第八章 第五節 月光煌く君の笑顔
さて、真珠湾攻撃が終わったら一週間後には何があるでしょうか?
答えは簡単。十二月十六日は、戦艦『大和』の就役日――つまり、大和の誕生日である。
戦艦『大和』の会議室では艦魂達が大和一歳の誕生日を祝っていた。
「これ私からのプレゼントです! 大和司令! 受け取ってください!」
「ありがとう」
キャーキャー言いながらプレゼントを渡す駆逐艦達ひとりひとりに、大和は笑顔を向ける。それを受け、駆逐艦達は心底嬉しそう。前連合艦隊旗艦である長門の忠誠心と違って、大和は共に戦う仲間という意識が強いのか、友達のような関係できた駆逐艦達にとっては、もうドンちゃん騒ぎ。食って歌って踊って騒いでフィーバーッ! という感じだ。
駆逐艦や巡洋艦達からプレゼントを一通りもらうと、大和は戦艦と空母の輪に入った。そこには今日の朝に内地から整備を終えてトラック島にやって来た瑞鶴の姿もあった。
「改めて、久しぶりだね瑞鶴」
「うん。ごめんね。整備ついでに機銃の増強も行ったから時間がかかってね。前線であるトラック島に大和や隼鷹達を置いて来ちゃったから、ちょっと心配だったけど、大丈夫だったみたい」
お互いを心配して笑い合う二人の姿は、春の日差しのように暖かく、輝いていた。そんな二人の内の一人、瑞鶴の上着の裾を不安げな瞳をした少女がちょこんと握った。
「ねぇ、瑞鶴。翔鶴お姉ちゃんは?」
「姉さん! 瑞鶴さんを呼び捨てにして!」
「いいの飛鷹。私さんづけの方が好きじゃないから」
「そ、そういう問題では・・・」
一人納得のいかない飛鷹を置いて、瑞鶴は隼鷹の頭をそっと撫でた。
「ごめんね。姉さんと瑞鳳の傷って結構重傷だから修理に時間がかかるの」
「あとどれくらい?」
「そうね。二人とも来年の春までにはきっと復活してるわよ」
「えー、来年ー?」
隼鷹は心底残念そうな顔をする。
「こればっかりは仕方ないのごめんね」
翔鶴に会いたくて仕方ない隼鷹は、早く翔鶴が戻って来てくれるのを祈るしかなかった。その時、瑞鶴が腕を組んで何かを考え始めた。
「瑞鶴? どうしたの?」
大和が不思議そうに問うと、瑞鶴は複雑そうな顔をする。
「いや、内地に行った時に聞いたんだけど、どうやら次の機動部隊司令長官は南雲中将じゃなくて小沢中将が就任するみたいなんだ」
「小沢中将が?」
《小沢》という名前に、空母達は鋭く反応した。
「小沢中将って、機動部隊の生みの親でしょ?」
長門の言葉に、空母達はうなずいた。空母達にとっては、自分達に日の目を当ててくれた小沢中将は山本長官よりも重要な人物なのだ。さながら武田信玄を敬愛している山梨県民のようだ。
「・・・小沢治三郎中将。開戦直前まで第一航空戦隊司令官を務め、当時あくまで艦隊の補助艦艇でしかなく一艦隊に一隻配置されていた空母を一つの艦隊に集結させ、後の海戦の主力となる機動部隊を生み出した。海戦初期は南遣艦隊司令長官を務め、マレー沖海戦で大英帝国海軍東洋艦隊を九六式陸上攻撃機と一式陸上攻撃機を以って攻撃。敵艦隊の新鋭戦艦『プリンス・オブ・ウェールズ』、巡洋戦艦『レパルス』を撃沈するという大戦果を収める。日本海軍の伝統で先任である南雲中将が機動部隊司令長官になったが、小沢中将の方が適任であったという意見が多く、今回の小沢中将就任に、機動部隊の新たな歴史が始まると言われている」
長々と説明した武蔵を、他のみんなは唖然として見ている。空母ですら知らないような事まで言い、数秒後には拍手喝采が起きた。
「武蔵。よく知っているな」
金剛が感心すると、武蔵は静かに頭を下げた。
「・・・戦局を左右するのは情報。つまり、情報戦に勝利したものが戦闘を有利に実行できる。連合艦隊次席指揮官の情報網を使えば、造作もない」
「ふむ。貴様は良い指揮官になるだろう。もし貴様が旗艦になったら、喜んで貴様の下で戦おう」
「・・・ありがたき幸せ」
武蔵の言葉に金剛は満足そうだ。だが、そんな金剛を見て、榛名は硬直していた。扶桑が「榛名?」と声を掛けてると、榛名はそっと口を開く。。
「あの姉貴が誰かの下で喜んで戦う? ウソだろ。俺は今衝撃的に驚いているぞ。きっと、帰って来てみれば我が軍の攻撃で炎上している真珠湾を目撃した米機動部隊の者達も同じ気持ちだったんじゃねぇか?」
