第四章 第五節 バトル・オブ・ミッドウェー
一九四二年六月五日、ミッドウェーの長い一日が始まった。
『山本連合艦隊司令長官より無電!『皇国ノ荒廃此ノ一戦ニ在リ。各員一層奮励努力セヨ』!』
連合艦隊司令長官直伝の激励に、艦隊の士気は最高潮に高まる。
さらに、Z旗(意味は山本長官の激励文と同意味)も各艦艇のマストに掲げられ、この戦いの重要性に相応しい旗だった。
空母『飛龍』の甲板には大勢の搭乗員が整列していた。その全員が飛行長から作戦の概要一つを聞いている。
「搭乗員搭乗開始! 諸君らの健闘を祈る!」
「敬礼ッ!」
飛行長からの説明を終えた搭乗員達は敬礼して彼にあいさつすると、それぞれ自分の愛機に向かって走り出した。
空には薄っすら明かりがあるだけで、まだ夜明け前だという事を表していた。そんな明かりに照らされる四隻の空母の甲板には零式艦上戦闘機、九九式艦上爆撃機、九七式艦上攻撃機が勇ましく並んでいた。
「剣ッ!」
自分の愛機である零戦に乗ろうとした剣に、飛龍が駆け寄って来た。今は多くの兵達が甲板にいるので、それを高速ですり抜けてくる飛龍に剣は驚く。さすがは艦魂だ。
「飛龍?」
いったん翼の上から降りると、そこへ飛龍が駆け寄ってきた。
「どうしたの?」
自分を見詰めて肩を激しく動かしている飛龍に剣は不思議そうに問う。すると、飛龍は軍服のポケットから何かを取り出し、そっと剣の手に握らせる。
「これ、受け取って」
そっと手を開けると、そこにはいたって普通の御守りがあった。
「これは?」
そう聞くと、飛龍はなぜか恥ずかしそうに頬を赤らめて顔を伏せる。
「えっと・・・弾除けの御守り・・・だけど」
「・・・あぁ、御守りには《恋愛成就》って縫ってあるけど」
「そ、それは気にしないで。それはちょっと訳ありで・・・」
飛龍はなぜか視線を逸らす。きっと何か人には言えない事情があるのだろう。
剣はそんな飛龍の頭を撫でて笑顔を向ける。
「あ、ありがとう」
剣はそっと御守りを首にかける。すると、飛龍が抱き付いてきた。
「ひ、飛龍?」
「生きて帰って来て」
「え?」
顔を上げると、飛龍は真剣な眼差しで自分を見詰めた。
「必ず、生きて帰って来てね。私、それだけで十分だから」
そう言う飛龍の身体は小さく震えていた。そんな震える身体を剣は優しく抱き締める。
「ありがとう。必ず帰って来るから、安心して」
そう言うと、飛龍は嬉しそうに笑みを浮かべる。
「約束だよ」
「ああ、約束だ」
剣と飛龍は互いの瞳を見つめ合うと、静かに微笑み合った。
剣は飛龍の身体をそっと離すと、愛機である零戦に乗り込む。
プロペラが轟音を立てて回り出し、今まさに荒鷲達は出撃の時を待っていた。
今や『飛龍』だけでなく、『赤城』『加賀』『蒼龍』の全空母が同じ状態。
防空指揮所に移った飛龍は甲板を見詰めている。空母が輝くのはこの瞬間。甲板を艦載機で埋め尽くした時だ。
「攻撃隊発進!」
そして、第一次攻撃隊が飛行甲板を滑走して次々に発艦して行く。
空母兵や第二次攻撃隊の搭乗員が帽を振って見送る。
空には埋め尽くすような艦載機の群れがきれいな編隊を組んで飛んでいく。
そして、ついに剣の零戦も滑走を始めた。
「剣ッ! 必ず帰って来てよッ!」
飛龍は軍帽を大きく振って剣の零戦を見送る。
零戦は甲板から車輪を離すと、大空に向かって飛び立った。
