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俺は闇、幼馴染みは光の勇者様  作者: 焼き芋(ちーず味)
第三章 セカンドワールド 堕勇と勇者の戦争
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12話 またもニチジョ…からの~?

そして……。

俺と奈菜が対峙している。

奈菜の手には、美月との戦いでも使用した手袋がはめられており、大剣が握られている。

その剣は振られた後で、俺はその剣を自分の二本の剣で受け止めている。


「なんでこの威力の剣を受け止められるのかな~…」

呆れ気味にそんな事を言う奈菜。


「…これぐらいならまだまだ許容範囲ですたい」


「パワーが格段に高いとは・・・偏ってるね~・・・」

確かに偏ってる気がするけどね。

ちなみに、こんな感じで斬りあって30分。逃げて斬って逃げて斬って逃げて斬って、を繰り返している俺。

30分も続けていれば、当然俺達二人とも疲れているわけであり、横でお茶を飲みながらくつろいでいる美月がとても羨ましい。

そして、当然の結果、斬りあいは終了することになった。

はっきり言うと俺達二人とも、もう息切れがハンパではない。


まぁ、本気で斬りあっていたわけではないので、決着がつくことも無く、30分も続けていたわけだが、これで奈菜の戦い方がわかった。

奈菜の戦い方だとなんか暗器使いを思い出すのだが、どこか違う。

漫画とかで見ると一気にいくつもの武器をつかっているのだが、奈菜の場合だと一つか二つ。

ただ戦い方だと騙す事を前提に造ってる武器もあり、どこか雰囲気があるのだ。


とりあえずは、もう終了して、美月の近くに行きドカリと座り込む。


「二人とも、お疲れ様~」


「……ていうか、何でこうなったんだっけ?」


「ん~、奈菜ちゃんが徹夜に仕返しし、徹夜が奈菜ちゃんに仕返しし、を続けていくうちにこうなったんだよ」

俺達、低学年のガキだな。

とりあえずは今の時間を確認すると昼、丁度12時だという事がわかった。

なので、それぞれが弁当を取り出し、食い始めている。

俺は疲れたのでゴロ~ンと寝転がったままなのだが、それを気にせず二人は食べており、要は朝からず~っと帰ってこない。

……こりゃあ、死んだな。…まぁ、人の群れに捕まって来れないだけなんだろうけど、応援するしかないな~、ガァーンバレェ~・・・。

いや、俺は何もしてないしね? 俺は何も悪くないし~・・・はい、ごめんなさい。うざいですよね・・・。もう、やめます。


「あ~……ちょっと不思議な猫を愛でてこようかな~?」

そんな感じでヨタヨタと歩き出し、扉がある部屋へと到着する。


「あニャ? 徹夜殿ではございませぬかニャ」

サバ缶を開けて、そこにフォークを突き刺し、自分の口に運んでいるタベがいた。

…てか、その手でどうやってフォークを持ってるんだ?

あれか、青いタヌキと同じで不思議な手なのか? 形を変えずに持てる万能な手なのか?


「おっす、お前は不思議な猫だな~」

タベの目の前に座ってみる俺。

俺は犬派だからさ~、猫も可愛いと思うけど、やっぱり犬なんだよね~。


さすがに腹が減ったので、自分の弁当を取り出して食べ始める。


「徹夜殿は闇が使えるそうですニャ~。カントクが驚く表情を久しぶりに見たニャ」


「ふ~む…お前も見てたのか?」


「面白そうニャ物を見ないで、何を見るというのですかニャ?」

まぁ、俺もお前の状況だったら見に行くわな。


「それにしても『魔王』と『武器庫』の二人とも突破されるとは思わなかったニャ。とっても有能な徹夜殿と美月殿の二人には期待してるニャ~」


「……お前も働けよ。お前は正直な所、強くないか?」


「いやいや、こんな可愛い猫に働かせるなんてどんな鬼畜ニャ。それに、ボクが強いかニャんて事は、今は関係ないニャ」


「なんで関係ないと思う?」


「……だってサボりたいんニャもん」

死にやがれ、クソ猫。


「今、ひどい事を考えなかったニャっ!?」


「いや、全然」


「その爽やかな笑みが反対に怪しいニャっ!! 絶対にひどいことを考えてたニャ!!」

指(あるのか?)で、俺のほうを指してすごい騒いでいる。


「俺がそんなひどい事を考えているなんて、そんな事があるわけないだろう?」


「にゃにゃにゃにゃ……っ!!」

それでも俺は笑みを絶やさず返答すると、猫…つまりタベは唸りながらこっちを睨んできている。

そんな感じの会話をしているのだが、俺がさっきと同様に笑みを絶やさずにいると、タベは話題を変えることを選んだ様で、喋りだした。


「それにしても……これで一年ですニャ」


「一年……?」


「奈菜殿が、この世界に来て一年ですニャ」


「ん? 俺達はともかく、他の勇者はここで召喚されたんじゃないのか…?」

正直、俺は勘違いしてたのかな?