相当衝撃的という事だけは伝わって来た。確かに、あの独立している金剛をあそこまで納得させるのは神業である。さすが、次期連合艦隊旗艦だ。
一方、そんな優秀な妹を見てため息する大和。「私だってがんばってるのに・・・どうせもうすぐ旗艦は私じゃなくなるよ」と落ち込んだ。そんな大和を瑞鶴や日向が励ます。なんとも微笑ましい光景だ。しかし、この光景にはある人物が一人足りない。それは・・・
「なぁ大和はん。長谷川はんは来てへんの?」
伊勢が唐突に訊いて来た。すると、大和は力なく首を横に振る。
「最近少尉は忙しいんです。海軍司令部はガダルカナル島の陸軍を撤退させる為の作戦を考えているみたいなんですが、その安全な航路を確立する為に各艦の航海科の人達が集結して、少尉も航海長他数名と共に参加してるんです。だから、最近夜も遅くて、まとも寝てないみたいなんです・・・体を壊さないといいんですが」
「そうどすか、そういえばウチの航海科も何人か派遣されとったね」
「私からも派遣されたわ」
伊勢と陸奥も思い出したように言う。
「仕方ないね。航海科は兵科の中で五本の指に入るほど忙しい科だから。最近は戦局も苦しくなってさらに厳しいみたい」
日向も困ったような顔をする。その時、
「ついにガダルカナル島から撤退か。上陸陸軍兵員三分の二以上の約二万人が戦死したというのに。我が海軍も多くの艦艇や兵員を失ったというのに、撤退しか道がないのか」
辛そうにつぶやく金剛を見て、雪風は申し訳なそう言う。
「申し訳ありません。私達駆逐艦が輸送船団の護衛任務や補給任務を完遂できていればこんな事にはならなかったんですが。全駆逐艦を代表して謝罪します」
「雪風。貴様一人の責任ではあるまい。確かに作戦は失敗して今の現状は最悪だ。だが、貴様らも粉骨砕身の努力をしたのであろう? そんな貴様らを、私は責めんぞ。私だって艦砲射撃作戦を行ったが、当初の予定戦果の半分しか殲滅できなかったんだぞ? 私だって失敗しているんだ。気にするな。これからがんばればいいじゃないか。まだ戦争は続くんだからな」
「も、もったいないお言葉を」
感激して頭を下げる雪風。そんな二人を少し離れた所にから見ている陽炎と夕雲は笑った。
「金剛さんもずいぶんと丸くなられたな」
「妹を二人も失って、辛いんだろうよ」
「あの鬼の金剛がね」
「鬼の目にも涙ってやつか?」
「夕雲うまい!」
「・・・聞こえてるぞ」
おちゃらけていた二人に響いたその凛々しい声は、二人を硬直させるには十分過ぎた。二人が震えながら見ると、金剛が睨んでいた。二人は次に自分達がすべき行動を一秒で決めた。
「「すみませんでした!」」
日本人の最終奥義――土下座だった。
二人が土下座モードに入ったと同時に、金剛は酒瓶を雪風に渡し、二人は何事かを話すと、雪風は二人の所に戻った。
「姉さん。夕雲姉さん。金剛さんから差し入れです。あと、金剛さんから伝言。「つまらん戯言は寝て言え」だそうです」
「「ははー」」
二人は水戸黄門の印籠を見せられた悪代官のような、あまりにも見事な土下座だった。それは後世まで語り継がれるであろう神業的な土下座だった。
陽炎達駆逐艦は再びドンちゃん騒ぎを再開した。
一方、戦艦空母連合も騒いでいた。
「伊勢ちゃーん!」
「や、やめてぇな・・・ッ!」
扶桑に体中をまさぐられていて赤面して抵抗している伊勢。そんな伊勢を危ない顔で襲っている扶桑。
いつの間にか駆逐艦や潜水艦、巡洋艦達の所に行ってしまった日向。
金剛は榛名と共にお酒を飲んでいる。
その他の者は一緒にお酒やラムネを飲んでいる。しかし、そんな中、大和の顔は浮かなかった。やはり、翔輝の事が気になっているのだ。
「大和司令。元気出してください」
「飛鷹。ありがとう。大丈夫だよ」
大和は笑顔で返すが、それは表だけだった。それは誰もがわかっていた。
長門達は大和に元気になってもらいたくてさらに過激にアタックを開始しようとした。その時、
「・・・翔輝?」
武蔵の声に、大和は驚き急いで振り向いた。そこには、疲れ切った顔をした翔輝がいた。
「少尉! 大丈夫ですか!?」
「あ、あぁ」
肩で息する翔輝に、武蔵はそっと水を渡す。
「・・・翔輝、大丈夫?」
「うん。なんとか」
