19話 ふっ…ハーレムか…
ある女性と子供がにらみ合っていた
「ギエルのクソジジィ・・・」
相手はハイエルフのガキだ。昔は大人の体だった
私の生前ではまだその姿だったためクソジジィと呼ぶのは生前の名残だ
ちなみにこのハイエルフと会ったのはリシと会う前
リシもこいつとは会ってたみたいだけどリシと一緒にこのクソジジィとは会うことは無かった
「リヤナのクソガキか・・・ぞぉぃ~」
そこで苦虫を噛み潰したような顔でギエルが言った
生前ではこいつとは戦ったわけであり、あまり仲が良いとは言えなかった
ちなみに何で戦ったかというと・・・
私が二代目勇者・・・つまり、リシを暗殺だなんだかんだで捜してた時にある宿であったのだが、その時に・・・
その時に・・・私のデザートのパフェを取ろうとしたギエルのクソジジィが悪い
どうでもいい、とか言わないで私って甘党だったんだから
「どっちがガキだ、今だと私よりもちっちゃい癖に」
そんな私の言葉
「なっ…!!」
それに凄いショックを受けている様子のギエルのクソ〝ガキ"
ふっふっふ~・・・ガキが調子にのっちゃだめだな~
「・・・ていうか、ガキのせいで堕勇を逃したんだけど」
少しの間忘れちゃってたけどね・・・
とりあえず言おう、そして謝らせよう。あの昔の大人だったギエルに謝らせるんだ
うん、絶対良い気分になる
「それなら魔族の現トップのリーシ・トルゥマアとミーファが追っているぞぃ」
ちっ・・・謝らないのかよ
・・・ふむふむ、それなら大丈夫かな~?…む?その二人がおっていると言う事は~・・・
「お姉様ァ~~~」
そんな感じでこっちにもう接近してくるミルリヤ
「ミルゥリヤァ~~♪・・・ごふぅッ!!」
受け止め準備完了した末に吹っ飛ばされた
ごろごろと転がっていき、やっと止まると私に抱きついてきたミルリヤの頭を撫でる事に
あぁ~、やっぱり妹って最高だわ~・・・♪ (´д`*)
「・・・(ふっふっふ~、やはり体を乗っ取るていうのは最高だわ~)」
そんな感じのことを思ってる私
ミルリアはムキュ~てな感じでとても嬉しそうな笑顔で抱きついている
「…で、お前はなんでいるんだぞぃ?」
そんな様子を眺めながら私に質問をしてくるギエル
「ふっふっふ♪・・・私は輪廻転生の輪を超えて今この時に蘇ったのだ!!
まぁ、体の所有権は全て徹夜に取られちゃってるけどね・・・」
体の所有権が取られてるってところは悲しいよね~
前も言った気がするけど前の世界ではゲームセンターとか
とても凄い気になってるものばっかりだったんだよね。あぁ、やりたかったなぁ・・・
「・・・なんとも珍しい事を体験するな・・・ぞぃ」
いい加減無理矢理「ぞぃ」をつけるのをやめろって話です
まぁ、その間にもミルリアを撫でる私、あぁ、何故でしょう
何故こんなにも癒しをくれるんでしょうか・・・
「もぉう、たまらないぃぃぃぃぃぃ!!可愛すぎ~~ッ!!」
そんな感じでさらにムギュ~ッと抱きしめる私
と・・・そこでまたも私の空けた穴から二人が入ってきた
玄関から入ってくるという選択肢は無いのだろうか?
「逃げられてしまいました…」
リーシが報告をしてきた
まぁ、幻術で惑わされたのだろう
「すみません・・・」
ミーファというエルフも同じように言ってきた
それにしても森でエルフをまくとは・・・やっぱり相当技術の高い幻術を使ってくるなぁ~
ふむふむ・・・
「リーシちゃん、リーシちゃん」
とりあえず、リーシちゃんを手招きする
「リーシ〝ちゃん"・・・・?そんな呼ばれ方はじめてなんですが・・・」
そんなことを言いながらリーシちゃんはこっちに来てくれる
まぁ、とりあえず来なさい
「はい、これ」
そう言って鞘に収まった黒い日本刀を渡す
私の作った妖刀だ。
「え?これは・・・?」
「あなたへのプレゼント♪」
ふっふっふ~・・・私って太っ腹だね♪
ん?太ってるわけじゃないよ?え・・・君、吊るされたい?
まぁ、とりあえずそれは置いておこう
「・・・でも、なんでですか?私は自分の武器を持ってるんですが」
どうやら理解が追いつけていけない様子ですね
「この刀はね…全てを切り裂く事もできるし、ある一定の弱さの人だったら自動で魔法強化をして強くする事もできる。そして、闇属性の精霊をどうにか100年分の魔力を使って造ってこの刀に宿したんだよ~。んでそれを君にあげるって」
まぁ、リーシちゃんには魔法強化は意味は無いと思うけどね
ん?話が噛み合ってないって?気にしないで、前置きって言う奴だよ
理由を聞かれたのに理由を言ってない私ってなんだがうざい人だよね
ん?うざいって・・・?君ってマゾ?吊るされたい系の人?
