あるところに男の子が一人いました。
男の子は名前をペムといいました。
ペムは一人で歩いていました。
しかし、一人で歩いているととても悲しくなってきました。
ペムは泣きながら家に帰りました。
お母さんは心配しながら言いました。
「どうしたの?お腹でも痛いの?」
「違うんだ。一人だと寂しいんだ」
「それならメルも一緒に連れてってちょうだい」
「うん。わかった」
ペムは妹のメルと一緒に出かけていきました。
二人は手をつないで歩いていきました。
今度は悲しくはなりませんでした。
だけど途中まで行くと、また寂しくなってきました。
手を握っている反対側の手が寂しくなったのです。
そこでペムとメルは友達の家に行きました。
ペムとメルは友達に言いました。
「一緒に行こう。リウ」
リウは言いました。
「わかった」
メルとリウが手をつなぎました。
メルの両手が寂しくなくなりました。
すると、メルはとても幸せな気分になりました。
だけど少し歩くとリウが寂しくなってしまいました。
メルと手をつないでいる反対側の手が寂しくなったのです。
そこでペムとメルとリウはリウの友達の家に行きました。
そして、リウは友達に言いました。
「一緒に行こうよ。フウ」
フウは言いました。
「うん。わかった」
するとリウはフウに言いました。
「寂しくなるといけないから、誰か一緒に行ったほうがいいよ」
そういわれたフウはお母さんに来てもらうことにしました。
すると、フウはお母さんに言いました。
「手がね、寂しくなっちゃうといけないからね、誰かと一緒に行ったほうがいいよ」
そういわれたお母さんはペムとメルのお母さんを一緒に連れて行くことにしました。
するとフウのお母さんは、ペムとメルのお母さんに言いました。
「手が寂しくなるといけないから、誰か一緒に行ってくれる人がいたほうがいいわよ」
するとペムとメルのお母さんは道を歩いていたお姉さんに声をかけました。
「すいません。手が寂しいので一緒に行ってくれませんか」
するとお姉さんが言いました。
「いいですよ。私もちょうど寂しかったんです」
ペムとメルのお母さんはお姉さんに言いました。
「手が寂しくなるといけないから、他にも誰か一緒に来てもらったほうがいいわ。」
そして、お姉さんはベンチに座っていたおじいさんに声をかけました。
「すみません。手が寂しいんです。一緒に来てくれませんか」
するとおじいさんは言いました。
「いいですじゃ。こんなわしでも誰かを寂しさから救うことが出来るのなら喜んで」
おじいさんは喜んで手をつなぎました。
それ以上に喜んでお姉さんは手をつなぎました。
お姉さんはいいました。
「手が寂しくなるといけないので、誰か一緒に来てくれる人を探したほうがいいですよ」
そして、おじいさんはおばあさんに声をかけました。
「ばあさんや、手がな、寂しいんじゃ」
おばあさんは言いました。
「今頃何を言ってるんですか。あなたは私の大切な人なんですよ。寂しい思いにさせておくわけないじゃありませんか」
おばあさんはおじいさんの手を大切に握りました。
すると、おじいさんが言いました。
「手がな、寂しいといかんじゃろ。誰か一緒に来てくれる人はいないじゃろか」
おばあさんは急いでる人に言いました。
「一緒に来てくれませんか?寂しくってしかたがないんです」
急いでる人は言いました。
「すみません。今とても急いでいるのです」
おばあさんはまた言いました。
「そんなに急いでいたら寂しくないですか」
「そうなのです。寂しくて寂しくて、悲しくて、泣きそうになるのです」
「私もさっきまでそうでした。だけど今はさっきまでよりは寂しくありません。だけどまだ寂しいんです」
「さっきと今じゃ、どのくらい寂しくないのですか」
「悲しくて泣きたくなるくらい寂しくはないんです。だけど、寂しくてうまく笑えないんです」
「この寂しさはなくしたいし、笑せてあげたいです。だけど今とても急いでいるのです」
「なんでそんなに急いでいるんですか」
「それが何で急いでいるのかわからないのです。だけど急がないといけないのです」
おばあさんは言いました。
「それは分からないんじゃなくて、もとから無いんですよ」
急いでいる人は急ぐのをやめて言いました。
