29話 寝ぼけるって怖い
なんか…うん……ごめんなさい。
…いや、特に謝ること無いけども…俺が気づいてないだけかもしれないし。
コードが倒れた理由は、虫が体内に溜め込んでいたであろう毒のせいだった。
戦っている途中でコードは横腹を虫に貫かれていたわけであり……その時に、虫に毒針がついていて毒がコードの体に進入したのかもしれない。
「……なんか、迷惑をかけて…すみませんね…あ、あははは~」
即効の致死性毒じゃないから良かったものの、そのまま放って置けば死ぬことも当たり前な毒をくらったわけであり…美月が治療魔法を施し、奈菜が解毒の魔法具を使ったのだが…少しばかり安静にしていないとダメらしい。
「いやいや…ボク達が、さっきのは助けられた形だし…謝る必要なんて無いよ」
コードの言葉に奈菜が答える。
……コードは寝かされており、ミサイドは座っている状態で寝ている……それなりに疲れたらしい。
まぁ、魔力を持っていれば体に負荷がかかる魔法具を使われていたが二人は少なかったので動けていた…だが、少なかっただけで決して魔力がないわけではない。
つまり戦うことが出来ても、やはりそれなりに負荷がかかっていたのだろう。
「お腹、減ったな…」
そして…俺はリバースしたわけでして……。
だが、俺の闇収納を舐めるのではない……いつでも食べられる干し肉はもちのロンのこと…当然、乾パンも揃えているわけであり…お湯もないくせにカップラーメンまであったりする。
お湯のないカップラーメンもイケルかも知れない……さすがに、それは嘘だけど。
そして、俺たちは今…奈菜が取り出したテントの魔法具の中にいる。
まぁ…魔法具と言っても良くテレビにあるような小さな物が展開していくと大きなテントになる、というもので…展開した後のテントの形は、普通と言っていいものである。
「何か撃てるものないかな~?」
そして、美月はボウガン片手に外を見ていたりする。
どうにも一発で当てたことが嬉しくて、楽しくなってしまったらしく……ここもゾンビの様なヤツが出てきたり、近づいてきたりするので、それの頭などを一発で打ち抜いてるわけである。
まぁ、本人のやりたいことをやらせることはいいことだと思うけど…さすがに人間の形をしてモノを打ち抜いていくのは、いろいろとアウトだと思う。
だってさ…俺がやったら、元の世界に戻ったときにエアガン(あくまで威力が弱いもの)で和馬(の脳天一点だけ…)を撃ち抜いちゃいそうだよ。
「徹夜…さすがに、私はそんな事はしないよ? ……そして、和馬くんが可愛そうだからやめようね」
……この頃、いつも以上に思うんだ。
…美月ってエスパーなんじゃあ、ないかと……。
「いや、絶対にそんなわけない。
……そんなわけない、そんなわけないそんなわけないそんなわけないそんなわけないそんなわけないそんなわけないそんなわけないそんなわけないそんなわけないそんなわけないそんなわけないそんなわけない」
…この頃自己暗示が多いと思う気がしなくもない。
「……?」
キョトンとするな、美月よ。
お前のせいなんだぞ…もう一回言おう…お前のせいなんだッ!!
これは俺の思考であって、一回も口に出しているわけではないから…言ってはないんだけどね!!
「はぁ…とりあえず食事にするかな~……やっと、やっとこの空腹感を取り除くことが出来る」
俺は闇のなかから食べられるものを取り出し始める。
……安定の乾パンの美味しさに勝てるものは、な…くもないか。
とんかつとか美味しいし…。
「…食べられる物は、何があるの?」
「ん~…乾パン、干し肉…水、あとは~……さぁ? 無駄に入れすぎててわからんな」
長くモツモノをテキトーに入れたりしていたのでお菓子などもあり、飴玉やビスケットなどもあるんだよね~……結構入れ続けたんだよ…一時間ぐらい。
まぁ、食べられないものとかも入れてそうなんだよね…俺その時寝ぼけていたし、深夜2時ぐらいだったんだよ。
多分、マンガとか入れちゃってそう。
あ…あとは、前の世界で買ったお菓子ぐらいかな。
「まぁ、テキトーに出してみるか」
俺が闇に手を突っ込んで、勢いよく中身をぶち広げてみたりする。
「ふむふむ…徹夜が言っていた通り、乾パン、干し肉、お菓子……納豆ドリアン?」
「俺、それは入れた記憶ないんだが……というか、あの世界にあったことすら知らんのだが…」
寝ぼけながらやるのって…なんか、怖いね……今度から気をつけようかな。
「とりあえず納豆ドリアン以外のもので何か貰うね~」
「おぅ、納豆ドリアンを貰って欲しい所だが…さすがに期待はしないさ」
美月はビスケットと水、後は乾パン(25個ある内の1個)を持っていった。
「あ…ボクも貰うよ~」
そして、さっきまで魔法具でコードの体調を確認していた奈菜だが…やっと安全だという事がわかったのか、奈菜はこっちに来て食べるものを捜し始める。
「…納豆ドリアン?」
「………………もう、そこには触れないでくれ」
皆、気にするんだね…納豆ドリアン。
「徹夜くんの好物とか?」
「そんなんじゃないから……そんな、ゲテモノなんていらないからさ…奈菜が貰ってくれると俺的には嬉しかったりする」
「……遠慮しとくよ」
やっぱり貰ってくれないか…テキトーな場所に捨てておこうかな。
…だって、食べるの嫌じゃん。
とりあえず…俺もいただきますか……。
ここから動きだすのには……いつになるのかね…まぁ、闇って無駄に入るから3~5日ほどは大丈夫だったりするんだが。
─ ─
3日後…。
「…無駄に時間をかけさせて…本当に、すまない」
完全回復したコードが居て、頭を下げながらそんな事を言う。
奈菜の魔法具や美月などが治療魔法を数回に続けて使い、コードを治療していたことが良かったのだろうか……結構な速度で回復していった。
まぁ、SSランクの冒険者なので…今まで体を鍛えてきたおかげでもあるんだと思う。
「……久しぶりによく眠ったな」
このコメント……俺だと思うだろう?