とりあえずそれは置いておこう
「そんな強力な物を何で私に?」
そんな疑問を私に言ってくる…まぁ、それは疑問に思うよね
というか再び聞いてくれるリーシちゃんは良い子だと思います
「魔王が死んだでしょ?魔王っていう大きな壁があったから魔族が滅ぶ事もなかったけど、その壁がなくなっちゃった今、それなりに強力な物がなくちゃいけないのよね~
だからこの妖刀をあげるの、この刀は魔族を守るために使うものなの・・・。だから今のリーシちゃんに渡すのよ~。ずっと使っても刃こぼれなんてしないし、錆もしないからね
ずっと使えるわけだから魔族をまとめるトップに受け継げばいいしね、ちなみに私利私欲のために使う場合は一時的に使えなくなっちゃうから」
うむ、私が持ってても意味が無いからね
ちなみに精霊を宿した理由はこの刀の悪用を防ぐためです、精霊ちゃんには持ち主の悪意があるかどうかの判断をしてもらいます、もしある場合はなにも切れないなまくら刀のなるように仕込んであります
「・・・わかりました」
それをちゃんと受け取ってくれるリーシちゃん
ふむふむ、素直に受け取ってくれる子は良い子です!!
撫でてあげよう、てな感じで手を伸ばそうとしたら避けられました。悲しい・・・
「え~、リーシだけずるい!!!」
そんな事を言ってくるミルリア
「ミルリアはもう右腕に贈り物みたいなものがあるでしょ~。あなただけの物だよ?」
うん、どうにか逃げよう。プレゼントなんて用意してないわ・・・。
するとミルリアは右腕を一回見た後
嬉しそうな顔をすると・・・
「えへへ~♪」
うん、簡単に逃げられたぜ!!可愛い意!!でも・・・我が妹ながら単純な子・・・
詐欺にひっかかりそうで心配だ・・・少し気をつけるように言っておかないと・・・
「・・・それで、そこで眠ってる三人はどうすれば起きるぞぃ?」
ギエルが美月、瑞穂、和馬を指差して私に質問してきた
それに対して私は水晶のついたキーホルダーのようなものをギエルに見えるようにする
「これは魔法具らしくて、魂から拘束してるみたいだよ
だからこれを壊せば起きると思うよ」
でも、まだ壊すつもりはないんだけどね~・・・それに対してギエルのクソガキが・・・
「ふむ、では壊そう」
そう言って、私のもっていた魔法具を壊しやがった
…アァ──────────ッ!!
まだ!!まだ美月ちゃんを愛でてないよ!!ミルリアは十分愛でたけどもッ!!
《好き勝手やってくれましたなァ~・・・》
ぎゃあああああああああっ!!な、なななな何だとぅ!!早すぎっ!!
と、とりあえずミルリアを私の体から引き剥がす
私に抱きつくことは良いとしても徹夜に抱きつかせることは嫌だ
・・・とかそんな感じのことを思っているうちに肌の色が白になっていく
チッ・・・!!くそぅ、徹夜のバカぁ~~!!
《・・・いつもどおり眠ってなさいな》
その言葉を言われると同時に体の所有権が再び徹夜に戻る
私はまだ天下取り(天下=美月ちゃん)を諦めるわけには行かぬッ!!
リシぃぃ~~~・・・
「ふぅ、やっと戻れた」
その声は完全に男のもの、肌は白いが黒髪は縛っていないので女性に見えている
「お主、リヤナじゃなかったのかぞぃ?」
「俺は徹夜だ、あいつは俺の前世らしい」
そんな感じに適当に質問をしてギエルとの会話するのをやめる
周りの人(魔族&エルフ)は俺の変わりようにビックリしているみたいだ
ミルリアやリーシもこの状態の俺を見るのは初めてだからな
まぁ、ミルリアの場合は黒い肌の時はあっても白い肌の時はないからな
「んむ~?よく寝たぁ~」
そんな感じの声をあげながら起き上がる美月
俺はリヤナの記憶を覗いたわけだけどもなかなか危なかっただろう
「なんで俺は眠ってたんだ?」
美月と同様に瑞穂も起きたようだ
「・・・こんな所で寝たらダメだな、風邪ひきそうだ」
そんな事を気にしてる所じゃないと思うぞ、和馬くん
あ~、なんだかな、この三人は(俺も含め)間の抜けたのが多いと思う
「ん?お前誰だ?」
そこで和馬が俺を見て質問してきた
「は?景山 徹夜ですが何か?」
いい加減に皆のこの反応にはイラついてきた
俺がイライラ気味に答えると、和馬ではない人間が動いた
それは・・・
「お前も俺と同じ悩みがあったんだな~~!!」
瑞穂だった。
しかも相当嬉しそうな顔だった。なんというか・・・もぉやだ・・・
「ふむ、俺以外は女性、しかも美人…ふっ…ハーレムか・・・」
そんな和馬のコメント
「「オォラァァ―ッ!!」」
俺と瑞穂のドロップキックが脳天と鳩尾に炸裂したことは言うまでもない
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