武蔵の渡した水を翔輝は一気に飲み干した。少しやつれた顔を見て、陸奥や伊勢は驚愕する。
「少尉。今日はもうお休みになられた方が」
「それ所じゃない。大和。高柳艦長が」
翔輝の口から意外な名前を聞いて、大和は怪訝な顔をする。
「艦長? 艦長がどうなされたんですか?」
翔輝はうつむいてしまった。その異常な態度に、大和も真剣な話だと理解した。
翔輝はしばらくの沈黙の後、ゆっくりと口を開いた。
「艦長は、高柳大佐は、本日付を持って、『大和』艦長を解任してしまったんだ」
「え・・・」
大和にも衝撃が走った。今まで一緒にいた高柳が艦長の任を終えた。それを理解するのには少し時間がかかった。
「高柳艦長が? ウソでしょ? そんな・・・ッ!」
「本当なんだ」
翔輝の顔で、それがウソではないとわかると、大和は女の子の顔から、連合艦隊旗艦の顔になった。
「詳しく、教えてください」
少し前の艦橋。艦橋には高柳以下参謀長、航海長。その他参謀や航海士がいた。もちろんその中には翔輝も含まれる。
翔輝は航海科の会議を終えて部屋に帰ろうとしていた所を航海長に捕まって艦橋まで連れて来られたのだ。
「航海長? 一体何ですか。自分はもう寝たいんですが」
眠い目を擦る翔輝だが、航海長は沈黙したままだ。その時、ずっと沈黙したまま闇夜を見詰めていた高柳が振り返った。
「君達。今日まで私の補助に努力をしていてくれた事に、感謝する」
突然の意味不明な言葉に、参謀達や翔輝も混乱する。「艦長? 何言ってるんですか」「艦長?」と参謀達が次々に困惑の声を上げる。そんな彼らを見詰め、高柳はゆっくりと口を開いた。
「本日一九四二年十二月十六日をもって、私は『大和』艦長を解任する事になったんだ」
『なッ!?』
高柳大佐が艦長をやめる。それはあまりにも衝撃的で、過酷な現実だった。認めたくない。それはみんなの気持ちそのものだった。誰も彼もが世話になった高柳と一緒に戦いたい。そう願った。だが、衝撃の走る参謀達とは裏腹に、高柳は微笑んだ。
「明日からは松田千秋大佐が後任に当たり、私は第一艦隊参謀長に就任するんだ」
「そうですか。という事は、少将に昇級されるのですね。おめでとうございます」
航海長の言葉に、高柳は「ありがとう」と返した。
「だが、艦長の私が参謀長になるとは、思ってもみなかったよ」
一人笑う高柳を、参謀達は見詰める。その視線に気づいたのか、高柳は笑顔をやめ、真剣な顔で参謀達を見詰める。
「だから、今日で私の任務は終わった。君達は今までどおり『大和』の任務を続けてくれ。俺は『長門』でがんばる」
「艦長。栄転、おめでとうございます!」
参謀の一人が激励を叫ぶと、それを引き金に次々に他の参謀達も高柳の栄転に喜ぶ。中には高柳が去る事に泣いている者もいる。握手を求む者もいる中、翔輝は呆然としていた。そんな翔輝に気づいたのか、高柳は翔輝に近づいて来た。
「どうした? 俺の栄転を喜んでくれないのか?」
「え? いや、その・・・」
うつむく翔輝の肩を高柳はポンと叩いた。
「何暗い顔してるんだ。別に死地に行く訳じゃないんだぞ? 俺は第一艦隊に行くだけだ」
「はい。おめでとうございます」
「何だよ? 笑えって」
高柳の笑顔に、翔輝は固いながらも笑みを浮かべた。
翔輝にとっては初めての軍艦勤務。その艦は最新鋭戦艦である『大和』だった。まだ右も左もわからなかった翔輝を、高柳は優しく迎えてくれた。そんな彼の下で翔輝は戦いたいと思っていた。だが、それはもうできない。でも・・・
「艦長。これからも、がんばってください」
翔輝の笑顔に、「おう」と高柳は答えた。高柳はそんな翔輝の軍帽を取り、頭を撫でた。
「お前もがんばって昇級するよう努力しな」
「はい! がんばって航海長を目指します!」
高柳は豪快に笑った。その時、後ろの方から「おいッ!」という誰かの声が聞こえたが、無視した。
「そうかそうか。こりゃ君も危ないかもな」
高柳は驚愕している航海長を見る。航海長はそんな言葉に苦笑いを浮かべる。
「ははは、大丈夫ですよ。お、俺がこんな坊主に負けられる訳がないですよ」
「おーい。笑顔が引きつってるぞ?」
「ま、まぁ、確かに天才的な能力を持っていますが、まだまだ子供。経験が不足していて――」
「君。それは負け惜しみというのだぞ?」
「うぐっ」
