19話 偶然
特になしっ!!
あの眠たげ少年…美咲という堕勇を会ってから一日経った。
今は朝早い時間…ケータイを見る限りだと朝の8時なのだが、(正直、朝早いというわけではない)ぐっすりと眠っている俺は起こされ、美月と奈菜の部屋に呼び出されたわけである。何か話があるみたいなのだが、俺的にはあと5分…いや、50分、いやいやいや…もっと延ばして五時間は寝たいです。
「うん、まぁ…徹夜くんが酔ってグダグダになった美月ちゃんを部屋に抱えていったときに、偶然昔の知り合いに会っちゃってね…。
王女様に会えるようになったんだ……」
「そりゃあ、良すぎる偶然だな~…」
正直、何でここまで良い偶然があるのか分からんが…。
「確かに良すぎる偶然ではあるけど…これを逃すと王女様には会えない気がするんだ」
「そこは、奈菜ちゃんの判断で良いんじゃない? 私達は、ただの手伝いだからさ~」
美月は、俺が闇から出したお菓子の一つを食べながらそんなことを言う。
ちなみに、歯が欠けるほど硬いせんべぇはちゃっかり美咲という眠たげ少年が、テーブルの上においてあったせんべぇを全て持って行きやがったので、残り二枚程度だ。
まぁ、歯が欠けたら嫌だから食べないけどな。美月と奈菜にでも食わせようと思う。
「ありがと。…徹夜くんもそれで良いかな?」
「ああ、それで構わないぞ」
俺は歯が硬いせんべぇを一枚ずつ美月と奈菜に差し出しながら答える。
「うんうん…じゃあ、その知り合いとは、日が真ん中辺りに昇ったら会う約束があるから、時間を見て出かけるね」
奈菜はせんべぇの名前を見ると、スススス…という動作でせんべぇを美月の前に置いた。
日が真ん中辺りと言う事は、お昼ぐらいだろうな…。
「ん~…じゃあ、私達はどうしたらいい?」
美月はせんべぇを俺の前に持って行…こうとして、俺の手に阻まれたため奈菜の前に置いた。
完全に皆、このせんべぇを食いたくないみたいだが…あえて俺はせんべぇを闇の中にしまわない。
「ん~…テキトーに、この都市の中を見てまわったら?」
俺は闇の中からコップと水…あとは、鍋のようなものを取り出す。
そのなべに水を入れて空中に闇で支え、その下に小さいサイズの『火の球』を浮かせて、熱湯にする事にした。
「でもなぁ~…見てまわるといっても、これと言って見回る目的がないからな~」
もう既に十分熱くなった水…つまりは熱湯を、コップの中に入れる。
そこに闇から取り出した安物紅茶のティーパックを入れる。……うむ、準備完了だ。
「そこは、そっちでどうにかして欲しいなぁ~…」
俺はついに回ってきてしまったせんべぇを思い切り上から砕き、小さくしたものを口に含む。
か、硬い…。
「えぇ~…」
ティーパックを取り出し、中の紅茶を口に含む…熱い。
舌、火傷したかな……。
「徹夜は私と一緒に、どこか見てくるから大丈夫だよ」
「勝手に決めんなよ……俺は、借りてる部屋で寝ていたいんだよ…」
せんべぇの食べる方法を考えたのだが、水でふやかせば食べられるのではないだろうか? でも、超マズそうだな。
とりあえずは完食を目指すために、水の中に入れてみた。
「まぁ、とりあえずはそんな感じだからさ…ボクが王女さんに会えたら堕勇関連のいろいろと面倒な事もすっとばせるし、良い報告ができる事を祈るよ」
「確か美咲が言うには、他に邪魔してくるであろう堕勇が来てるらしいからな……美咲は他にもう一人と一緒に行動してるらしいが…。
俺的には美咲たちに他の堕勇とやらを撃破して欲しいわけだが、手出しはできなそうなことを言ってたぞ…」
「まぁ、相手がそれなりに強い相手だから自分の事を気づかれる前に倒す事ができないのか…それとも、気づかれちゃいけない相手がいるのか、なんだけども…どっちにしても厄介なのは変わらないと言う事だね」
ん…もうせんべぇを出してみて良いかな? という事でせんべぇを出してみることに…そして口に運び、恐る恐る噛み砕こうとする。
か、硬い…だとっ!?。
再び水の中に入れる。
「はぁ…覚悟はしていたから、堕勇が首を突っ込んでくる事は別にどうでもいいんだけど…美月ちゃんたちまで、巻き込んじゃうんだから迷惑にもほどがあるよね…」
ぬるくなった紅茶を口の中に含む。
正直、お茶の味はよくわからないので、安物だからまずいとかは思わない。まぁ、それ自体興味ないからどんな味でも良いんだけどもね。
飲めれば良いのだよ、飲めれば……。
「別にそんな事を気にしなくて良いよ。こっちが好きで巻き込まれているんだからさ…」
なんか、このせんべぇさ…一時間水につけといたとしても硬そうだから怖い。
なんつぅか…うん、怖い。
それしか、言えん。
「まぁ、徹夜は私が巻き込んでいるんだけどね」
美月……お前、気づいてたのかっ!!
…っとと、お茶とせんべぇについてだけ描写しようと思っていたのに…つい、やっちまったよ。
とりあえず再び描写縛りを再開しようかな。
「まぁ、徹夜くんだったら美月ちゃんを、ほっとかないだろうし…美月ちゃんからのお願いとか誘いを全て断れなさそうだろうしね~」
…俺は、お茶を飲む。
「うん、あまり断らないよ~? 他の人が関わってる事だと断固として断るけど、最後には付き合ってくれるしね~」
……お、俺はせんべぇを取り出し口に運び、噛み砕こうとして…弾かれた。
何コレ怖い。
小さな人が大きなモンスターを狩るゲームであるモ○ハンじゃないんだからさ…。
「ふむ…まぁ、両思いで良いですな~」
「マジで、そういう事いうのやめてくれるかなっ!!」
俺の大声。もう描写縛りとか…どうでも良いや。
そして美月よ…あいかわらずの嬉しそうな顔になるんじゃない。俺は恥ずかしくて嫌なんだ。
「ふむ、じゃあとりあえず…行って来るよ。
それなりに遠い場所だし、その知り合いって何時間も前に来て待ってるような人だからね…」
「いってらしゃ~い」
美月の言葉。
「おぅ、頑張ってきなさいな~」
そして、俺の言葉。
水から取り出してせんべぇを口に運ぶ。
「……予想通り、不味い」
やっと…食べれました。
うん…まぁ、やっと食べれるようになったせんべぇは…結局は捨てましたとさ。
注意:せんべぇはスタッフが苦笑い気味に、そして…美味しくなさそうに、いただきました
ちょっと小説検索のところで確認してみたら、この小説を読み終わる時間が1000分を越えてました。
そろそろ、この小説だけに力を入れるのやめようかな…。
まぁ、いつも通り頑張るつもりですから問題ないです。
誤字・脱字があればご報告お願いします。