……これは夢?
一匹の傷付いた狼が倒れてる。
他に目に写るものなんてなくて、あってもきっと偽物だ…と感じられる。
ああ……これは夢だ。感じるもの全てが偽物だなんて。
ただ俺は歩く、倒れている狼に、そこでようやく怪我が酷い事が分かった。
周りは血で汚れ、傷つけたものは、己れの牙だと分かった
「自殺か……いや自滅か……。」
動物は自殺なんかしない、それが今のところの常識だ
唯一、人間だけが、つまり高知能の証として自殺に及ぶ訳だ。
動物は本能の脳しかない、つまり生きる事を絶対肯定してるわけだ。
人間は本能を理性で隠すことで、自らの命を捨てる選択も得た。
ならコイツは、生きるために牙で自分を傷つけたのか??
何のために??
生きるために死ぬ??
周りの景色が歪んだ。ああやはり夢か。
頭の中の偽物だ……
その時狼が言った。
「いや、全て現実だ」
ピピピピ……カシャン………
目覚ましにおこされた。
何故、目覚ましに起こされると気分が悪いのだろう?
この機会音は大嫌いだ。
嫌にハッキリ夢を覚えている。
こういう時はあれは俺の過去じゃないかと錯覚に襲われる。
いや、でもあんなのが本当に有るわけない。……ボーとして今はAM8:25高校生ならみんな慌てる時間だ。
俺も高校生だが、遅刻とかは気にしない。
遅刻は遅刻で他の奴が見えない世界が見えるわけで俺はその世界が大好きな訳だ。
さて、仕事だな。
といった、やるせない、落ち着いたゆっくりな時間がここの世界の空気だ、台風の用に押し合いへしあいの末に目的地に急ぐ人の流れとは全く違う世界。
まぁ学校に行くだけよしだろ。
朝の支度を終え。着替え、出かける。
挨拶すべき家族は色々あってバラバラになり、生きるためにみんな自分の事だけに集中していて、音信不通だ。
MDを流し、気分を高揚させいざ、学びの場へ。
ふと空を見上げて立ち止まった。
「これは本物か。」
嫌に後引く夢だな……と思いながら、通学路を歩く。
また、憂鬱な時間が始まるな……
学校につき、まず職員室へ。
遅刻の手続きをしないと、教室に居ても運悪く先生が気付かなければ、欠席扱いになるからだ。
担任を見つけた。
「おはようございます」
挨拶しないと始まらない
「またか……、遅刻回数が今、ダントツ一位だよ。村上」
俺の名前はそう村上佑介〔ムラカミユウスケ〕どこにでもいるようなシラケた奴だ。
身長は177センチ
性別は男
武術に傾倒
勉強は中の上
学年は3年E組
そしてこの担任の先生が、古河先生〔コガワ〕
世界史を教えて冗談も通じる人だ。だから、朝は冗談から始まる。
「あれ、一位って事はどんな景品がでるんすか?」
高校生特有の敬語モドキで話す俺に対し。
「ああ、学年主任の松岡先生から、説教、……否、人生論と渡世術の伝授だ。」
なかなか上手な事言う辺り、さすが先生だ。
「まじですか……じゃあ、今度から奥義使えますね。」
吐き捨てるように言い。書類を書き終え。
教室に向かおうとして。
気付いた。いや、思い出した。
「先生あなたは本物ですか?」
ただなんとなしに言ってみた。
先生はキョトンとしている。
まだ、30歳だからか、男の顔にまだ、青年の面影が残っていた。
「…っと、失礼します。」
教室につき入るこの時が一番憂鬱だ。
皆の視線が一斉に飛んで来るわけで、嫌でも意識してしまう。
まぁいいや、と若干投げやりな態度で教室に入る。
一瞬静まり俺をみる36人の目つまり、72個の目玉。
これだけは慣れないな…と毎回思う。
先生が理由を聞いてくる
「今日は何?」
いつも同じ事を言うつまらない人間にはなりたくないから、いつも違うことを言うように俺は心がけてる、その結果、質問が
「どうしたの?」
から
「何」
へと質問として、どうなの?、という聞きかたになったわけ
そして俺は今日も嘘をつく。
「犬に追われて逃げてました」
言いたい放題だな…
とたまに思うが気にしない。
さて、今日はなにして時間を潰そうか…
取りあえず寝たいな…………………
気付いたら、また夢を見てた。
今度は、何もない、本当になにもない世界
光も闇も音も、何もかもない世界。
もはや世界ではなく空間として存在すらしない世界。
そこに俺がいた。
狼もいる。
最近こんなんばっか。
俺はもうだめなのか?
狼が言った。
「これが本物の世界、無こそ真実だ」
俺は言った。
「馬鹿言え、それが本当なら、俺がいる世界はなんなんだよ?」
「全て偽りだ。」
呆れた。いや驚いた。だが認めなかった。
「じゃあ生きてる物全て嘘なのかよ!」
狼は言った。
「いや、人間の世界のはなしさ。
感情、悪、善。それが作る秩序、そしてその世界。勿論そこに生きる人間。
それが嘘だと言ったんだ」
……まぁ何となく予想はついてたけどな。
「なるほど、お前は生きるために、その嘘を壊そうとして、逆に殺られた訳だ。
本能で生きてんだから偽りなんて必要なし。ってなわけで……
その結果、生きてく事ができなくなったわけだ。
皮肉な話だな」
狼は笑っている。いやそう感じた。
そして言った。
「俺はお前だ。人にして理性を壊したときお前は俺になる。」
……………ビクッ!
と体が動いて目が覚めた。
「………人間として生きるか……」
なんて面倒で苦しい生き物なんだ一番醜い生物じゃねぇの人間は…
「はー…」
ため息をつき。
覚悟した。
明日からは遅刻は辞めよう、と
生きろという本能に従おう
窓の外には青い空と雲。
「ああ、やっぱり本物だ。」
と呟いた |