飛龍はそれでも大きく軍帽を振り続ける。
まだ夜も明け切らぬ空に、赤い日の丸を付けた数百の攻撃隊が舞い上がり、そして消えて行った。
飛龍は防空指揮所からその光景をずっと見詰め、攻撃隊が空に溶けていくいまでずっと帽を振っていた。
そして、攻撃隊は見えなくなり、飛龍は軍帽を被り直し、天空を見上げる。
「ついに、始まった・・・」
――バトル・オブ・ミッドウェーが――
第一次攻撃隊はミッドウェー島目指して進み続け、ついにその姿を雲下に確認した。
「あれがミッドウェー島か・・・」
剣は眼下の小さな島々を見てそうつぶやいた。
小さい。本当に小さい。
真珠湾に比べたらそればまるで豆粒のような島々であった。
本当にこんな島を攻撃して敵機動部隊が現れるのだろうか。
剣はじっとミッドウェー諸島を見詰める。その時、前方を飛ぶ隊長機が増槽を捨てて機首を上げて上昇して行った。その行動に目を向けると自分達の上空に無数の敵戦闘機が編隊を組んでいた。
「迎撃機!? そんな、奇襲攻撃のはずじゃ・・・ッ!」
今回のミッドウェー作戦は奇襲攻撃から始まるはずだ。だが、迎撃機が舞い上がっているという事は、強襲攻撃となる。
奇襲と強襲。どれだけ危険な戦いになるか、想像するだけでぞっとする。
上空に待機していた敵戦闘機隊は次々に機体を返して流星のようにダイブして来る。空中戦の基本である上空を取られた。状況は極めてまずい。
「くそッ!」
剣は急いで燃料増槽を落として操縦桿を思いっ切り引いた。
剣の零戦は一瞬で機首を上に向けると、敵戦闘機の大群の中に突っ込んでいった。
攻撃隊はミッドウェー島を奇襲――ではなく強襲した。
米軍の防空能力は予定よりも数倍以上高く、攻撃隊は敵対空砲火、敵戦闘機のすさまじい猛反撃に遭い、予定より敵陸上施設を破壊できず、爆撃の効果不十分と見た第一次攻撃隊隊長の友永丈市大尉は、『第二次攻撃隊ノ要在リト認ム』と打電した。
第一攻撃隊隊長の打電を受け、機動部隊司令部は、旗艦『赤城』で話し合いをしていた。
「第二次攻撃隊をミッドウェーへ?」
航空参謀が驚いたように作戦参謀に聞く。
「そうだ」
作戦参謀ははっきり答えた。
「それは違うな作戦参謀。我が機動部隊としては、敵の機動部隊を捕捉撃滅する事が、一番に重要な事だ」
航空参謀の言葉に、戦術参謀が腕を組みながら言う。
「しかし、索敵機が出撃してもう数時間経つ。とっくに索敵範囲の前端に行き着いているのに、何の報告もない。航空参謀。これは当然、攻撃範囲に敵艦隊はおらんと判断すべきだ」
「いやしかし、今日は一段索敵だからな。出たのは夜明け前で、索敵範囲の前端でようやく視界が開ける。参謀長。とっくに敵艦隊の上空を通り越してる事もあります」
航空参謀の意見に、草鹿は黙ったままだった。
「しかし、敵信班も真珠湾前面に配備した潜水艦からも、敵艦隊が動き出しているような傾向はまだ報告して来ない」
通信参謀がはっきりとした口調で言う。その言葉に、作戦参謀は呆れたように言う。
「とにかくだな、何度も言ってる通り、明日には陸戦隊と陸軍部隊がミッドウェー島に上陸を開始する。しかし、空襲効果の不十分なこの状態では上がれないじゃないか」
「問題は、敵の機動部隊がどこにいるかだが」
草鹿の言葉に、一瞬沈黙したしたが、参謀副長が口を開く。
