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俺は闇、幼馴染みは光の勇者様  作者: 焼き芋(ちーず味)
第二章  堕勇と堕天の面倒事
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26話 ナルシストですか、あなたは

ある少年が建物の屋根を跳び移る。

店だと思われる建物、民家だと思われるもの、ギルドの支部だったと思われるもの、それらの屋根を飛び移りながら相手に攻撃を放つ。

相手は背中に白い翼をはやした男。つまりは堕天使だ。

そして放った攻撃は金属の弾丸。それは二丁の拳銃から放たれたもので、それを使っているのは和馬だ。

風を切りながら飛ぶ弾丸は堕天使の翼によって弾かれる。


「……さすがに実弾じゃあ、無理か」

和馬がポツリとつぶやく。その声には感情はこもっておらず予想できていたことのようだ。

そして、和馬に向って風属性の魔法で貫通力の増した羽がいくつも発射された。

和馬は銃を連射して一つ一つ弾き飛ばす。それでも弾き飛ばせなかったものは体をひねってどうにかよける。


「どうしたんですか? そんな攻撃じゃあ私を殺せませんよ? それともそんな攻撃しかできないのですか?」

堕天使がニヤリと笑いながら口を開く。完全に挑発をしてきている。

当然、和馬はそんな事は気にしてないという顔で銃の引き金を引く。

その銃弾の行き先はすべて口の中。それを堕天使は翼ですべて弾く。


「あなた微妙に怒ってませんか?」


「全然」


「いや、でも……」


「…ただ、この世からイケメンはすべて消えてほしいと思っている」


「じゃあ、あなたも消えますね」

そんな会話をしている間にも両者の間では金属の弾丸と貫通力のある羽が飛び交っている。

空中の堕天使と建物の屋根を跳びながらの和馬。完全に有利なのは堕天使だ。


「それにしてもそんな金属の塊を打ち込んでくるよりも、魔法で私を狙ったほうが効率的だと思うんですが・・・」


「俺は不幸なことに魔力量が並の人と一緒だからな。魔法でドンパチやることはあまり出来ないんだよ」


「それを私に教えてよかったんですか?」


「ん? その程度の情報は問題ないな」


「余裕ですね」


「ああ、余裕だな。…だが、さすがにこの攻撃が弾かれる状況は痛いところだ」

そんなことを言うと素早く二丁の銃をしまい、違う拳銃を取り出す。

すぐに和馬は引き金を引く。

それをみた堕天使は当然、よくわからないという顔になるが、次の瞬間には焦ったものになる。

それは魔力の弾丸が堕天使の翼を貫いたからだ。


「…ッ!!?」


「悪いが、こっちも魔力で貫通力を高めさせてもらってる。その翼に魔力が流せたりするかどうかは知らんがそのままじゃあ、防御なんてできないぞ」

魔弾がいくつも風を切る。


「…チッ!!」

それに反応して堕天使は翼を使い空を飛びまわりよける。魔力を帯びた剣でよけきれなかったものはどうにか弾く。

実弾の場合は目に見えるわけではないので美月みたいに剣ではじくことはできず翼を前に広げて防御していたが、魔力の場合は魔法と同じで目で認識できるので剣で弾くことはそう難しくはないだろう。

ちなみに、小さな穴のあいた翼だがその穴はもうふさがっている。

基本的に翼は天使などにとっては魔力の塊だ。体そのものであり魔力の集合体である翼は、たとえ穴があいたり剣で切り裂かれたりしても治すことは可能だ。


「ただの魔力の塊だが、そこに属性を加える事でもっと凶悪になるから恐ろしいよな」

そんな和馬の声が聞こえた。

その次の瞬間には風属性の魔法の『加速』で速度が上がっている魔弾が右の翼の下を通過していった。

弾丸は風属性の魔弾だ。


「ッ!!?」

堕天使は驚きの表情になる。

翼がいくつもの刃で切り裂かれたように粉々になったからだ。

だが、一瞬のうちに翼が修復される。


「今のには驚きましたが、翼を壊された程度では関係ありません」

堕天使は笑いながら口を開く。


「・・・そのようだな。じゃあ、本気でりに行くか」

いくつもの銃声と共に黄色の弾丸が飛ぶ。






                 ─   ─



「…『闇の動物ダーク・アニマル』」

その呪文と共に闇でできた黒い動物たちが現れる。

犬、コウモリ、猫、ワニ、タカなどなどいろいろな動物をかたどった闇が五人の魔族へと襲い掛かる。


そこは魔王と魔界六柱の面々の戦場。



「爆ぜろッ!!」

そんな男の言葉。

それと同時にその男へと向かっていたコウモリの大群が爆発で吹き飛ぶ。それに続いて何回もの爆発音が響き、一回目の爆発で壊しそこねたコウモリたちを完全に木っ端微塵にしていく。