艦橋を笑いが包んだ。大爆笑の中、航海長だけは「笑うなッ!」と大激怒していた。笑いがひと段落すると、高柳は全員を見た。
「明日、俺は『大和』を離れる。見送りよろしくな」
『了解ッ!』
全員は敬礼して答えた。
翔輝は敬礼を終えると、急いで艦橋を飛び出した。そんな彼を、高柳は見送った。
「そうですか、『長門』へ・・・」
大和は寂しそうにつぶやいた。
「そういえば、私に新しい参謀長が来るって言ってたけど、それがあなたの艦長だったのね」
長門は何度もうなずいた。同時に悲しそうな顔をしている大和を見詰める。
「高柳はんが第一艦隊参謀長になるんどすか。嬉しい事やね」
「お姉ちゃん?」
一人喜ぶ伊勢を見て、日向が不思議そうに首を傾げる。すると、その視線に気づいたのか、伊勢は少し顔を赤くする。
「高柳はんは、私の前の艦長やからね。出世して嬉しいんや」
その言葉に日向は手をポンと叩いた。
「そっか、高柳大佐ってどっかで聞いた事があったけど、お姉ちゃんの前の艦長の人だったんだ」
「そうだったの?」
大和が意外そうな顔をする。そりゃそうだろう。そんな話全然聞いた事なかったのだから。
「そうやで。結構ええ奴やったしね」
もう遠い昔を思い出すかのように、伊勢は思いにふける。その時、日向が小学生の授業のように威勢良く手を挙げて「はいはーい!」と叫んだ。
「確か『大和』の新艦長って、松田千秋大佐だっけ?」
「うん。そうだよ」
翔輝の返事に、日向は意味ありげな笑みを浮かべる。そして、
「松田大佐って、私の艦長だよ?」
爆弾発言をした。
「そうなの!?」
驚く大和を見て日向は「うむ」と自慢げにうなずいた。
「そういえばそうやった。まぁ、松田はんには何度か会った事はあったけど、結構優しそうな人やったし、良かったな」
伊勢がそう言うが、大和は聞いていなかった。寂しそうに、ただ呆然と立っているだけ。そんな大和の肩を軽く叩く伊勢。
「どないしたん? 高柳はんが出世したんよ? 嬉しくないの?」
「う、嬉しいよ。でも、やっぱり寂しい・・・」
そんな大和に、日向はまじめな顔で言う。
「大和。私は同じ気持ちで松田大佐を見送ったんだ。私だってできたんだ。大和にもできる。大和。あなたの艦長をちゃんと見送ってあげよう」
「日向・・・」
日向はにゃは、と笑った。そんな彼女らしい仕草に、大和にも笑みがこぼれる。
「うん。わかった。ちゃんと笑顔で見送る」
「そうそう! そうこなくっちゃ!」
二人の小さな少女は笑い合った。日向の方が二〇歳以上も艦齢は上だが、艦魂は身長も小さくかなり子供っぽいので大和といると、仲のいい友達同士に見える。なんとも微笑ましい光景だ。そんな光景を、遠くから見詰める翔輝。やっぱり友情というのはいいものだなぁ。と思っていると、
「うおッ!」
突如目の前にラムネのビンが現れた。それを掴んでいる細い腕を目で追うと、そこには武蔵を上回る無表情少女がいた。
「山城?」
「餞別だ。飲め」
「あ、ありがとう」
翔輝はそれを受け取り、近くの椅子に腰を落とした。その横に山城も付く。
山城の片手には一升瓶があった。しかももう半分消えてる。相変わらず大酒飲みだ。だが、そんなに飲んでるのに全く乱れていない。他の艦魂はこんなに飲める奴は少ないし、飲めても何かオプションが付いてくる。だが、隣の無表情少女はそれがまったくない。きっと彼女の肝臓は難攻不落の要塞のような臓器なのだろうと思うと、なぜか笑えて来た。
「どうした? なぜ笑う」
翔輝のおかしな態度に山城は引く。反られた背中の角度は約一二〇度。相当引かれている。そんな山城を見て、翔輝は慌てて弁解する。
「い、いや・・・相変わらずいい飲みっぷりだと思って」
「そ、そうか?」
山城の表情に変化が起きた。少し恥ずかしそうに顔を赤らめたのだ。しかし、翔輝は今自分自身の事しか頭になく、気づかなかった。
「これでも今日はまだ少なめなんだが」
「マジッ!? 半分も飲んで!?」
「これは三本目だ」
「死ぬ! 急性アルコール中毒で死ぬ! バカだろ! お前バカだろ!」
「・・・」
「無視すんなッ!」
山城は薄い笑みを浮かべる。そんな事を知らずに硬直している翔輝。そんな翔輝の首が突然絞められ、背中に柔らかな双丘が押し付けられた。こ、これは・・・ッ!