「通信参謀。敵機動部隊出現の兆候はまだないな?」
「はい。何の判断資料も掴めてはおりません」
通信参謀の言葉に、南雲は決意した。
「よし、ミッドウェーを叩こう」
「了解。しかし、山本長官は、第二次攻撃隊を対敵機動部隊攻撃部隊とするから、攻撃機の装備は魚雷のまま変更するなと言っておりましたが」
「構わない。ただちに第二次攻撃隊の雷装を爆装に切り替えろ」
「了解」
草鹿は参謀達に向き直り、命令した。
「第二次攻撃隊はミッドウェー島を攻撃するッ! 攻撃機の装備は魚雷から爆弾に切り替えろ!」
『了解!』
参謀達が動き回り、伝声管に次々命令を出した。
『第二次攻撃隊の攻撃目標を、ミッドウェー島に変更するッ! 攻撃機の装備は魚雷を爆弾に切り替えろ!』
その様子を、赤城は表情を変えずに見守っていたが、自分としては、第二次攻撃隊の雷装を爆装に変更するは反対だった。
「どうした赤城?」参謀の一人が赤城を心配そうに見る。
「別に。問題ない」
「そうか」
彼の名は伊達俊介少佐。例の赤城の恋人(?)である。
伊達は赤城をそっと抱き寄せる。
赤城はほんのり頬を赤く染め、普段艦魂達には見せない《女の子》の顔になっていた。
『旗艦より発光信号!『第二次攻撃隊ヲ以ッテミッドウェー空襲ヲ行ウ。攻撃機ノ魚雷ハ陸用爆弾ニ変更セヨ』!』
その報告に、飛龍は愕然とする。
「な、何を考えてるんだ司令部は・・・ッ!」
無線封鎖を解除しただけでなく、山本長官の命令も無視するとは。
「ったく! 何考えてるんだ司令部は!?」
飛龍と同意見な言葉を吐いたのは山口だった。
山口はキッと旗艦『赤城』を睨み付ける。そんな山口に、諦めたような顔で近づく加来。
「命令とあれば、仕方ありません。ただちに第二次攻撃隊の雷装を爆装に変更します」
加来はただちに命令した。
飛龍はせっかく甲板に並んでいた第二次攻撃隊が格納庫に収容されていくのを見て悔しそうに唇を噛んだ。
「瑞鶴が言ってた。航空戦は時間が命なのに・・・ッ!」
飛龍は強く拳を握った。
もし、こんな事をしていて敵に攻撃されれば、セイロン沖海戦と全く同じ失敗を犯す事になる。しかも今度は弱敵英東洋艦隊ではなく、強力な米機動部隊である。その攻撃力と被害は未知数だ。
「南雲長官・・・ッ!」
飛龍は前方を走る旗艦『赤城』を睨む。だが、所詮自分には睨む事しかできなかった。
こうして、第二次攻撃隊は雷装を爆装に変更した。
『敵機来襲ッ!』
その声に蒼龍はハッと空を見上げる。
空はいつものように晴れ渡っていた。が、雲の向こうから数十機の敵機が現れた。
『対空戦闘用意ッ!』
蒼龍はいつものように防空指揮所にいた。慌てて空いている双眼鏡を覗くと、敵機の機種が確認できた。
「四発爆撃機・・・陸軍機か」
それは米陸軍の主力重爆撃機であるB-17(フライングフォートレス)であった。
蒼龍は安堵した。もしあれが敵機動部隊から発進した艦載機なら兵装転換は無駄で、敵空母を攻撃するのに新たに時間が掛かってしまうからだ。
蒼龍は迫る敵機を見詰める。あの程度の敵なら、艦隊の対空砲火でも十分撃破できる。
その時、意気込む蒼龍の上を一機の零戦が通り抜けた。
「刹那・・・」
それは上空直援に上がっていた刹那の零戦であった。
刹那の零戦は艦隊を襲おうとしている敵機に突っ込み、瞬く間に二機撃墜した。今度は反転し、自分に向かってきている敵機を撃ち落とす。
