42話 ふぅむ
やばい、話が進展しない。
あの後は、ほぼ簡単に終わった。
正直、回数制限のある闇の混ざったナイフを作るのは、正直俺では難しかったので……内心でリヤナさんに頼んで、闇の中で作ってもらうことにした。
要するに闇の中で分解し構成するときに、闇を混ぜるのだが…構成する場合にガッリチと頑丈に組むのではなく、隙間を作るように脆くつくればいいそうだ。
さすがリヤナさんだね。
まぁ、それを渡すとご老人は、ソレをじっくりと見た後に、うむ…という感じに頷いて、栞が抜けていい事を言った。
その際、こちらの情報を漏らされると迷惑だ…という老人の言葉により、老人と栞の二人で栞の記憶へ、ちょっとした遮断の魔法をくわえた。
何故二人でやったかというと、老人が一人でやればいろいろと危険な気がするし、栞が一人でやれば手加減をするかもしれない…というわけで、二人でやったわけだ。
あとは、後ろから襲い掛かれないかどうかを少しばかり、気にしながらも栞の『瞬間移動』で一回美月の近くに飛び、その後に遠くに逃げた。
栞は世界と世界を繋ぐ移動の魔法陣も作る事は可能なので、栞の魔法を使って異世界から戻った。
そんな感じであり、もうそれからは二日経ち……まぁ、それなりな感じである。
義妹殿とは、それなりになかよくできそうなので俺的には『良かった、良かった』というわけだ。
「…あのさ、栞。
お前中学一年生だよな?」
「……? そうだけど…何?」
「まぁ、中学一年生かどうかはなんとなく聞いただけなんだが……正直、お前友達出来てないだろ?」
「………………………そんな事ない」
「だったら、なんで少しの間考えてたよ?
それに堕勇として異世界に行ったときに、友達を理由に出したという事自体駄目な気がするんだが……」
俺の言葉に義妹殿…もうマジで栞って感じで呼びつけでいいや……正直、めんどくさい。
なんかさ、義妹殿ってなんで『殿』付けで呼んでるのか不明だわ…何コレ、正直俺でも疑問に思うわ。
「…む」
「あのさ、自分で自分の居場所を作るんだから…友達を作れよ」
「………うむぅ」
「……あと、ちゃんと(・・・・)弁当を食べろよ」
俺が少しばかり意地の悪い笑顔で、そんな事を栞に言う。
「…なんか不安になってきた」
栞はそんな事を言った。
─ ─
次の日。
その日は雨の日だった。
天気予報で雨だと言われることも無く、朝は降っていなかったが途中で天気が悪くなり、そして雨が降り始めたため傘を持ってきている人は、少ないだろう。
そして、その多いであろう方に入るのが栞である。
「弁当、か……」
栞は、中学校の昼休みに…そんな感じで呟きながら自分の席に座っていた。
目の前には、義理の兄……つまり徹夜が作ったであろう弁当が置かれている訳だが…昨日、嫌な感じの笑みを向けられたことを思い出し…何があるのかどうかで少しばかり身構えている。
そんな感じでガッチガチな動きで弁当の蓋を開け……ガリッという音が聞こえるかと錯覚するほどの動きで固まった。
栞の目の前には弁当。
だが、いつもの定番的で簡単な弁当のおかずではない。
食べ物で何かのキャラが作られていた。
それはこの頃、女の子の仲では人気になっているタバコをすってぐったりしている変なパンダ。
何でタバコ吸っているのかわからないし、なんでパンダなのかもわからないけど……変にゆったりしたキャラが人気になっているパンダ。
「なん、だ……これは」
思わず呟いてしまう栞。
「……私は、子供じゃないのに」
そんな感じで呟く栞。
「あ、兄貴…? 兄、兄さん? ……なんか言いづらいな」
そんな感じで弁当の前で、う~ぬぅぅぅぅぅ…と唸っている栞。
「……(とりあえず、恥ずかしいからぱっぱと食べてしまうか…今までやってきてなんだけど食べないのも悪いし)」
そんな感じで栞が端に手を伸ばしたのだが……
「あっ……」
そんな声が、栞の目の前から聞こえた。
「………むぅ?」
それに疑問に思いながらも、前を見ると……何故か目をキラキラさせている女の子が一人……。
「…そ、それはヘビスモパンダじゃないですか~ッ!!」
「……ヘビスモパンダ?」
何ソレ怖い。
「ヘビースモーカーのパンダ…略してヘビスモパンダですよ!!