「長谷川少尉? 何でまた山城と会話エンジョイしてるのかな?」
「ふ、扶桑さん!?」
ぎゅーっと扶桑は翔輝の首に巻き付いている腕に力を入れる。力が入ればさらにくっ付くので、背中の双丘もさらに密着。翔輝は息苦しさと別の苦しさに挟まれた。
「く、苦しい! ギブギブ! いろんな意味ギブッ!」
「さぁ言いなさい! 山城と何をトークしてたの? 回答によっては容赦しな――うごッ!」
突然縛めが解かれ、翔輝は何とか肺に空気を入れる。もう少し遅かったら天国が見えていたかもしれない。
翔輝はが振り返ると、そこには頭を押さえて悶絶する扶桑の姿あった。そして、そんな彼女の横で、空になった酒瓶を逆さに構えて、武器にしている山城。状況から考えて扶桑の頭に山城の酒瓶が直撃したというところだろう。
「ちょっと山城! 何すんのよ!? バイオレンス!? ドメスティックバイオレンス!?」
「うるさい。黙れ」
「黙れって何よ! 私はあなたの姉のなのよ!?」
「私はそう思ってないから」
「キーッ! かわいくない奴――っと、頭痛い! 割れる割れる! よりにもよって酒瓶なんて凶器を使って・・・ッ! もう少し打ち所が悪かったら今頃私は天国でハープを奏でていたわよ!」
「おしい」
「おしいじゃないでしょ!」
ギャーギャー言う扶桑を完全無視して、山城は四本目の酒瓶に手を伸ばす。なんとなく、その光景が大和と武蔵に見えたのがおかしく、笑ってしまった。その時、ふと前方を見ると、榛名がいた。
「あ、榛名!」
駆け寄りながら声を掛けると、榛名はビクリと震えて超速で振り返った。そして、振り返ったその手は空手の構えになっていた。榛名は真剣な顔で翔輝を睨み、
「俺の後ろを取るとは・・・やるな」
「どこのゴ○ゴだよ」
わかる人にはわかるツッコミを入れ、翔輝は榛名の横に付く。
「な、何だよ」
榛名は不振そうに翔輝を見詰める。
「いや、別に。ただ見つけたから」
「それだけの理由で?」
「いや、別にいいだろ?」
「別にいいけど。俺は姉貴が待ってるから急いでんだけど」
「あ、そうなの? ごめん」
「・・・来るか?」
榛名はニヤニヤと笑う。一体何を考えているのだろうか? 翔輝はあまりの恐怖に身震いし、半歩引く。
「じゃ、じゃあッ!」
翔輝は迷わず反転、全力疾走。後ろの方でなんか舌打ちのような音が聞こえたのは気のせいだろうか。いや、絶対違う。翔輝はなぜか確信が持てた。これが人間に残されている野性のカンというものなのだろうか。
翔輝は部屋の隅にまで逃げ込んだ。いくら榛名でも追い掛けるまではしつこくないはず。あれで結構さっぱりした奴なのだ。だが、ここにはすでに先客がいた。
「あ、長谷川少尉」
その声に下を見ると、そこには小さな女の子がいた。見た目は武蔵と同じくらい。いつも喜怒哀楽の多く、ツインテールが元気に揺れる少女。しかし、今は萎れた花のように寂しそうな顔をし、ツインテールも力なく揺れている。翔輝は少女の名をそっと呼ぶ。
「隼鷹? どうしたの、こんな所で」
「うん。ちょっとね・・・」
元気のない声で答える隼鷹。そう言えば、瑞鶴達といた時もこんな感じだった。理由はたぶん・・・
「翔鶴がいないから、寂しいの?」
翔輝の問いに、隼鷹は静かにうなずいた。
やっぱり・・・
翔輝はため息した。
隼鷹は翔鶴を実の姉のようにに慕っている。だが、今翔鶴は内地で南太平洋海戦の傷を癒している。隼鷹にとっては辛い日々なのだろう。
「まぁさ、翔鶴がいないのは辛いとは思うけど、飛鷹や瑞鶴もいるんだし、元気出せよ。大和や長門さん達もさ」
隼鷹は沈黙したままだ。この気まずい雰囲気はどことなく武蔵と似ているが、翔輝にとっては武蔵で慣れている上、武蔵よりは攻略可能だった。
「隼鷹」
「え?――ひゃッ!」
翔輝は山城からもらったラムネを隼鷹の頬に当てる。隼鷹は驚いた顔でそれを一瞥して翔輝の顔を見詰める。
「飲む?」
隼鷹は少し躊躇したが、ゆっくりとうなずいた。
翔輝はラムネを隼鷹に渡し、その横に座り込んだ。
「瑞鶴達の所に行かないの?」
「いいの。心配かけちゃうから」
「そっか。優しいんだね」
「ううん。優しいのはみんなだよ。私の事を気遣ってくれる。でも、それが辛いんだ。なんか余計な心配をかけてるみたいで」
