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神の殺し方
作:館波実笠



第9話「目的」



「さぁて、トルーパーの配置はいいかね、ジェシカ?」
 やる気のない声に反して、気合を入れるかのように軍帽をかぶり直すゼイン。横では彼の部下兼秘書のジェシカ・トルクマンがヘッドセットに向かって指示を飛ばしていた。
 二人は日中にこの街『リンレイベル』へ到着し、アイゼントルーパーを配置、侵入者の調査までを行っていた。
 塔のすぐ近く、公園の内部に作戦本部テントを展開し、そこに何人もの軍人を配置した。
「内部に配置したトルーパーは全機通信が途絶えました。……本当にエミネ・クラックス単独での仕業でしょうか?」
「そうだなぁ……」
 ゼインは無精ひげの浮かんできた顎を撫でる。
 エミネ・クラックス。それが二人の今現在追っていた人物だということはすぐにわかった。神の正体を調査しようとしている。この世界では調べようとしただけで大罪になることだ。まだ年齢は十六。果たしてそんな少女にここまでやることができるのだろうか。
「ありえない。ま、カンだがな………普通の人間にアイゼントルーパーと戦うなんて考えは浮かばんよ。……神を調べようという考えはあったとしてもな。なにか見落としがあるかも知れん。もう一度リストを見直してみるべきだ。軍曹!」
 独り言のようにぶつぶつとつぶやくと、手近にいた軍服姿の男を呼び止める。
「入国者リストをもう一度洗いなおせ。不審者じゃなく、名前でな。アルファ・レィング。その名前だ」
「は」
 いきなりそう命令された軍曹はすぐに近くに設置された本部テントへと向かった。
「……アルファ・レィング―――神殺し、ですか?」
「ああ。こんなことをする人間、アイツ以外考えられない」
「しかし、本名で登録しているとは思えませんが?」
「逆だよ。そう思うからこそ本名で入国する。アイツの常套手段だ。一般の人間にアルファ・レィングという名前は知れ渡っていないし――機密保持が目的だが、厄介なことだ――その方がこちらに発見されるのが早くなるからな」
「発見?」
 ジェシカが聞き返すと、ゼインは苦笑した。
「挑発とかじゃないのかね………」
 そして彼もヘッドセットを装着する。
「洗い直しを待っている時間もない。すぐにトルーパーに塔を包囲させろ。残りはすべて内部に入れ、神の間までやつを行かせるな!」
 神殺し……その名に、ジェシカの体に緊張が走る。彼女、そしてゼインの指揮する部隊〈フェンリル〉が常に追ってきた男。それが『神殺し』だった。
連合政府直属の対『神殺し』部隊〈フェンリル〉。だた『神殺し』を追跡し、処刑するためだけに創設された部隊。その隊長がゼイン・メイラー。副隊長がジェシカ・トルクマンである。
ただ彼らも神の存在の本当の目的を知らない。












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