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俺は闇、幼馴染みは光の勇者様  作者: 焼き芋(ちーず味)
第三章 セカンドワールド 堕勇と勇者の戦争
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35話 屈辱の一週間の後

…というわけで、どうなれば完結かも報告しましたし…それまで頑張っていこうと思います。

「この一週間で、なにやら堕勇側が異世界に渡った形跡が出た。

まぁ、堕勇自身が渡ったわけではないらしいから偵察だけで済ませたようだし……数日後に、また召喚の魔法陣が現れるだろうから…その時が堕勇が世界を渡るときだろう」


それがカントクからの言葉だった。

一週間、つまり俺が学校生活でトイレ以外は、絶対に髪の毛を縛らなかった屈辱の一週間が過ぎた…その後のことである。

この俺達がいる国『フォルテ』の王都の中央にある建物の1つに、数人単位で大型の魔法具を管理しており、それが異世界に移ったときに現れる歪みを察知するらしい。

それで、どれほどの数がどの世界に移動したのかを察知する。

堕勇側も…それと同様の物を持っているらしく、相手も俺達も何かをしようと異世界に渡れば、それを知る事が可能で…そこを狙ってくるわけである。

こちらは前に奈菜が説明したとおり絶対的な防御と呼べるような結界を張っており、相手の居場所はいくつもの隠蔽の魔法で隠されている。

どちらも、それなりに高い技術で守られている。


しかも…堕勇側は瞬間移動テレポートの魔法で移動するため堕勇ですら、場所を知らないらしい。

……あえて、その場所を知っているとして、堕勇を纏めている老人だけである。



「こちらは一応、数人の騎士を偵察に送り…どんな世界に、なんのために世界を渡ったかを探らせたのだが……どうやら、ある国の…封印されている、よく言う秘密兵器、というモノの封印を解き…いろいろと混乱させることが目的らしい」

こんな短期間で何故ここまでわかるのだろうか、という疑問は生まれるだろうが……この世界は何人も勇者を召喚してきた事で技術が上がっている。

…つまり、それなりに高価なものだが……いろいろと探る魔法具があるのだろう。


「堕勇の思うように行かせるわけにもいかないのでね…相手が、移動すると同時に…こっちも行くことにする。

多分、召喚されて異世界に移ると同時に、堕勇との戦闘になるかもしれないから……次に異世界に移る前に、万全の用意をしておいてくれ」



それがカントクに言われた事だった。

そして、今回行くのは…勇者8人の全員らしく、俺はダルそうにするわけだ…正直、めんどくさい。

8人行くんだったら、一人抜けても変わらないのではないだろうか? …そんな事を思っちゃった(テヘペロッ)

キモイとか思わないで下さい……。




 ─  ─


それは、数年前だった。

数年前の、ある場所…それは一人の少女の過去である。



その少女は、小学生になる前に孤児院に預けられた。

孤児院に預けられる直前では…母と手を繋いで、ただのお出かけかと思っていた少女は楽しそうに歩いていたが…母は疲れているようで顔はゲッソリとやつれ、目の下には濃い隈ができていた。

少女が明るい表情で母に向かって笑いかけるが、母は疲れているので無理矢理つくった笑みを少女に向ける……それだけでも、少女は嬉しそうに笑った。


そして、少女はある建物…少女は知らなかったが『キズナの里』という、よくわからない孤児院に預けられた。

母は最期に、有名になどはなっていない誰かが書いた小説を少女に渡し…何回も振り返りながら、去っていく。

少女は、母が迎えに来るものだと思っていたが…いつまで待っても、母は来ず…何年も、その施設で暮らすことになった。



母は何処かに消えた。

その少女の父親は、賭けで負け…借金を増やし、母に全て押し付けて……何処かに消えた。


当時、意味のわからなかった事が…少女が8歳になった頃ぐらいに理解できた。

それと同時に、母は絶対に迎えにくることがないのを察した……まぁ、その時には少女はそのことを、ずっと昔に諦めていたが……。



少女は、施設内では…常に一人で、同じ施設に入っている子供達とは仲良くなる事ができなかった。

元々、人見知りであり…いきなり放り込まれた施設の中では、どうにも打ち解ける事が不可能だったのである。

少女は寂しい思いをしているが、どうにも打ち解けることが出来ない。


…だが、ある時に孤児院から引き取られ、居なくなった子供が居た。

その一人居なくなった事により何故か少女も打ち解けることが出た…周りの子供達もかわりの人間が欲しかったのかもしれない……その時に、少女は学んだのだ。





…居なくなった誰かの代わりの立場に入れば、人と接することが苦手な自分でも、その輪に入るのには可能なのではないか、と。

変な勘違いをした少女は、仲良くなるために人と接する、という選択ではなく……他の人がいなくなり、その立場に入ることを考えるようになった。

相当変な勘違いだが……それが幼い少女にとっては、一番の方法だと思ったのだろう。



それを少女は続けていく、自分が間違っていると思いつつも……ずっと。





 ─  ─


そこは誰もわからない場所にある、1つの建物。


「……わかっておるじゃろ?