コウモリは全て消滅させた。

だが,その下から十匹近い黒い犬が凄い速さで迫ってくる。


「・・・ッ!?」

それに反応しきれずに驚きの表情をする。


「ジールク、しっかりしなよっ!!」

そんな言葉と共に赤い水が前列の黒い犬を飲み込み、溶かしていく。


「悪いなッ!!」

その言葉と共にジールクは紫色の炎で残りの黒い犬を燃やしきる。

魔王が使う実力者を相手にするときの魔法。1対2などではなく、1対3人以上の複数のときによくつかうものだ。

それは当然ジールクとルクライルのほかにも襲い掛かっていく。


「・・・『竜巻ストーム』!!」

その呪文と共に竜巻が黒く大きなワニを貫き、魔王に向かって突き進む。

だが、トラのような闇がそれを弾く。

そしてトールゥに襲い掛かる。


「・・・チッ!!」

その様子にトールゥは舌打ちしながら下がる。

それと同時に複数の電撃が黒いトラを砕いた。


「お父様はさっさと眠ってくださいッ!!」

トラが砕かれ開いた道。そこを右手が電気を帯びたミルリアが走っていく。

狙うのは魔王の命だ。


「私がそう簡単にられるわけがないだろ?」

そんな言葉と共にミルリアが通過しようとした地面が盛り上がる。


「・・・なッ!!?」

それに反応できずに、その場に足を踏み入れる。

その瞬間に闇でできてるであろう大きな黒いワームが飛び出してきた。

それはミルリアを飲み込むために口を開けながら空へ向かって一直線に上がっていく。

それにミルリアは巻き込まれた。


「くぅ・・・ッ!!」

ミルリアは半ば噛み付かれている感じだが、歯が体に刺さってるわけではなく少し食い込んでる感じだった。

とっさに体の表面に電気を流し相手の動きを麻痺させたおかげなのだが、いつまでもつかはわからない。

だが、次の瞬間にワームは根元からバッサリと切り裂かれ消滅した。

そして、ワームの根元にいた影が動き、魔王の元へと一瞬でたどり着く。


「・・・れ」

それに反応した魔王は闇に指令を出す。

その人物に向かって黒いタカが突撃するも右手に持った黒い刀によって切り裂かれる。

そして、その人物の左手に持っているナイフが魔王を切り裂くために動く。

魔王はそれを剣で受け止め、ナイフと剣で押し合いの状態になる。


「さすが私の育てた部下達だ。チームで補ってる部分もあるがちゃんとついてきてるな」

笑いながら魔王はしゃべる。


「あなたに褒められても嬉しくないですよ。魔王様」

それにナイフで魔王を切り裂こうとした人物が口を開く。


「いやいや、リーシ。要するに私の言いたい事はだな。・・・さすがは私だ、ということだ・・・ッ!!」

その言葉と共に魔王が力強くナイフを弾く、リーシはその力に対抗はせずに魔王の力によってできた勢いに体を任せて後ろに下がる。


「ナルシストですか、あなたは」

まだ空中を飛んでる状態のリーシがしゃべる。


「んむ?〝ナルシスト"とは・・・?」

それに魔王は疑問の顔になるも、闇でできた動物の三体に指示を飛ばし三方向からリーシを襲う。

次の瞬間には、その三体は雷の槍が上から突き刺さり地面に縫われた。


「要するに、自分がかっこいい、とかそんな感じのことを思ってる人ですよ。お父様。ちなみに、たこ焼きパーティーの時に黒い方に教えてもらいました」

それは魔王の後ろから聞こえた。

魔王は後ろを振り返らずに横に一歩ずれると、魔王がさっきいた場所を拳が通過していった。


「・・・あれッ!?」

それにミルリアは驚き、目を見開く。

完璧に気配を隠していたつもりだったが失敗だったらしい。


「基本的に後ろにまわりこむのは良い考えだ。ただ相手に気づかれてたら意味は無いな、丁度良いカウンターの決め所だ」

魔王は体を大きくひねり回し蹴りを放つ。


「ッ!!」

それをミルリアは腕をクロスさせて防御するも耐え切れずに吹っ飛んだ。

ミルリアは頭から地面に落ちそうになるが、地面に片手をつけると手で跳び空中で一回転して足で着地する。




「お前ら、私を殺すのだったらもう少し頑張ってみろ。じゃなきゃ、すぐにでも全員死ぬぞ」

魔王の楽しそうな声が五人の耳に響く。





誤字・脱字があれば御報告ください。

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