Q5:もしもの時って誰かに頼っちゃいけませんよね?
「え?なんでデートに誘うか?ですか?」
いつもの飲み屋【はなしのぶ】にて。現在午後8:30。
「うん」
「そこに男がいるからでしょう!」
「・・・・」
「そ、そんな睨まなくったっていいじゃないっすかー」
「で?」
「というかいきなりビンタかましてんだからそりゃお詫びのスリーセブンフィーバーっしょ?」
「やっぱそーなの?」
「ん〜せっかく知り合いになったんすよ?キョウ君すっごくいい人っぽいじゃない?」
「まぁたしかにいい人っぽいな。というかいい人だし。頭いいし。料理うまいし。しっかりしてるし。お人好しだし。ん〜」
「つーか先輩それって・・・」
「ん?」
「いやぁ。誘うべきだなぁと」
「そうなんだよなぁ」
★
それから小春は悶々としていた。
デートに誘えない。誘えない誘えない。
それからなぜか恥ずかしくてメールも打てなくなった。
悶々悶々悶々モン・・・
「だぁぁぁぁぁぁっ!当たって砕けろだ!」
でも砕け散っても元に戻れるほど若くはない。
25歳。精神的にも社会的にもそこそこ立場や面子が出来上がってきてしまう年齢ではあるが、なんとなくまだまだマッスグな恋に夢を見てしまうある意味で【脂の乗って来た】時期なのかもしれない。
まぁそんなことは置いといて。
「くっそー!恋だのなんだのしたこたねーからデートになんて誘えねぇ!」
そして再び悶々悶々。ベットに寝ころび顔をうずめて悶々・・・
誘うなら今日だ。今は10:20分。まだ迷惑には当たらない時間なのは、社会人の常識的なものなのかもしれないが。
★
from:翌檜小春
to:菖蒲今日一
件名:小春だ
明日、この前のお詫びがしたい。9時に駅前集合。
「・・・味気ないかな?でも顔文字なんて使ったことないし。電話なんて不可能だし」
ん〜ここは悩むぞ。
送信のボタンを押しかけながら、再び思案する。
from:翌檜小春
to:菖蒲今日一
件名:小春です★
このまえのお詫びにデートしない?
返信なるべく早くオネガイね?
「ん〜・・・軽すぎるかな?でも絵文字は使ってないし・・・」
from:翌檜小春
to:菖蒲今日一
件名:小春
先日は大失態してしまい、ご迷惑をおかけしました。申し訳ありませんでした。
そのお詫びと言っては、かえってご迷惑になるかもしれませんが、ご一緒にお食事になど行ってはもらえませんでしょうか。
お返事、お暇があるときでよろしいので、お待ちしております。
「・・・悩むねぇ」
ん〜ん〜ん〜ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
うんうん唸っても、どんなにメールを打っても、保存してしまうだけで決定打がでない。
まるでそう、ストッパー川原にたよりきっていた原監督が、次の年もワンパターンで乗り切ろうとしたが通用せず、二年で監督を後退してしまったような、あるいは松井の穴を埋められなかったかのような、そんな気分だった。
と、そこへ我らが由紀さん登場!!!
「泊まりに来てるのだぁ」
そうなのだぁ!
「誰に言ってんだ?」
「ポール」
えぇ?僕ポールなの?
「ふぃー。いいお湯だったっズラ〜」
火照った頬に、濡れた髪。大きめの小春さんのパジャマをブカブカにしながらほっこり笑う由紀さんは・・・たまらなく・・・あぁ・・・ボンバイエ!
「先輩!お先しましたー」
「ん?あぁ・・・」
「ありぃなんですか?メール?めずらし!先輩がメールなんて何年ぶりっすか?」
「おまえこんなにピチピチ女子高生捕まえて何言ってやがる?メールが本業みたいなもんよ?職業、メールよ?」
「あらまぁ!こんなに老けた娘いたかしら!あなた、三十代ですか?って言われない?」
「よくみろこのハリのある肌を!節穴なんじゃねぇか?」
「えー、おばちゃんにはハリを刺しても元に戻りそうにないシワしか見えなーい」
「てんめぇ!」
「きゃー!」
プロレス開始・・・20分後
「ふぅ、ふぅ、とにかく、思春期ど真ん中ホーッムラン、やりました男・新井本シーズン初ホームランの女子中学生じゃないんだから!」
「はぁ、はぁ、でもなぁ・・・」
「あぁもぅ!ポチっとな」
送信ボタンをピッ(ポチ?)っと押しちゃった由紀・23歳。
「おぇっぇぇ?お、おま、おまおま!」
「だぁい丈夫ですよ先輩!さっきの文面ならバッチシダって!」
恐る恐る、まさか・・・いや、でも・・・っと携帯をチラ見すると、
送信完了・三件
「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「せ、先輩?どうしたんですか・・・ちょ!グーは、いやパーもだめ・・・ぎゃぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁおぁぁぁぁぁっぁ」
この夜、最近と言ってもすでに築6年のマンション【阿頼耶ルピナス2号館】に、二つの奇声が木霊したのは、ヤマビコさんではなく、マネッコさんでもなく、702号室の二人からだった。
続く
俺ってポールなのかな?
ま、いっか。
でも苗字が・・・んー
続く
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