」

用意しているもう一組のカードの束へと視線に向け、そのカードを使うべきかと考えるが直に頭の中からその考えを消す。

「…こっちのHEROを使うのはまだ早いか…。」

今後の切り札となる強力な効果を持った数枚のHEROのカード。だが、それを使うのはまだ早いという判断をする。

「…最悪の事態(決勝進出)までパズルカードはあと三枚か…。一歩間違えば間違いなく命懸けだからな…バトル・シティの決勝って…マリクとかラーの相手は…。」

思わず何度目かは分からない呟きを漏らしてしまう。そして、思い出すのは…つい先日…自分が童実野町ここに来た先日の『彼女』との約束。

「そう言えば…あいつと約束してたんだよな…。まさかとは思うけど…あいつまで童実野町こっちにいるんじゃないのか?」

彼女が持っているのは自分の持つ『E・HERO』のライバルである『ブラッドヒーロー』を中心とした運命の英雄『D・HERO』達…そのデッキ自身大半のカードは自分が送ったプレゼントなのだから、デッキの傾向は分かる。

(…待てよ…。オレの『E・HERO』のカードがオレしか所持していないカードだとしたら、『D・HERO』もあいつだけが持っているカードになるよな…?)

マリクの言葉を思い出しながらそんな考えを浮かべていく…。

(…もし、あいつもここに居るとしたら、あいつも狙われる可能性もある…。探した方がいいか…決勝まで進む気は無いし。)

「あの…。」

『それに時間を取られた所で決勝進出の意思は無いのだから大丈夫』と、そう結論付けて今後の活動方針を定め、歩き始めようとした時、龍牙の後ろから声が掛かる。

『またレア・ハンターか?』とも考えてしまうが、声に込められている意思が、今までの無駄に威圧的と言うか偉そうだったレア・ハンター(名無し)達と違って何処か弱々しい。

「えーと…なにか用?」

龍牙が振り向くと黒いロングヘアーの何処か気の弱そうな少女が居た。腕につけているデュエル・ディスクがなければ何処から見てもデュエリストとは分からないだろう。

「あ、はい。私とデュエルして貰えますか?」

(グールズ相手の絶対に負けられない様なデュエルが続いてたし、妙な事情無しのデュエルを楽しむのもいいよな。)

そんな事を考えて、目の前の少女に挑まれた決闘デュエルに応じる。

「ああ、いいけど。君も出場者?」

「はい。」

龍牙と少女の二人は互いに距離をとりデッキをセットしたデュエル・ディスクを起動させる。

「あ、私、『久遠くおん しずく』と言います。」

「ああ、オレは緋天龍牙。」

「はい、知っています。」

彼女…雫の言葉に何処か引っ掛る物を感じながらも、龍牙は自分の疑問に対して答えを出す事が出来なかった。

「(知ってる? オレはそんなに有名なのか?)それで、パズルカードとレアカードは何枚賭ける? 別にレアカードは無くてもいいけど…。」

「じゃあ、一枚ずつお願いします。先攻はそちらからどうぞ。」

「ああ。」

「「デュエル!!!」」


龍牙 LP4000
雫  LP4000

龍牙の手札
E・HEROフェザーマン
E・HEROクレイマン
O−オーバーソウル
ヒーローシグナル
闇の量産工場

「オレのターン、ドロー!」

ドローカード『融合回収』

(…モンスターは二枚か…なら、このカードだ。)

「E・HEROクレイマンを守備表示で召喚、カードを一枚伏せてターンエンドだ。」

龍牙のフィールド上に巨体を持つゴーレムをイメージさせるモンスター『E・HEROクレイマン』が守備体制を取り、カードが一枚伏せられる。


龍牙 LP4000
フィールド
E・HEROクレイマン 守備力2000
伏せカード一枚
ヒーローシグナル
手札4枚
E・HEROフェザーマン
O−オーバーソウル
闇の量産工場
融合回収


「私のターン、ドロー。私は…。」

雫がカードをデュエル・ディスクにセットした瞬間出現した『宝玉の原石』に対して龍牙は思わず驚きを露にしてしまう。

(なに!?)

「『宝玉獣 アメジストキャット』を攻撃表示で召喚します。」

雫のフィールドに出現したモンスターは紫水晶アメジストが埋め込まれた『宝玉獣』の一体『宝玉獣 アメジストキャット』。本来のストーリーなら、龍牙のE・HEROよりも更にこの時点では『存在していないはずのカード』なのだ。

(ちょっと待て、何で…宝玉獣がいる!?)

