17話 偽者かッ!!?
「あ~、どこだァ~?」
俺の声が響いた、久しぶりに俺視点な気がする
多分一話と1ページ(ていうんでしたっけ?)ぶりな気がする
まぁ、正直今の俺の気持ちを言うと
「俺視点」ってなんのことだアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!?
「徹夜、どうしたの?」
俺の変な様子に質問してくる美月
「いや、なんでもない」
今俺に質問をしてきたのは当然いつもどおり美月だ
血を出していなければ、偽者ではない
あの似非美月は消えたのだ。まぁ・・・あの幻術を使った奴を今捜してる状態でもあるのだが
まぁ、別にそれは気にしなくて良いんじゃないかな?
本当は気にしないと駄目なことだろうけどね
「さてさて・・・目の前のこいつらはどうするよ」
今のこの状況
「倒すしかないんじゃない?」
屋敷に入ったときからウジャウジャといる魔物がまたもや
ウジャウジャと大発生
まぁ、とりあえずは掃除しないと駄目なんだよね
とりあえず襲い掛かってくる魔物
殴るために前に突き出してきた腕ごと体を切り裂く
ぎゃ~~~~っ!!いつもどおりのことなんだけど返り血がベチャ~ってついた!!
右と左にわかれた魔物の体が俺を挟む感じで飛んでいったから
血が大量にベチャ~ってついたよぉ~
うえぇ・・・汚いから嫌だ・・・
まぁ、闇を展開して血だけ吸収すれば問題なし、というわけだが
「シャアァッ!!」
そんな声と共にもう一匹斬り伏せる俺
ん~、正直なところさ・・・力があるよりも速さがあったほうが良いと思うんだよ
え?なんでかって・・・?それはさ・・・
「ハッ!!」
その声と共に美月が数匹の魔物間を凄い速さで走った
そして美月は止まったのだが、振られたと思われる剣には大量の血
・・・その後、時間で魔物達から血が噴出し倒れた
当然、美月の服には返り血一つもついていない
「くそっ!!めっちゃかっこええぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!何この敗北感!!?」
そしてそれを見て悔しがる俺
だってさ!!ああいうのは男のロマンじゃない?
ひどすぐるよ、神様!!なんで俺に速さではなく力を与えたんだぁ~!!
(べつに『ひどすぐる』は誤字ではない)
『特に理由は無い・・・あと神ではない、焼き芋だ』
・・・よし、今のコメントはなかったことにしよう
時々俺は神様・・・じゃなくてクソな焼き芋と交信ができるようだ
とてもいらない機能だ。ちなみにいっさい使うつもりは無い
もうこれ関連のコメントは徹底的に無視することに決めた
これに異論は無いだろ、みんな
ふむ、良かった異論は無いようだな、「みんな」てのが誰だか知らんけども・・・
まぁ、そんな邪念が続いてるうちに複数の魔物が俺に襲い掛かってきた
「よいしょっと・・・ッ!!」
先頭に居る魔物の拳を受け止めて後から来た奴に向かって投げる
すると、後ろに言われた奴は巻き込まれながら吹っ飛んでいった
そしてその吹っ飛んでいく魔物ですぐに見えなくなったのだが少し見たときのある棒人形がロングソードを下に構えて立っていた
そして凄い速さで迫ってくる
「・・・ッ!!?」
投げた後のモーションだったが、どうにか体を回して回し蹴りの体勢に入り
迫ってきた棒人形を砕くために蹴りを放つ、それを砕いたように見えた
その砕けた破片は霧のように薄れて消えていく
つまり・・・幻術だ。そして目の前にはロングソードを構えた棒人形がいる
「・・・なッ!!?」
まさかの不意打ち。こんなの予想してなかったから本当にビックリだ
幻術を使う相手なんてあんまり戦った時ないから大変だな~
そして棒人形の武器が動く。そこである声が響いた
「ハァッ!!」
それは美月で、俺を狙っていた棒人形を真正面から真っ二つに切り裂いた
「・・・せっかくうまいタイミングで不意打ちをしたっていうのに、邪魔されるとは」
そんな声が棒人形から聞こえた、そして爆発して消えていった
棒人形は一つじゃなかったのか・・・
「美月、ありがとな」
とりあえず礼を言っておこう
「どういたしまして♪」
そんな感じで嬉しそうにしている美月
その頭を少し撫でてみる事に・・・うん、なんか久しぶりに撫でた気がする
美月も嬉しそうな感じの表情をする
うわぁ、昔はこういうのやってたんだな~・・・可愛い
・・・俺のさっきの「可愛い」っていう邪念は忘れてくれ、忘れなかったらお前を吊るす
いや、誰を吊るすのかはよくわからんのだけども
「・・・はぁ、こっちは(道に迷って)大変だったのにお前らはイチャイチャしてるとは良いご身分だな・・・こんチクショウ」
横からのそんな言葉それは瑞穂の声だった
「しょうがないだろ、瑞穂。徹夜のお母さん曰くこの異世界の旅はやつらの新婚旅行だ
イチャイチャしないと意味が無い」
そして和馬の発言、多分・・・和馬は言葉でダイレクトには表してないが
すこし怒ってるな・・・こんなきつい発言をされたのは久しぶりだ
おい・・・てか「新婚旅行」てのは何のことだ?「徹夜の母さん」・・・俺の母親がどうしたんだ?・・・うむ、瑞穂くんや、少し詳しく話を聞かせてくれるかな?