「そんな事ないのになぁ。みんな君が大切だから心配してるんだし」
「うん・・・」
隼鷹はラムネを開けようとするが、なかなか開かない。翔輝は「貸して」と言って受け取り、ラムネを開ける。ラムネを渡すと、隼鷹は薄く笑って「ありがとう」とお礼を言って飲み始める。そんな隼鷹の横で翔輝は眠そうにあくびする。
そういえば、ここ最近まともに寝てなかったなぁ。
「ふわぁ」
「眠いの?」
隼鷹が心配そうに見詰めている。翔輝は苦笑いする。
「ちょっとね。最近あんまり寝てなかったから」
「航海科は最近大忙しだからね」
「いつも忙しい方だけど、最近はどうも・・・」
「撤退作戦があるからね。ガダルカナルの」
「まぁね」
「多くの仲間を失ったのに、撤退か・・・」
寂しそうに言う隼鷹。
「仕方ないよ。もうソロモン海の制海空権を失って、海軍はまともに動けないし、陸軍は壊滅だし、これが最後のソロモン作戦になると思う」
沈黙する隼鷹。彼女の言うとおり、多くの艦艇将兵を失ってまで戦ったこの海を去るのは、身を切られるような思いだ。霧島の沈んだ海を、みすみす敵に渡すのは辛い。でも、これ以上続ければ、確実に日本軍は壊滅する。ここは、撤退しかない。そう、納得するしかなかった。
隼鷹はラムネを半分ほど飲み終えると、翔輝を見詰めた。
「ねぇ、長谷川少尉。次はどこが戦場になると思う?」
「・・・それは、わからない。わかっていれば対策が立てられるけど、今はこのソロモン海域以外で目立った攻防はない。航空部隊だけでならラバウル辺りが危ないけど、それを言うとトラック諸島も危ないし、一概に言える事じゃないよ」
「そっか、でも、敵が戦力を立て直す前に総攻撃を仕掛けたいな。翔鶴お姉ちゃんや瑞鳳が血を流して敵残存空母を戦闘不能にできたんだから。私と飛鷹、瑞鶴で叩ければなぁ」
「こっちも搭乗員を消耗し切っているからね。それは無理だよ。残念だけど、ソロモン海の戦いは、ラバウルの海軍航空隊に任せるしかないね」
「・・・」
落ち込む隼鷹。無理もない、大事な翔鶴を傷つけられ、仲間も殺されたのに、自分には何もできない。その悔しさは計り知れないだろう。例え見かけが小さな女の子でも、彼女は大和魂が流れている――艦魂なんだから。
「よしッ!」
翔輝は立ち上がり、突然隼鷹の手を取った。
「え? 何!?」
「いいからいいから」
「ちょ・・・ッ!」
隼鷹は翔輝に引きずられるようにして部屋を縦断する。
「飛鷹! ちょっとお姉ちゃん借りてくよ!」
途中すれ違った飛鷹に言うと、「どうぞ。こんなのでよろしければ」とまるで物みたいに言った。まぁ、自分も『借りてく』って言ってる時点で同レベルではあるが。
中央にいた大和達に一瞬翔輝はひるんだが、幸いにも大和は長門の膝の上に頭を乗せて眠っていた。見た目仲の良い姉妹に見える。武蔵がこちらを見て来たので、翔輝は手旗信号(旗なし)で『我、戦線離脱』と送ると、『了解。貴官ノ健闘ヲ祈ル』という謎の返答が帰って来た。
ともかく、翔輝は隼鷹の手を引いて部屋から出て行った。
黒い暗黒の空間が続く。もう消灯時間を過ぎているので、通路には人の気配も音もなく、広がるのは漆黒の闇だけ。明かりをつけるという手段はあるが、そうすれば確実に巡回に見つかって怒られる。副長なら怒鳴られるし、兵だったら上官に怒られたくないからと必死で哀願される。どちらも捕まればアウトだ。そんな中、翔輝が一つだけ感じられるのは、隼鷹の手のぬくもりだけだ。おそらく彼女も同じだろう。
入り組んだ通路を手探りで進む。さっきから隼鷹は沈黙している。たぶん暗闇が怖いとかだろうと思ったが――そのものズバリだった。
「ね、ねぇ、どこ行くの?」
不安そうな声が初めて響き、翔輝は歩きながら答える。
「もう少しだよ」
「だからどこに・・・」
「行ってみればわかるよ」
翔輝に引っ張られ、隼鷹はそのまま身を任せ続ける。
会議室を出てから数分後、ようやく翔輝の足が止まり、隼鷹も止まった。
「ここを開ければ」
「え? でも、この先って――」
言い終える前にドアが開かれた。そこは軍艦の目――防空指揮所だった。
月に照らされる防空指揮所には人はおらず、波の音だけが響き渡っていた。
翔輝は隼鷹の手を引いたまま指揮所に入った。