「アメジストキャットの効果でダイレクトアタックします。ダメージは半分ですけど。」

龍牙の驚愕を知ってか、知らずか? 彼女のフィールドに出現したアメジストキャットは龍牙のクレイマンと伏せカードを飛び越えて、龍牙にその爪を振り下ろす。

「くっ。」


龍牙 LP4000→3400


(…先手を取られたか…。しかし、この分だとあの子のデッキには宝玉神のカードまで入っているよな。……オレのE・HEROに宝玉獣、あいつが居たとしたらD・HEROまで存在するはず…まさかとは思うけど…『幻魔』まで居るんじゃないよな?)

「それから、カードを一枚伏せてターンエンドです。」


龍牙 LP3400
フィールド
E・HEROクレイマン 守備力2000
伏せカード一枚
ヒーローシグナル
手札4枚
E・HEROフェザーマン
O−オーバーソウル
闇の量産工場
融合回収

雫 LP4000
フィールド
宝玉獣 アメジストキャット 攻撃力1200
伏せカード一枚
手札4枚


「オレのターン、ドロー!」

ドローカード『E・HERO ワイルドマン』

「オレはワイルドマンを攻撃表示で召喚! そして、ワイルドマンでアメジストキャットを攻撃する!」

龍牙の攻撃宣言に応じてワイルドマンが大剣を振り上げ、雫のフィールドに在るアメジストキャットを切り裂く。

「貴方の攻撃宣言で罠カード発動『ラスト・リゾート』。」


雫 LP4000→3700


アメジストキャットが切り裂かれると同時に雫のデュエル・ディスクにフィールド魔法がセットされ、景色が古代遺跡の様な物へと一新される。

「この効果で、私のフィールド魔法『虹の古代都市−レインボー・ルイン』が発動されました。それから私の宝玉獣は破壊された時、永続魔法扱いでフィールドに残ります。」

ワイルドマンの攻撃で破壊されたアメジストキャットは雫のフィールドに紫水晶アメジストの宝玉の形で残る。

(レインボー・ルインの効果は永続魔法扱いの宝玉獣の数で増えていく、これで魔法効果でレインボー・ルインを破壊する事は出来ないか。)

「ターンエンドだ。」


龍牙 LP3400
フィールド
E・HEROクレイマン 守備力2000
E・HEROワイルドマン 攻撃力1500
伏せカード一枚
ヒーローシグナル
手札4枚
E・HEROフェザーマン
O−オーバーソウル
闇の量産工場
融合回収

雫 LP3700
フィールド
無し
伏せカード無し
宝玉獣 アメジストキャット(永続魔法扱い)
手札4枚
フィールド魔法『虹の古代都市−レインボー・ルイン』


「私のターン、ドロー。私は『宝玉獣 サファイア・ペガサス』を攻撃表示で召喚します。」

雫のフィールドに現れたサファイアの原石が砕け散り、翼にサファイアの宝石を持ち、ユニコーンの角の様にサファイアの角を持つペガサス『宝玉獣 サファイア・ペガサス』が召喚される。

「サファイア・ペガサスを効果発動します。サファイア・コーリング!」

サファイア・ペガサスの宝石の輝きに照らされ、雫のフィールドに紫水晶アメジストの宝玉の隣に黄玉トパーズの宝玉が現れる。

「それから、手札の『宝玉の導き』の魔法カードを発動します。その効果で『宝玉獣 ルビー・カーバンクル』を特殊召喚。」

サファイア・ペガサスの隣に現れた紅玉ルビーの原石が砕け散り、尻尾と尻尾にルビーを付けた可愛らしい小動物を召喚する。

「ルビー・カーバンクルの効果発動、ルビー・ハピネス!」

ルビー・カーバンクルの宝玉から放たれた光が雫のフィールドの宝玉、紫水晶アメジスト黄玉トパーズを照らした瞬間、砕け散り、アメジストキャットと黄玉トパーズをあしらった白虎の姿をしたモンスター『宝玉獣 トパーズ・タイガー』が召喚される。