まぁ、今はそんな事聞けるわけないのでやめよう
「そ、そんなこと無いぞ、瑞穂〝ちゃん"」
とりあえず偽者か本物かを調べる
なので、わざと〝ちゃん"を強調してみた
「だれが〝ちゃん"だ、ゴルアァ!!」
そんな叫びと共に俺にドロップキックをくらわせる瑞穂
それで俺は吹っ飛んでいった、壁に背中からぶつかって止まったのだが
背中が超痛い。痛い、で終る所も俺らしいと思う
「やめろ、徹夜。美月はお前の彼女だろ。瑞穂まで狙うな
瑞穂は俺のかのじょ・・・」
たぶん「だ」とでも言おうとしたんだろう
だが、それを言い終わる前に瑞穂のドロップキックが和馬の脳天を直撃し和馬は吹っ飛んでいった
「お前も調子にのんじゃねぇ、和馬」
うん、最初は瑞穂だけ偽者かどうかを調べるために言ったんだけど
この状態だと和馬も本物だな、うん
「瑞穂ちゃん、徹夜は瑞穂ちゃんを本物かどうか調べるためにやったんだよ」
「あ?どういうことだ?・・・あと美月も〝ちゃん"づけはやめような」
そんな感じで聞かれたのでとりあえず説明した
すると・・・
「わりぃ、徹夜。そんなことがあったとは知らずに思いっきり蹴っちまって・・・」
瑞穂が謝った・・・だとっ!!?
「偽者かッ!!?」
ズササササッ…!!と音を立てながら下がる俺
「よし、少し待ってろ。お望みどおり蹴り飛ばしてやんよ
・・・お前が吹っ飛ぶ先は地獄だけだ」
そんな処刑申告された
─ ─
「と、とりあえず合流ということで」
俺はすこし苦笑いしながらも話をそらす。そう言いながら歩き出す俺達
そして数分間歩き、ある部屋に着いた
「ん?広い部屋に着いたな・・・」
俺の発言
「怖い雰囲気なのはかわらないね」
美月の言葉
「まぁ、ここだけ変わるってのも可笑しな話だけどな」
瑞穂の言葉
「それにしても、この屋敷はどこまで広いんだ?」
まぁ、それは通路が凄い絡まってて広く感じるだけじゃないか?
そしてそんな事を言い合いながらその部屋の中心に向かっていく
すると屋敷の中なのに霧のようなものがたちこめてくる
「あ?どういうことだ?」
俺の疑問の声で
「ん~?私達に言われてもわかる訳無いんだけどね」
美月の言葉
まぁ、そのとおりなので何もいえないなぁ
「また、魔物が出てくるのか?」
瑞穂がそんな事を言っている。まぁ妥当な線だろうな
「それもあるかも・・・な・・・?」
それに和馬が答えようとした所でバタリと倒れた
その様子を見て驚いた顔をする俺と美月と瑞穂
だが、なにも出来ずにいた。それは瑞穂も同じように倒れ
一秒もかからずに美月も倒れる
「どういう・・・こと・・・だ・・・?」
そんな言葉を言ったと思ったら俺も力が出なくなり倒れた
その場が静かになる
「やっとこの魔法具は効きましたか・・・」
その静寂を破る少年が徹夜たちの近くに居た
その少年は黒髪に肌色の肌・・・人間、つまり堕勇の一人だろう
肩には布に巻かれた何かを担いでいる
そして徹夜達が動かなくなった理由の物を手に持っていた
それはキーホルダーのようなもので小さいサイズのものだった
チェーンの先には水晶がついている
「ふぅ、誰も聞いてるわけないのですがなんか説明しなくてはいけない気がするので説明させていただきますね。この魔法具は2㍍範囲内に入っている相手を魂から拘束するというものです、時間制限は30分・・・この場合だと余裕過ぎる時間ですね」
その少年は肩に担いでいた物の布をゆっくりと外し、その中の物を取り出す
それは槍と斧が合体したようなもの・・・つまりハルバードだった
「・・・そのまま担いでるとどうも落ち着かないのでいつも布で任せていただいています」
またも誰も居るはずのないところでそんな説明を言う少年
そしてそのハルバードを構えた
「やはり最初に殺すべきなのは、この世界の勇者のどっちかですね・・・
ここはなんとなくの理由で女のほうにしましょう、あの速さは厄介ですしね」
どうやらなにかで見ていたようで美月の速さとなんとなくを理由にそんなことを決めていた
そしてハルバードを上に構え、振り下ろした
金属音が響いた、堕勇の少年が振り下ろしたハルバードを紫色の刃が防いでいた
紫色の刃で思いつくのは徹夜かもしれないが・・・
「は?あんた…誰だ?」
そう少年が呟いた。・・・相手が何回かしゃべった事のある徹夜だったらそんな事は言わないだろう
「そんなのは今関係ないわ、今重要なのはあなたが私の大事な宝物を傷つけようとしたことよ」
そんな声が響いた
それは女性の声、美月でもなく瑞穂でもない
・・・瑞穂は一応男だ、だけどそんなのは気にするな。見た目が大事である
・・・ふむ
話を戻すが、今までのは二人の声ではない
へそまで伸びた黒髪が広がり、白い肌が黒い肌へと変わっていく
この説明から少しはわかるとおり、それはリヤナさんだった
「あなた、少し死んでみようか♪」
そんな言葉と共に・・・
600年前の魔族のトップの女性と異世界から来た堕ちた勇者の少年の戦いが始まった
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