隼鷹は翔輝の手を離れて、未知の世界に食い入る。
「た、高あああぁぁぁいッ!」
隼鷹は叫んでいた。彼女には初めての視界だったのだろう。
空母と戦艦じゃ艦橋の高さは天と地ほどの差がある。ましてやここは世界最大最強戦艦のトップだ。その高さは計り知れないだろう。
「『大和』の高さは、艦底からそこの十五m測距儀まで五一mもあるんだ」
「大きすぎてわかんないよ」
「まぁ、中型水雷艇くらいの大きさはあるよ」
「そ、そんなにあるの!? ひえええぇぇぇッ!」
隼鷹は震え出す。日本では冬でも、ここトラック島は南半球に位置する。ここでは今は夏だ。しかも日本の夏よりも死ぬほど暑い。唯一の救いは今が雨季が終わったおかげで蒸し暑いという事はない事だ。ついこの前までは雨季で死ぬほど蒸し暑く、艦内から出るのは地獄だった。
「ねぇねぇッ! あれが『大和』の主砲!?」
隼鷹が指した物は、この『大和』の象徴である四六cm砲だった。
「そうだよ。あれ一つで駆逐艦一隻分の重さがあるんだ」
「すごいすごい!」
大喜びする隼鷹。先程までとは大違い。翔輝はやっぱり連れて来て良かったなぁと思った。
「あ! あれ私だ! おーいッ!」
隼鷹が手を振る先には彼女の本体――空母『隼鷹』が月に照らされていた。
「へぇ、私ってあんな形だったんだ」
「知らなかったの?」
隼鷹の言葉に、翔輝は不思議そうに首を傾げる。
「うん。だってあっちの艦橋じゃよくわかんないし、こんなふうに他艦の防空指揮所から見た事もなかったんだもん」
「ふーん」
「えっと、あれが私なら・・・あ! あれが飛鷹で、少し先のが『瑞鶴』だ。横から見る事はあっても、上から見るとまた違うんだぁ」
「そりゃあね。ほら、あれが戦艦『長門』と『陸奥』。向こうのが『金剛』。その横のが『榛名』。反対側のが『扶桑』『山城』。第二停泊所にいるあれが『伊勢』と『日向』」
「こんな高い所から見ても大きいんだね、戦艦は」
「そうだよ。あっちを見てごらん」
「え? うわッ!」
隼鷹が驚いた先には、この『大和』の姉妹艦・戦艦『武蔵』が威風堂々とその巨体を浮かべていた。
「戦艦『武蔵』。日本海軍の象徴の一隻だよ」
「おっきい! 山みたい!」
笑いながら喜ぶ隼鷹の横、翔輝は静かに星空を見詰めていた。
何度見てもあきないこの空。翔輝はこうやって星空を見上げるのが好きだった。昔から言うある言葉。『死んだ人は星になって、大切な人を見守っている』。翔輝はそれを信じている――いや、信じていたいのだ。
こうやって星空を見ていれば、いつか翔香の星を見つける事ができるような気がして。いつもこうやって星空を見詰めている。その際特に見上げる場所はここ――防空指揮所だ。他よりも高い場所であるここなら、星空に手が届くかもしれないと思って。そんな事物理的に不可能だが、翔輝はそうしていたかった。そうすれば、自分は一人じゃないと思えるから。いつも翔香と共にいる。そう思えたから。
「長谷川少尉?」
そんな事を考えていたので、隼鷹の存在をすっかり忘れていた。自分を見詰める彼女の不安げな瞳に、翔輝は慌てて笑顔をつくる。
「あ、ごめんごめん」
「やっぱり疲れてるんじゃ・・・」
「大丈夫だよ・・・それより、見てごらん」
「うわぁ・・・」
翔輝と同じく隼鷹も上を見上げ、感動した。
光り輝く散りばめられた宝石。それがそこにあった。
星の光が全てを包み込むように輝き、幻想的な空間を創り上げる。
こんなふうに真剣に星空を見上げた事はあったかな? 隼鷹はそう思った。たぶん答えは『いいえ』だ。今まではすぐそばに光り輝く太陽があったから、暗闇の中の星なんて真剣に見上げた事はなかった。でも、今はその太陽はない。だからこそ、今見上げている星空がこんなにも輝いて見えるのだ。
「きれいだろ? 星空って」
「うん! すっごくきれい!」
星の輝きと同じくらい瞳を輝かせている隼鷹を見て、翔輝に自然と笑みがこぼれた。
「さっきまでとは別人みたいだな」
「え?」
微笑んでいる翔輝を見て、隼鷹は沈黙する。
優しい笑みだと思った。自分が見た笑顔の中でも五本の指に入るくらいだ。
翔輝と隼鷹じゃ身長差がかなりあるが、翔輝は視線を低くして隼鷹を見詰める。
「な、何?」
