Q6:ようやく今日が終わるんですよね?
「あ、メール」
「お兄ちゃん!次お兄ちゃんの番だよ!」
「んーちょっとまってね。・・・三件も・・・あれ?全部小春さん?」
「もぅ〜先すすめとくよ〜キョウ〜?」
「おいおい瑠璃、飛ばしちゃったら楽しくないだろ?」
「え〜だったら一回休みだ!」
「勝手にルールを増やすなよ?まっててやろうじゃないの?ククッ」
「だ〜ね。けっこう一大事?」
「何の話?ねぇなんの話?ワタシワカンナーイ」
ゾワッ
「明日か・・・定休日だし、大丈夫だね。」
★
「殺す!お前をここで殺す!」
ビシッ
「殺される前に殺す!」
ドスッ
「殺される前の前に殺す!」
バスッ
「殺される前の前の前に殺す!」
グワシッ
拳と拳が飛び交う中、確かに二人は時の流れを感じた。
無意味すぎる感。戦場と化すマンション。一人の戦士は己のために。もう一人の戦士も・・・やっぱり自分のために。
「ハァ・・・ハァ・・・どうやら万策尽きたようだなぁ由紀ぃ?」
「ならここで・・・決めるぁぁぁぁぁ!」
ピンピロピロピロピン♪
着信一件有り。
「・・・・」
「・・・・」
ズサァアァァァァァァァァァァァッ
ヘッドスライディングでビーチフラッグ。ギリギリの勝負を制したのは・・・YUKI−KASIWA!
「えぇぇ?そこ私じゃね?むしろ私じゃね?」
「んー私も今そう思います。ハイ」
結局小春に戻される携帯。無意味ここに極まれりだなと。
「えーっと・・・」
from:菖蒲今日一
to:翌檜小春
件名:Re:小春
いいっすよ。お弁当作っていきますから、入れてほしいものがあったら教えてくださいなー。
「きゃぁきゃぁ!なにこのかわいいメール!先輩〜なにたべたいんでちゅか〜?」
「ん〜返信の内容なんにすっかな」
「おぉぅスルーかよ」
from:翌檜小春
to:菖蒲今日一
件名:Re2:小春
甘く焼いた卵焼きと唐揚げ!
「あぁ・・・末期だ」
★
「あ、祭!僕飛ばしちゃっていいよー」
「ん?なんかすんのか?」
「明日の準備?」
「なんだ〜?弁当かい?まぁでもキョウのお弁当は〜ポイント高いよね〜」
「はっはーん。了解だ。なんか俺も手伝うぜ?」
「いいよ別に。大したことないし」
「ばーろう!俺の大事な坊主の初めての異性間交友なんだぞ?祝わなくてどうする?なぁ瑠璃!」
「そ〜だよ!やっぱ〜女の子はイイモンダズェ?」
「ああ。まったくだズェ!」
「いや、おまえらが言うとなんか別のものに聞こえる」
「お兄ちゃんがデ、デ、デーートゥ!?」
「あ、綾乃忘れてたね〜」
「アノオンナね。アノオンナなのネ」
ズゴゴゴゴゴ
「ドロボウネコドロボウネコドロボウネコドロボウネコ・・・・・」
一気に部屋が氷点下を振り切った【ほっきょくのせかい】へと化す。
「あ〜綾乃?俺ら映画のチケット持ってんだよ。なぁ?瑠璃?」
「そ〜そ〜!ちょうど明日公開なんだ〜!!一緒に見に行こうよ?」
「ドロボウネコドロボウネコドロボウネコ・・・」
「綾乃。ひさしぶりに映画見てきたら?」
「ドロ・・・へ?映画?」
「最近行ってなかったろ?ラブコメ映画だしさ」
「そうだぜ綾乃!お兄ちゃーんもこう言ってるんだし」
「もしかして〜お兄ちゃ〜んに逆らうのかな?」
黒いぞ瑠璃。
「ぐっ・・・わかった!映画に行くわよ!」
「綾乃の分のお弁当も作るよ。なにが食べたい?」
「甘く焼いた卵焼きとから揚げ!」
「了解〜」
「瑠璃じゃないって!」
それから一時間、綾乃の瘴気に当てられ続けた瑠璃と祭は・・・激しい腹痛と幻覚に襲われたのは・・・また別の話。
★
「つーか弁当作りすぎたか?まぁいっか。祭たちが食うだろうし・・・いや、小春さんが食いそうな気がするな」
朝も6時からせっせと弁当作りに励む今日一。
4つ並べたお弁当・・・ってほとんど重箱やん!と、自分用のお弁当(それでも一般男子高校生サイズ)を手に持ったまま、おにぎりとおかずを詰めていく。
「僕が食べなさ過ぎんのかな?」
いいえ、他が食べすぎなんです。
「オハヨウ!マイスイートボーイキョウ」
「気持ち悪いからやめろ」
「ちなみに俺と瑠璃はここ菖蒲家に泊まったのだ!もちろんキョウと同じ布団で・・・」
「たのむからそこで顔を赤らめないで・・・」
顔がずば抜けていい分、そっちの方向にも十分に対応してそうな雰囲気を持つ祭。いやーん
「まぁとにかく、今日は特にはやいな。最近はもう俺が起こさないと起きなくなってるのに・・・しかもキッスで」
あることないことーあることないことー
「つーか最初からねーよ!」
「キョウを朝からからかったことだし、朝飯でも作るかな?」
弁当を作ったにしては片付いてるキッチン(家事レベルも高い今日一・18歳)に男二人。
「・・・はぁ〜。たのむ。」
「何が食いたい?」
「純和食しか作れないんだから、メニュー聞かれても答えようがないよ」
「でもお前みたいに全世界の物作れるやつもあんまいないと思うぞ?俺は」
「まぁ、バイト歴長いからなー。でも祭だって和食はバイトで覚えたんだろ?」
「一緒に住んなよ・・・自分で覚えたんだ」
「初耳!いまの初耳!」
「初めて言ったんだよ」
苦労人の今日一は、いつもどこかで大人の自分を作っている。
今まで学校で友達と戯れるよりも、大人に囲まれた社会の中で長く生きてきたためなのかもしれないし、養うことを誰よりも早く始めているからかもしれない。
でも祭と、瑠璃と、綾乃といるときは年相応の態度を垣間見せる、素の菖蒲今日一になる。
優しくて、おっちょこちょいで、バイトと家事がもはや趣味の、皮肉屋で少し歪んだ高校3年生。
それがキョウなのだと、祭はこのとき思っていた。
大人なのは、祭りの方かもしれない。
二人のいるキッチンにも、少しずつ朝焼けが入り込む。今日という日の始まり。
デートの始まり。
第一章【出会いのためのQ&A】おしまい♪
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