「もう寂しいのはこりごりです」
おばあさんと急いでた人が手をつなぎました
おばあさんはとても上手に笑いながら言いました。
「寂しいといけないから、誰か一緒に行ってくれる人がいたほうがいいですよ」
そうやって寂しさから逃れようと思っていたら、とてもとても多くの人がつながりました。
そうこうしているうちに、街にいる全員が手をつなぎました。
だけど、やっぱり寂しいので手をつないでいきました。
すると国にいる全員が手をつなぎました。
でも、まだ寂しいので国境にいる人が隣の国の人に言いました。
「手をつないでくれませんか。そうしてくれれば僕はあなたと友達になれると思います」
隣の国の人は言いました。
「私も前から友達になりたかったんです」
そういって二人は手をつなぎました。
二人は友達になりました。
隣の国の人は友達が出来てとても気分がいいようです。
だけど、まだ少し寂しさが残っていることに気づきました。
そこで、隣の国の人は近くにいた人にいいました。
「さっき友達が出来たんです。とてもうれしかったんです。そしてもう一度うれしい体験が出来るかもしれないんです。あなたも友達になってくれませんか?」
隣の国の人は近くにいた人に手を差しだしました。
近くにいた人は手を握りました。
二人は友達になりました。
そして次々と手がつながっていきました。
とうとう隣の国の全員が手をつなぎました。
それでも寂しいのでどんどんと手はつながっていきます。
ある人がある人に言いました。
「一緒になってくれませんか?そうすれば寂しさから解放されると思うんです」
するとある人は答えました。
「一緒になるって言ったって、あなたと僕とじゃまるきし違うじゃないか。違うものが一緒になれるはずがないよ」
ある人は言いました。
「そんなことない。違うからこそ一緒になれることもあるんだよ。それに、まだやってもいないのにあきらめるなんて寂しいじゃないか」
ある人は言いました。
「それもそうだ。私は間違っていた。だからいつまでたっても寂しかったんだ」
ある人はまったく違うある人の手を握ってみました。
ある人とある人は一緒になりました。
ある人は寂しさから解放されました。
それでももう一人のある人はまだ寂しいのでどんどん手をつないでいきました。
それでもペムは寂しいままでした。
いっこうにメルとつながっている逆の手が冷たいままでした。
ペムは待ち続けました。
だけどいっこうに手は寂しいままでした。
一体どのくらい待ったのでしょう。
一体どれくらいたったのでしょう。
もうこの手を包んでくれる暖かいぬくもりはないのかもしれない。
そう思ったそのときです。
遠くのほうから、片手を伸ばしてやってくる人がいました。
その人のもう片方の手にはたくさんの人がつながっていました。
それはどこまでも遠くまでつながっていました。
そして片手を伸ばしてやってきた人がペムのまえにやってきて言いました。
「どうして泣いてるんだい?寂しいのかい?」
ペムは答えました。
「違うんだ。うれしくってうれしくってしかたがないんだ」
ペムは続けて言いました。
「目の前が涙の海でゆがんでる。君がどんな人なのかわからない。だけどすごく安心するんだ」
そういってペムは寂しい手を差し出しました。
遠くから来た人も寂しい手を差し出しました。
寂しい手が寂しい手を包み込みました。
すると寂しい手が優しくて暖かくて幸せな手になりました。
こうしてみんなが優しくて暖かくて幸せな手になりました。
こうして寂しい手はなくなりました。
みんながみんなを幸せにしました。
みんながみんな上手に笑うようになりました。
みんながみんな友達になりました。
みんながみんな大切な人になりました。
みんながみんなつながりました。
おおきなおおきな輪が出来ました。
どこまでも長くどこまでも丈夫な輪が出来ました。
でっかいでっかい輪が出来ました。
終わりもない。
始まりもない。
たった一つの輪が出来ました。
代わりなんてものがない。
唯一無二の。
絶対になくならない。
永久不滅の。
おおきな
おおきな
でっかい
でっかい
ペムの輪っかが
出来ました。
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