再び敵機に向かう零戦を見詰める蒼龍はあまり嬉しそうではなかった。
今、自分は彼に守られたというのに、それが全然嬉しくもない。むしろ、民間機のパイロットになりたいという軟弱な夢を持つ奴に助けられた事に怒りを感じていた。
「刹那・・・」
敵機群の中で暴れまわる一機の零戦を見詰め、蒼龍は悲しげにため息した。
「左三〇度より魚雷二本接近ッ!」
『赤城』の艦橋に響いたのは見張り兵からの悲鳴であった。
青木は急いで回避行動を取ろうとした。その時、
「艦長、操艦もらうぞ」
「ちょ、長官ッ!?」
伝声管に命令を叫ぼうとした青木の肩を押し、南雲が伝声管の前に立った。そして、
「取舵いっぱぁぁぁいッ!」
南雲の声に合わせて『赤城』は左に回避。見事魚雷を回避した。
続いて魚雷一本が右舷から迫った。
「面舵いっぱぁぁぁいッ! よぉそろうッ!」
これまた見事回避。
南雲はその後も操艦を続け、なんと魚雷八本を見事回避してみせた。
敵機が去り、南雲はようやく青木に操艦を返した。
驚く艦橋の者達に、南雲は自慢げに笑った。
「私の本業は水上戦だ。これくらいの魚雷が回避できんでは艦隊を殺す事になるからな。まあ、私の腕ならこれくらいは当然だ」
その言葉に、艦橋からは拍手が上がった。その中には赤城もいた。
やっぱり自分達をここまで導いてくれた南雲に、改めて感謝した。
襲って来たのはミッドウェー島を発進した攻撃隊であった。
攻撃隊は戦闘機の護衛がなかったので、零戦の敵ではなく対空砲火とで全機撃墜した。
そして、第二次攻撃隊はなんとか雷装を爆装に変更した。その直後だった。
「偵察機より無電!『敵ラシキモノ十隻見ユ、ミッドウェーヨリノ方位十度二四〇浬地点』!」
その報告に、機動部隊司令部に戦慄が走ったが、この情報だけでは敵艦隊がどういう部隊になのかわからないと『艦種知ラセ』と打電すると、しばらくして『敵兵力ハ巡洋艦五隻、駆逐艦五隻ナリ』と返答があり、安堵した。
『飛龍』艦橋でも胸を撫で下ろしていた。
「やっとの事で魚雷を陸用爆弾に取り替えて、これからミッドウェーに出かけるところでしょ? 今空母に出てこられたら、それこそ一大事ですよ」
加来の言葉に、参謀長はうなずく。
「二四〇浬じゃ、あっという間に艦載機が殴りこんで来るしな」
安堵する参謀達に対し、山口は報告書を見詰めたまま考え込んでいた。
「司令?」
加来が心配そうに聞くと、山口は静かに言った。
「しかしおかしいな。空母を伴わずに敵艦隊が出て来るなんて・・・空母を・・・伴わず・・・」
山口の言葉に、飛龍も同意見だ。
今ミッドウェー島が航空機で襲われているという事は、自分達日本機動部隊が現れたという事だ。その実力は開戦以来半年の南方作戦でアメリカは痛いほどわかっているはず。なのにそんな強力な部隊に対し向けてきたのは小規模な巡洋艦部隊。そんなの無敵の日本機動部隊の前では蹴散らされる事など一目瞭然なのに、米軍はわざわざそれを向けてきたというのだろうか。
「おかしい。何かがおかしい。一体何を考えているの、アメリカ軍は」
飛龍は何か嫌な予感がしてならなかった。
とても嫌な、最悪の事態が起きるかもしれないという不安に胸が押し潰されそうになる。
最悪が迫っている。
飛龍はそう直感した。
「一体、何が起きるの?」
飛龍は不安げに震える小さな声で空に問うた。