「最後に魔法カード『宝玉の開放』をサファイア・ペガサスに装備します。トパーズ・タイガーでワイルドマンに、サファイア・ペガサスでクレイマンに攻撃します。」


龍牙 LP3400→2900


「罠カード『ヒーロー・シグナル』発動! 『E・HERO スパークマン』を攻撃表示で召喚!」

残る二体のモンスター、アメジストキャットとルビー・カーバンクルの攻撃から龍牙を護るように彼の前に立つ。

「じゃあ、アメジストキャットの効果でダメージを与えて、ターンエンドです。」

サファイアキャットがモンスターを飛び越え龍牙のライフを削り取る。


龍牙 LP2900→2300


龍牙 LP2300
フィールド
E・HERO スパークマン 攻撃力1600
伏せカード
無し
手札4枚
E・HEROフェザーマン
O−オーバーソウル
闇の量産工場
融合回収

雫 LP3700
フィールド
宝玉獣 サファイア・ペガサス(+『宝玉の開放』) 攻撃力1800(+800)
宝玉獣 トパーズ・タイガー 攻撃力1600
宝玉獣 アメジストキャット 攻撃力1200
宝玉獣 ルビー・カーバンクル 攻撃力300
伏せカード無し
宝玉の開放(サファイア・ペガサスに装備)
手札2枚
フィールド魔法『虹の古代都市−レインボー・ルイン』


相手フィールド上には四体の宝玉獣、それに対して自分のフィールドにはスパークマンが一体、手札のカードは三枚の魔法カードと通常モンスターが一枚程度。だが、

(いいな…この状況…。レア・ハンターとは違うこの感覚…楽しいデュエルだ。)

思わず笑みを浮かべてしまう。レア・ハンターとのデュエルとは違う楽しめる決闘デュエル、全てはそれに対しての心からの笑み。

「オレのターン、ドロー!」

ドローカード『融合』

「良し、魔法カード『O−オーバーソウル』を発動、クレイマンを特殊召喚! 更に…『融合』発動! 来い、『E・HERO サンダー・ジャイアント』!」

フィールドに戻ったクレイマンとフィールドに存在していたスパークマンの姿が重なり合い、新しい姿を作り上げる。

「サンダー・ジャイアントの特殊効果、手札を一枚捨てて…ヴェイパー・スパーク!」

サンダー・ジャイアントの打ち下ろした拳から放たれる雷がサファイア・ペガサスを宝玉へと変え、同時にコバルトの宝玉が彼女のフィールドに現れる。

「宝玉の開放の効果でデッキから永続魔法扱いで『宝玉獣 コバルトイーグル』を召喚させて頂きました。」

(これで宝玉は五つ…あとは琥珀アンバー翠玉エメラルドの二つで七つ揃うか。)

「サンダー・ジャイアントでアメジストキャットに攻撃…ボルテックス・サンダー!」

サンダー・ジャイアントの攻撃によってアメジストキャットが紫水晶アメジストの宝玉へと変わり、サファイアとコバルトの宝玉と並ぶ。


雫 LP3700→3100


「レインボー・ルインの効果で戦闘ダメージは半分になりました。」

手札のモンスターカードはフェザーマンの一枚だけ、召喚した所で壁にもならない…。なら、自分の取るべき選択肢は一つ。ターンエンドを宣言しようとして彼女へと視線を向けた時、その表情が目に止まった。

「ターンエンドの前に一つ聞いていいか?」

「? 私に答えられる事なら、いいですけど。」

「…雫さん…君は…なんでそんなに『辛そうに』にデュエルをしているんだ?」

「っ!?」

龍牙の言葉に彼女に明らかな同様が浮かぶ。

「そ、そんな事…貴方には関係ない!」

「そうだな…。でもさ、そんな誰かに強制されている様に辛そうなんだ?」

「…私は…本当は…こんな事したくない…。こんな風になんか戦いたくない…でも…彼が許してくれない!!! 貴方のカードを持っていけば開放してくれるって彼は言ってた! だから…。」

龍牙の言葉に雫は何が崩壊した様に叫ぶ。そして、龍牙には彼女の言葉に出てくる『彼』に心当りが一つだけある。

「…『マリク』か…?」

「え?」

「…君がオレにデュエルを挑んだのも、マリクの命令か?」

「…彼を知ってるの…? そうよ…だから、お願いだから…私に負けてぇ!!!」

既に龍牙のターンは彼女が話を終えた瞬間に終了している。そして、雫は叫びながらカードをデッキからドローする。














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