「瑞穂殿と和馬殿、あとは要殿に里稲殿…あと、こっち側に居た堕勇の『蟲女』『冥土』『水晶』はこの世界で召喚されたニャ。そして、自分で堕ちたわけでもなく洗脳されたわけでもない堕勇はこの世界で召喚されたニャ。

付け足すとして……こっち側、又はこっち側だった勇者たちは決してこの国で召喚されたのではなく使い魔を召喚しようとした結果、召喚魔法の陣が間違っていたりなど、という間違いで他の国に召喚されたのを、この国で保護したニャ」


「間違いでの召喚だけではなかったのだろ?」


「それはそうだニャ。徹夜殿たちの世界では存在しないが、ボクたちがいるような世界での勇者とは一騎当千の重大な兵器だニャ。

当然いくつもの国が欲しがっている、それを一つの国で独占するのも相当辛いニャ。

まぁ、独占してるのは勇者側と堕勇側の二つだけどもニャ」


「ふむ…いろいろと過去があるわけだな・・・。

それで、奈菜がどうしたんだって・・・?」


「それは……にゃにゃっ!!?」

いきなり変な声を出したタベに対して、俺がどうしたのかと聞こうとしたのだが、それはできなかった。

後ろから…──


「……何を聞き出そうとしているのかな~?」

──…怖い声が聞こえた。

あ・・・あははははぁ~・・・・・・やっちまったぁ~・・・。

そして、風を切る音・・・。


「おわぁ・・・ッ!?」

俺が慌ててしゃがむと、俺の頭があったところを剣が通過していった。

慌てて立って、奈菜から離れるようにして跳ぶ。


「あぶないだろっ!!」


「ボクの過去なんかを聞いてるからだよ?」


「タベが勝手に話し始めたことだっ!!」


「にゃにゃっ!? 徹夜どno…」


「タベ、ホントかな?」


「否定は、できない…ニャ……」

オロオロとしているタベ。


「今の内に、逃げるっ!!」

その声とともに部屋を飛び出す俺。

いやだ、絶対にいやだ。痛い目になんてあいたくないし…・・・絶対に、ここで逃げる事が俺にとっての最善の策だ・・・っ!!


「ニャ~ッ!? 徹夜殿、自分ひとりで逃げるとはひどいですニャ!!

僕も逃げるのですニャ!!」

俺の行動を見たタベも四足歩行になりながらも走り出すわけだ・・・。


「ボクが逃がすと思っているのかな?」

そんな声が後ろから聞こえた・・・・・・超怖い。




─  ─


「体中いてぇ…」

今は夕方の時間。

元の世界とこの世界・・・そして俺と美月が最初に召喚された世界も含め、他の世界では時間の流れは共通である。

やはり李氏が600年前に何故召喚されたかというと、召喚の魔法陣に時間設定がなかったための間違いであり、俺が共通の時間が流れる時代に召喚されたのもある意味奇跡である。


・・・あと、奈菜には捕まった。いろいろと痛めつけられた・・・めっさ痛かった。

ちなみに、途中から要の使い魔である虎も加わったから洒落にならなかった。本当に勘弁して欲しいのだが、これが自業自得だということは否定できない。


「徹夜~」

そんな感じで俺の名前を呼びながら美月が駆け寄ってくる。

その手にはいくつもの棒が握られており、その棒の先についている食べ物であろう物を、モソモソと食している。


「何だ、それ?」


「ん、お菓子」

あ、さいですか。


「お城を出て、テキトーに散歩してるついでに買ってきた」

ついでに、お金などは渡されており銅貨、銀貨、金貨の三つなのは変わらず、銅貨100枚で銀貨1枚ということで前の世界とは変わっていない。

俺が持っている前の世界の金貨300枚弱は、換金が可能との事。

まぁ、なんとなく記念に全部持っておきます。まぁ、最初の異世界には戻ろうと思えば戻れるからね。


「徹夜も一つらう?」

食らうって何だ? 『食べる?』とかにしとけよ。なんかイメージとあわねぇんだよ。


「じゃあ、もらうわ」


「はい、あ~ん」

・・・・・・・・・はい?