勝手に異世界を渡ったのはともかく…何故、勇者三人を助けたのじゃ?」

老人が、目の前に居る少年と少女の二人に言った。


「…クソ老いぼれ、くたばれ」

眠たげな目をしている少年が、老人に向かってそんな事を言った。


「ウチは何もしておらんやろ…まったくウチが止めても、ミサキは走って行っちゃうしなぁ~~……まぁ、ミサキがやらんかったらウチがやってたけどな(キリッ」

そんな事を言うエセ関西弁の少女。

それに対して、老人は深く溜息をつく……その後ろでは、前の世界にも居た蟲女ではない少女が、誰でも驚くような、あまりにも凄い形相で美咲と楓を睨んでいた。


「そう、睨むなよ『妖刀』……この老いぼれの変な魔法で無理矢理操られている俺達は、好きで使われているクソ犬のお前とは違うんだよ」

美咲の眠たげな目には、眠たそうにしている見た目とは違い鋭い光が宿っている。


「うるさいぞ…本当にクソ犬の癖して調子に乗るな」

美咲を睨む妖刀と呼ばれた少女。


「……あ? 犬舐めんなよ、お前の自慢の武器の刀…へし折るぞ」


「ふん…やれるものなら、やってみろ。

あの世界で、無様に逃げた負け犬如きが調子に乗るな」

二人の間で異様な圧力が生まれているが…その近くに居る老人と少女は無視している。




「しょうがないやろ!! ウチのしたい事をしただけやッ!!」


「それが問題なんじゃ。

あれは我々の不利になることじゃろうに…あれで死んでくれれば、どんなに楽になったことか……」


「そしたら、奈菜ちゃんが死んじゃうやろ!!」


「……それを狙ってるんだと言っておろうがッ!!」

楓がめちゃくちゃな事を言っているのに対して、つい怒鳴り声を上げる老人。

完全に、楓のターンである。


「え~…? ウチ的には、どうでもいい事ですし」

関西弁が崩れた。


「……うん、次の世界ではお前ら付いて来い」

そして、お爺ちゃん口調も崩れた。


「えっ…やだ、戦うのも面倒やし…あんたらと一日中一緒に居るのも嫌や」

復活したよ、関西弁。


「…コレは一種の罰なんだよ。

文句を言わずに来い…それが嫌なら邪魔するな」

お爺ちゃん口調……返事が無い、ただの屍のようだ。




「グレモア……、今回は私も?」

いきなり老人の隣に、少女と思われる人物が現れる。

その顔には仮面が付けられており、…ちなみにその仮面は魔法で、どんなに揺れても取れないようにされており…その少女の素顔を見ることは不可能である。


「うむ…今日来ている堕勇を連れて行こうと思ってるんじゃよ」

お爺ちゃん口調……良かった、AEDが間に合ったみたいだ。

(ちなみに誰でも知ってる事だが、AEDで死んだものは復活はしない…復活したのは、ソレがお爺ちゃん口調だからだ)


そんな描写の茶番は置いといて、この周りには数人の影がある。

…だが、それは雰囲気を出すために無駄に頑張って調節された光量のおかげで、顔や特徴までは完璧に把握できない。

………何事も雰囲気が大切である。



「…その頭を噛み砕くぞ、クソ女」


「……その前に、その犬顔の上と下の顎を切り離してやろうか?」

いつまでも、マジの喧嘩をしている二人。


仲が良い、というわけではない……魔法で操られている堕勇や、自分でこっち側に来た堕勇、あとはこっち側で召喚された堕勇の三種類居るが…。

それらは団結しているというわけではなく、それぞれが友達感覚でつるんでいる者も居れば…お互いに毛嫌いしているものも居た。

同じ側に居ると言っても、決して仲間というわけではない。

いつもの態度の里稲のことを考えれば…それは勇者側もそうであるが、これよりはマシである。



「……」

老人は黙って、溜息をついた。





 ─  ─


その日は金曜の夕方であった。


「あぁ、母さん…俺、また泊まるかもしれないから…。

まぁ、その日の内に帰ってくる可能性もあるけど……」

すぐに戦闘になるかもしれないので……。


「なんか、この頃大変ねぇ…徹夜」


「うん、まぁ…学校だから」

特別な学校だから、さ……。


「そういえば栞ちゃんも、今日は友達の家に泊まりに行くって言ってたわね」


「ふむ…友達が居て、転校生には特有の一人ぼっち、というわけじゃないんで…いいんじゃないの?」

俺の、そんな言葉。

友達が居る事はいいことです……面倒な事に巻き込んでくるヤツでなければ…。


そんな二人の会話。

俺の母は雑誌を見ており、ちょうどその開いたページには要が大きく写っていた。

なんという…意外に人気らしいです、要さん。

そして、その要さんの横には並んで一人の少女が居り、二人で1つの写真で載っている様だ。




「ふむ…明日に備えて速く寝るか!!」

暇だから寝る。

いろいろと敵のフラグを立ててみた…。

孤児院の少女がなんだかんだ…というのは完全に、これ馬鹿で可笑しいだろ、と思った人も大勢居るでしょうが……正直、作者自身それは思っています。

でも…俺では力量が足りず、うまく理由が付けられませんでした。ごめんなさい。



誤字・脱字があれば御報告宜しくお願いします。

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