突然の急接近に隼鷹は脈拍を最高出力まで上昇させる。
吐息の掛かる距離。見詰め合う瞳。隼鷹は何もできずに硬直する。目が離せない柔らかそうな唇。刹那、その唇が微かに動き、隼鷹はさらに硬直する。
そんな隼鷹の気も知らず、翔輝は笑顔のまま隼鷹の頭を撫でた。ビクリと震える隼鷹に、翔輝はそっとつぶやいた。
「良かった。元気になって」
「え?」
驚く隼鷹から離れ、翔輝は満月が映る海面を見詰める。
「翔鶴がいなくなってからずっと元気なかったろ? ずっと心配してたけど、もう大丈夫みたいだからさ」
「長谷川少尉? ずっと心配しててくれたの?」
「当然だろ? 仲間を心配するのはさ」
「長谷川少尉・・・」
時が止まったように感じた。隼鷹の瞳には今星空や月は見えてはいない。見えているのは翔輝だけ。士官にしてはあまりにも若く、だがとても優秀な航海士。そして、誰よりも優しい笑顔。
隼鷹の中にもう一つの太陽が生まれた。光り輝くそれは翔鶴とは違う。翔鶴を夏の勇ましい太陽に例えると、その太陽は春の暖かな日差しを届ける優しい太陽。
「そろそろ戻ろっか」
翔輝の言葉に隼鷹はうなずいた。
翔輝は再び隼鷹の手を握った。先程とは違い、隼鷹は幸せな気分になれた。
翔輝に先導されて、隼鷹は再び艦内に潜った。
翌朝、『大和』の全将兵が甲板に集まり、高柳を見送った。高柳は兵達に「俺がいなくなっても元気でな」と言い残し、山本長官や宇垣参謀長に敬礼して、『大和』を去った。その背中を翔輝はずっと見詰めていた。
新艦長には元『日向』艦長の松田千秋大佐が就任し、ここに新たな戦艦『大和』が発足した。
その日の夜。会議室に今後の事を話し合う為に連合艦隊主力艦魂(戦艦・空母)が集まっていた。
「では、今日はもう遅いのでこれで終了します」
大和が最後を締め、会議は終わった。その瞬間、
「どうも」
「少尉?」
偶然立ち寄った翔輝がタイミング良く現れた。翔輝は大和を見詰め笑顔になる。
「会議終わった? じゃあ一緒に戻ろっか」
「そうですね。では一緒に――」
「お兄ちゃん!」
大和が言い終わる前に飛び出したのは――隼鷹だった。
「隼鷹!? うわッ!」
いきなり飛びつかれた翔輝はバランスを崩しかけるが、何とかその場に踏み止まる。そして、ついさっき自分にアタックして来て、今は自分の胸の中にいる少女を改めて確認する。
「隼鷹? どうしたの?」
「お兄ちゃん! 今日は一緒に寝よ!」
翔輝の質問を無視して、隼鷹は究極の爆弾発言を発した。
硬直する一同。呆然とする大和、武蔵、陸奥、伊勢。何やらまた新たな新キャラ降臨に苦笑いする長門。
隼鷹は天使の笑みで翔輝を見上げる。
完全に凍り付いた空気の中、先陣を切ったのは大和だった。
「ちょ、ちょっと、隼鷹? お、お兄ちゃんって? 少尉の事?」
「え? そうだよ。翔鶴お姉ちゃんに翔輝お兄ちゃん。私のお気に入り」
「ちょッ! 翔輝ってまた!?」
また自分が恥ずかしくて言えない名称を言われ、硬直する大和。だが、大和が停止してもまだ強力なキャラが残っていた。
「それは別にいいけど。何で隼鷹ちゃんと少尉が一緒に寝るのよ!? それが一番の問題よ!」
陸奥が叫ぶ。その言葉に他三名もうなずいた。だが、隼鷹は頭に《?》を浮かべている。
「どうして? 一緒に寝たいからだけど」
言ってのけたよこの子は! と心の中で同じような事を考える四人。いまだにその一線は越えた事がない(武蔵は他三人より少し先にいるが)四人にとって、新参者にいきなりそんな超Sランク行為を許すはずがなかった。相手が見た目まだ幼い事などお構いなし。
超非常警戒態勢のオーラ全開の四人を隼鷹はきょとんと見つめていたが、彼女は結構天然だった。
「お兄ちゃん。私眠いよぉ。早く早く」
「え? ちょっと待って――うわッ!」
「あ! 少尉!?」
「コラ! 少尉を返せ!」
「勝手に奪わんといてぇな!」
「・・・宣戦布告と受け取っていいの?」
四者四様の言葉を放って逃亡する隼鷹+翔輝を追い掛ける四人。そんな計六人を見詰め、この戦いの行く末を考えて笑ってしまう長門。
また新たな恋敵が現れ、焦りまくる大和だった。
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