そして、飛龍不安と山口の疑問は、最悪の形で現れたのだった。
「偵察機より無電! 偵察機より無電!」
艦橋に転びそうな勢いで通信兵が駆け込んできた。その顔は絶望という感情に真っ青に染まっていた。
「どうした?」
山口の問いに、兵は震える声で報告書を読み上げる。
「『先ニ発見セル敵ハ、後方ニ空母三隻ノ機動部隊ヲ伴ウ』!」
通信兵の言葉に、『飛龍』艦橋はこの世のものとは思えない戦慄が走った。
「空母、三隻!?」
参謀の一人が悲鳴のような声で叫んだ。
「くそッ!」
山口も悔しそうに唇を噛むと、壁を思いっ切りぶっ叩いた。
「そ、そんな・・・」
飛龍は頭が真っ白になり、力なくその場に崩れ落ちた。まさかこんな最悪の事態になるとは思ってもみなかった。
山口は唇を噛みながら、慌てふためく参謀達に命令を出す。
「至急、待機している艦爆隊を出撃させよッ! 続いて陸用爆弾装備の艦攻隊を敵空母に向けるッ!」
山口の命令はすさまじいものだった。それは航空戦の常識を覆す命令だったからだ。
「艦爆隊に続いて、陸用爆弾のままの攻撃機をですか!?」
「そうだ」
航空参謀は驚愕した。
「しかし司令。陸用爆弾のままの攻撃では、ほとんど効果が挙げられないと思いますが」
参謀長の言葉に、山口はうなずく。
「だが相手は空母だ。飛行甲板さえ粉砕すれば艦載機は発艦できん。それで十分だ」
「では戦闘機の掩護はどうします? 大部分は今機動部隊の上空直衛に上がってますが。それを全機収容していては時間が掛かります」
そう。攻撃隊に付けた戦闘機、上空に上がっている戦闘機で機動部隊の戦闘機は全部である。今手元には第二攻撃隊に付けられる戦闘機がない。手はずでは上空直掩の戦闘機を収容して付ける予定だったからだ。
だが、そんな参謀長の言葉に、山口は恐るべき発言をした。
「航空参謀。裸で行こう」
それは戦闘機の護衛なしの攻撃隊を向けようという壮絶にして無茶苦茶な命令だった。
「しかし護衛戦闘機のない攻撃隊の運命は、さっきのアメリカ軍の攻撃隊がいい例です。攻撃隊にもそんな運命を与えよというのですか?」
参謀長は反対だった。しかし、
「わかっている。だが、現在の行動は、敵空母を一刻も早く全滅する事だ。三機でも五機でもいい。付けられるだけの戦闘機を付けて向けよう」
山口の固い決心に、参謀達はうなずいた。
参謀達は次々に命令を発し始める。そんな部下達を一瞥し、山口は空を見詰めた。
一方、絶望的な状況に落ち込んでいた飛龍だが、山口の溢れるような闘志に勇気付けられ立ち上がる。その瞳には闘志が宿っていた。
「司令。私は司令が指揮官で本当に嬉しいですッ!」
飛龍は見えぬ敵機動部隊を睨みつけた。
この海の向こうに、自分達を狙っている敵機動部隊がいるのだ。
このまま時間だけが過ぎれば、敵に先手を打たれてしまう。そうなれば、いくら強力な防空態勢を整えているこの艦隊でも、必ず被害が出てしまう。
敵が狙うのは同じ空母。
姉か、赤城か、それとも加賀か。いや、もしかしたら自分かもしれない。
誰が、どこで、いつ殺られるかがわからない。それが戦争である。
「このまま、ただ殺られるのを待つほど、私達は甘くない」
飛龍はそう言うと、真珠湾以来勇ましい指揮で自分達を導いてくれた闘将山口司令官の背中を頼もしげに一瞥し、再び海の向こうを見詰めた。 |