なんでお前は嬉しそうな顔で俺の顔にそれを近づけてくるんですか?

・・・ああ、なんかもう・・・だめだ。この頃勝手に変な方向に進んでいく状況に消化不良になってばっかりだ・・・。


「自分で食べるから良いよ・・・」

とりあえずは美月の嬉しそうな顔には本当に悪いが、美月の持ってる物をひったくり食べてみることにする。

んむ、甘いのだが、食べている感じだとトロリでネチャ~というか・・・あれだ、中学生以来食べてないが、水飴みたいな感じである。


…うん、美味しいです。

めっちゃ甘いのだが、俺の許容範囲内に入ってる甘さで丁度良い。正直、チョコの甘さは苦手なのだが、さっきも言ったとおり…これは良いね。


「どう?」

美月がこっちを見てきている。


「うん……美味しいよ」


「じゃあさ、ちょっとお菓子の店巡りでもしない?」

う~む、まぁ・・・特に何もないし、良いかな?

うん、良いだろう。


「ああ、別に良いけど?」


「じゃあ、行こっか」

俺と美月は歩き始める。

美月は来た道を引き返し、俺は美月に連れられて歩いていく。


そういえばさ、俺がひどい目にあってる間に・・・美月はお店めぐりですか・・・。

あはははは~、気にしないようにしようか……。



この世界では勇者に影響されてる事が多いため、見た事のあるお菓子はもちろん事、見た事のないお菓子もあり、とても面白い。

美月には店を連発で5店ほど見た。

美月もあまり見ないで俺に会いに戻ったせいか、まともに見ておらずはしゃぎながら店で楽しそうに買い物をしている。

美月は結構物を買っている・・・それに負けず劣らずの勢いでお菓子を買ってしまってる俺・・・見たときのないものにはいろいろと好奇心があるわけなんですよ・・・。


「徹夜、これお湯で膨らむわた飴だってよ・・・?」

つまりは、食べてなくなってきたわた飴をお湯に入れることで再び大きくする、というものである。

でも、お湯に入れた瞬間とけてしまいそうなのだが・・・。


「大丈夫なのか、それ?」


「裏面に注意でお湯に入れたらとけるのでご注意ください、だって」


「だめだろ、そりゃあ・・・完全にダメ商品だろ」

どんな世界にでもあるんだね、こういう「何でつくったよ、この製品」って思うものが・・・。


「徹夜、歯が欠けるほど固いせんべいだってさっ!」


「なに? このお菓子を作ってる会社(と言うべきなのか?)は人の事を馬鹿にしてんの?」


「ちなみに、さっきのわた飴とこのせんべいをつくってるところは同じです」

ホントに阿呆なものばっかつくってるな。……もう、そこ終ってるだろ。

というか、美月も美月で、ゲテモノお菓子だけを探し当てるな。


……と、そんな感じに進んで行く。

どんどんと時間は進んで行き、薄暗くなってしまった。

そして、俺達はもう帰るために歩いていたのだが、城は見えるのに城につかない、まるで幻術にでもかけられてしまったみたいだ・・・・・・はい、つまり迷ったと言う事です。

いや~、洒落にならん。


「ん? あれは奈菜?」

俺の視界には、人のいない広場に一人たたずむ奈菜がいた。


「私達と一緒で、まだ帰ってなかったんだね」

俺の隣の美月がそんな事を呟く。


「おい、奈菜。どうしたn……はっ!?」

俺と美月は奈菜に近づいていき、俺が奈菜に話しかけようとした瞬間に異変が起きる。

広場をうめつくす一つの金色の魔法陣。

その光景に最初に召喚されたときの状況を思い出し、固まる俺と美月。







「……やっと、やっと戻れる。あの世界に戻れる時が来たんだ」

そんな中、ある少女の声が聞こえた。

それは奈菜の声。いつものふざけた様子ではない、真面目というわけでもなく……ただ静かに呟いていた。





その魔法陣に、奈菜…そして俺と美月が呑みこまれて行った。

今回早めに投稿です。



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