甘いな、甘すぎるぜ……このコメントは、俺ではなくミサイドだ。
「ねみぃ~~……」
これは……俺だァ~。
美月と奈菜はコードの治療、ミサイドは本人でさえ思っていた以上に体が疲れていたのか…相当、長い間…ぐっすり眠っていた。
正直、助けてもらった身であるので何にも言えなかった。
夜中の間、俺はできるだけゾンビの様な物が近づかないように不寝番をして…と言われてしまったので……やるしかなかったんだ~。
まぁ、やることが無かった俺は仕方が無いとしか言いようがない。
だから、文句は言わないよ……こんチクショウめ。
せ、せめて……4時間は、眠らせてくれても良いじゃないか…………zzZZ…ハッ!!
寝ちゃいかん、寝ちゃいけないよ…寝たら死ぬと思え!!
「……スゥ…」
「徹夜、立ったまま寝てるよ…」
「ハッ!?」
まぁ、そんな感じである…ねみぃ。
そして、一日も歩かずに…目的の山に着く事ができた。
「……ここかぁ~」
俺の言葉…ちょっと今になって、帰りたくなってきたかも。
─ ─
「うぅむ…いろいろあったものの、無事到着やで? ミサキぃ~」
徹夜達から相当距離が離れた場所に少女と少年が立っていた。
「……さすがは転移魔法…あの距離を一瞬で移動するとは………。
この三日で、ここまで来るのには骨が折れた……」
「ミサキとウチで、交互に移動しないと間に合わなかったもんな~」
ちなみに…二人とも目の下には、ほんの少しだけ隈ができていたりする。
転移魔法で苦労も無く移動した距離は、どうにか追いついたものの……勇者の運動神経を持つ、二人でもさすがに辛いようだ。
それでも、相当な距離を三日で追いついた二人の速度は速く、交代交代で進んだとは言え…追いつくことが出来たので相当なものだといえる。
「……それで、俺達とは違う。他の堕勇の方はどうなったんだよ…?」
「ウチが見た限りだと、居るね……ここからザッと見ただけでも、あの女の虫が数匹いるねん」
楓はそんな事を言うが…彼女が居るのは徹夜たちとも相当距離が離れており…美咲が見ても、虫などはおろか、生き物など存在しているようには見えない。
「…いつも思うが、お前目が良いよな」
「『魔眼』のヤツほどじゃないんやけどな~……こんな体やし、見えてしまうねん。
……好きでこうなったわけでじゃないんやけど…」
「……お前が、無駄に暗いことを言うのをやめろ。
お前からポジティブをとったら何も残らないぞ……?」
「なんか酷い事いわれたッ!! 普通、ここは慰めてくれる所やろ!!」
「え~…」
「何、その素の反応!?」
この二人、いろいろと…楽しそうだ。
「まぁ…とりあえず、見に行くか」
美咲は、そんな事をいいながら歩き出す。
「なんか、もう嫌や……ミサキにお願いされたとは言え、ウチに関係ないのに…こんな世界に来るんやなかった」
「別に頼んでないから…」
「またまた~」
「……」
「そんな睨まんといて……」
そんな二人が居て…その二人は歩き出した。
「さて、会えるかどうかわからんけども…奈菜ちゃんに会うのが楽しみや……ジュルリっ」
「……」
「あぅ!?」
楓のこめかみを、美咲の拳が食い込んだ。
なんで前書きで謝ったのは、本格的にわかりませんが…今回はこれで終了させていただきます。
今回は少し速めに投稿!!
誤字・脱字があれば御報告ください