20話 王女
奈菜が出かけてから一日経った。
奈菜は、その日の夜に帰ってきたのだが……堕勇の事もあるので、美月が帰ってくるまで心配していたのが印象に残っている。
帰ってきた奈菜は、少しばかり充血している目だったのと、とても嬉しそうな顔をしていたので、無事に王女様には会えたのだろう。
あれは完全に泣いたと思う。
それほど、嬉しかったのだろうが、奈菜は……その泣いた跡があるのが恥ずかしそうにしてそそくさと自分の部屋に戻っていった。
というか、報告してくれよ…報告。
まぁ、さすがに奈菜に聞きに行く度胸もないので…その日の俺はぐっすり寝ました。
俺ってあまり人のことを考えられる人間じゃないからさ、泣いてる人、もしくは泣いた人に声をかけることなんてできないんですよ。
ラウが泣いてるときにかけた言葉なんて、ひどいったらありゃしない。
あれほど、恥ずかしかった事はないです。
そして、一日経ったわけで…俺は美月に部屋に呼ばれたわけだ。
部屋には少し寝ぼけている俺と、きっちりと眠気が覚めて身支度を整え終わった美月。
「いやいや、昨日のは…だって、あんなのボクのキャラじゃないんだもん」
そんな事を言いながら布団をかぶって、ベットの上に丸まっている奈菜が居るわけだ。
「奈菜ちゃんが案内してくれないと、私達なにもできないよ…?」
美月の言葉。
結構長い間、美月が説得を試みているようだが、なにがキャラが違うのか知らんがずっと丸まっているみたいだった。
「すぐ泣く私なんて、いつものキャラじゃないもん……あ、『私』じゃなくて『ボク』ね…間違っただけだから、これが素じゃないから」
ほぼ素に戻りかけてるな、お前。
「お前…何を拗ねてるんだ……」
俺は、ただ呆れた声を漏らすだけだったのだが、それは長い間続き、城から迎えに来たときに、やっと終った。
どうやら、その王女様が奈菜が拗ねると言う事を見通して、命令されてきたらしい。
しかも、その城からのつかいさんは、昔から奈菜との知り合いらい。
今は、俺とその人が向かい合ってテキトーに話をしている。ずっと、拗ねているような状態の奈菜を美月が身支度を整えるということで追い出された。
「それにしても…奈菜さんが「ボク」という一人称を使ってるのに驚きましたよ……昔は貴族のお嬢さんみたいな方だったのに」
その人…コード・アクレイドという青年は、そんな事を言ったわけだ。
この人はSSランクの冒険者らしく、今は城で王女さんの下で働いていたらしく…昔は奈菜と同じで討伐組に入った実力者らしく、少人数しか生き残らなかった人たちの一人らしい。
うん、1つの文に『らしく』が3つも入ってきたな……。
「ふむ…今の奈菜しか知らないから、そんな事を言われたら驚きしかないなぁ~」
ちなみに、もう仲良くなりました。
結構、面白い話をしてくれるんですよね。奈菜の過去(恥ずかしい話)とか、奈菜の過去(笑える話)とか、ね…。
奈菜の過去の暗い内容は言わないようにしてくれている。
「でも、奈菜がお嬢様みたいな性格って……ぶふっ」
思わず噴き出してしまった。
「昔は髪も長かったので、自然でしたよ?」
ちなみに、キャラ描写は魔王の髪の長さと、要のポニーテイル…あとは、炎が火竜を出した時の赤いライン以外は一切してないのでわからないと思うが……今の奈菜は、短いのでショートヘアなわけである。
まぁ、いつものイメージ的に合ってると思うのだが…今のキャラで髪が長いのはあまり想像できないなぁ……。
俺の場合もそうなのだが、ずっと髪を切らずに長くしておくと、髪を切るときに「切りたくねぇな~…」と思うんだよね…だから俺的には、よく切ろうと思ったわな…と思うわけである。
そして、いつも思うのだが、俺はへそまで長い髪を後ろで束ねている、という描写が存在するわけだが…俺の髪は後頭部の上…つまりつむじ側なのか、それとも下のほう…つまり首のほうなのかは説明していないという駄目描写があるわけである…まぁ、それは人それぞれのイメージだろう。
え? 面倒だからって人任せにしようとなんて思ってないよ? アッハッハッハッハッハッハッハ…。
ん? あれれ……俺は何を意味わからないことを入ってるんだ? 描写って何のことだ…人それぞれのイメージと言ったが、普通俺を知ってる人なら、髪型ぐらいわかるはずじゃないのか? むむむ…。
とりあえずはほっておこう。考えても仕方がない。
「ふ~…やっと終った」
疲れたような美月の声が聞こえてきて、美月と奈菜が順番に下りてきた。
「あははははははは~……あ、あれは素じゃないよ~…ぼ、ボクの演技なのさっ」
そして俺と目があった瞬間に汗をだらだらと流しながら、そんな事を言う奈菜。
「そぉ~だね~……」
「うわぁ…その返答の仕方はひどい……」
俺のテキトーな返事の仕方に文句を言ってくる奈菜だが、無視。
「おはよう、奈菜さん」
コードが奈菜に笑顔でそんな事を言うわけだ。
まぁ、コードに対しては昨日の奈菜の顔が見られていないという事もあるせいか、笑顔で返事をし返している。
「ああ…もうダメだ。うん…気持ちをしっかり持って、またキャラを作っていこう!!」
手遅れだと思うが、もう言わないで置こう。
「では、お城までお連れしますね」
コードが、そういうと立ち上がり、外へと足を進める。
すると、外には少し大きめな馬車があり、そこに入っていく。どうやら昨日奈菜が王女さんとやらに俺たちのことを話していたらしく、ぜひとも来てほしいというわけなのだ。
そんなわけで馬車は進み。
それなりに大きいが今まで見た城と比べると少し小さめの城へとついたわけである。ここも元は王女が来るようになんてつくられてなかったのか、豪華で派手…というわけではなく限りなく戦いやすいようにしてあるため、今まで見てきた他と比べると寂しい感じだ。
そして、奥に入っていくとある一室に足を踏み入れる。
そこは、豪華というわけでもなく…少し大きめの部屋にベットなどが置いてある、誰かが住む部屋なのだろうという事がわかる。
そして、一つのイスにある女性が座っていた。
20歳代ぐらいの銀髪ロングヘアーの女性だ。
「ようこそ、異世界の人たち…奈菜と一緒に来てくれてありがとう」
その女性はニッコリと微笑んで、そんな事を言った。
ヤバイ、計画を立ててないことが俺に苦となって襲ってきた。
ちょっとこれからのストーリーを細かく考えていくので、少し時間がかかります。
誤字・脱字があれば御報告ください。