ほら、私の弁当のここにあるでしょ!!」
少女が、弁当の蓋を指差すと、そこには弁当のおかずで作ったパンダと同じ物があった。
「……(これを狙っていたのか? 兄貴? 兄、兄さん…? ……言いづらいな)」
「いや~…転校してきてから、ずっとキツイ雰囲気で黙っているから話しかけ辛かったんだけど……意外と可愛いんですね~、栞ちゃんッ!!」
「…う、うん?」
なんか、もうやだ…それが栞の感想だった。
─ ─
その日の午後。
それはもう授業が終わり、ショートホームルームも終わらせ部活があれば部活、部活がなければそのまま下校の時間になった。
栞は部活にはいっていないので下校する事になったわけだが……
「……雨」
そう、雨だ。
「栞ちゃん、傘に入ってく?」
そしてこれである。
さっきの女の子は、異様に話しかけてきて…何故か仲が良いみたいになった。
あまり喋らないで相槌をうっているだけなのだが、それに対して女の子は異様に機嫌を良くしていた。
正直、人と接するのが苦手な栞にとっては…もう何がなんだかわからなかった(前話の作者のように)
「うん…もし良かったら」
そして、できるだけ自分でもしゃべれるようになってきた。
短時間で喋れるようになっているのは人と接するのが嫌いというわけではなく、逆に人とちゃんと接したい気持ちがあるからだろう。
そんなわけで傘に入れてもらう。
女の子の友達も二人ぐらい一緒に居るわけであり、女の子と話していくうちに、女の子の友達ともそれなりに話せるようになってきていた。
ちなみに、一応帰る方向は同じらしい。
そして、校門を出た辺りまで来たのだが…。
「兄貴? 兄、兄さん…? 言いづらいな」
なんか今回コレが三回目だが、要するに徹夜が居たわけだ。
自分が使う分の傘の他に、他の人が使うであろう傘を持って。
「………オッス、栞」
徹夜が、そんな感じで近づいてきた。
「栞ちゃん、知り合い?」
それで女の子…今更だが、名前は加奈子ちゃん。
とりあえず、加奈子ちゃんが聞いてきた。
「うん、兄さん……(言いづらいな)」
「じゃあ、ここで別れよっか?」
「うん……ありがとね」
「ううん、別に良いよ~」
そんな感じで加奈子ちゃんと別れる栞。
手を振ってお別れをすると、栞は徹夜のほうに向き直る。
その徹夜の顔はニヤニヤと笑っていた。
「これを狙ったの? ……兄貴? 兄、兄さん…? 言いづらいな」
今回四回目だね。
「さぁ…? あと言いづらいなら呼び付けでいいからさ……」
そんな事を言いながら、哲也は楽しそうに笑う。
徹夜は栞に傘を渡し、受け取った栞は傘を広げて使う。
そんな感じで自分の家へと歩き出そうとした二人。
「何で中学校に居るの? テツ兄」
そこに再び他の人の声が響いてきた。
「うぬ? フユか」
それは美月の弟である冬日だ。
「あれ、テツ兄の隣に居る人はどなた様?」
「義妹殿だよ」
「あ~、そういえばそんな事を美月姉が言ってたっけ」
徹夜と冬日は、そんな会話をしているわけだが……栞は冬日の方をジ~ッと見ている……というか、睨み付けている。
「……その人、だれ?」
「あ、少し前にお前も俺の幼馴染に会ったろ? その弟だ」
「…で、何でその弟様がテツ兄(…あ、言いやすい)の事を『テツ兄』を呼んでいるの?」
今更だけど( )の中の言葉は、その人の思考である。
「ああ、小さい頃に幼馴染の家にも少しばかりいくことがあってな……そしたら、自然にそんな呼び方をされ始めたんだ」
結構、無理矢理美月に家に連れて行かれたときが多い。
「ふぅむ……」
なんだか、義妹殿が…。
「まぁ、とりあえずフユ…栞は人と接するの苦手みたいだから、同じ中学校の先輩として、助けてやってくれ」
栞は中学一年、冬日は二年生である。
「うん、任せて!!」
「私は任せる気がないから大丈夫」
まぁ、そんな感じだった。
これ以上やると落ちが見つからないし、なんだかキャラとキャラの話が多くて疲れてきたから、ここらでやめようとおもうわけだ。
今後の栞の学校生活に期待!!
……まぁ、もう書くつもりは無いんだけどもね!!
ちょっと、この頃…テストやらで疲れてきた感がある。
誤字・脱字があれば御報告宜しくお願いします。