16話 ごふぅ…ッ!!
もう、疲れたよ…パトラッ《ピーーーーッ!!》シュ…
上の《ピーーッ!1》が無駄になってる気がするけど気にすんな
(《ピーーッ!!》をとってみると俺の書きたかったことがわかります)
「なん・・・で・・・?」
そして美月の疑問の声、その声は弱弱しくすぐに消えてしまいそうなものだった
「・・・笑えるな」
徹夜の声がその場に響いた
その場には血のついた剣を握った徹夜と
血の上に倒れている美月
そして徹夜はその美月に近づいていき横腹あたりに剣を突き立てる
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ…ッッ!!」
その痛みに美月は悲鳴を上げる
その様子を見ても徹夜の表情は変わらない
ただ、少し時間がたってから不愉快そうな顔になった
「いい加減、その悪ふざけはやめたらどうだ?俺から見たら笑えるほど可笑しいぞ。なんとなく刺してみたけど不自然しか残らないぞ」
最初の言葉はその言葉を省略しまくったためのものだ
「あれ?うまくやってたつもりなんですけどね、いつから気づいたんですか?」
美月の口は動いているのに声がちがくなり、不自然としか言いようの無いものに変わった
美月なのに美月ではない。美月がしゃべっているのに誰かが後ろで声を出してるような感じに聞こえる
「変身能力か?いや、それだと今のその傷を受けてる時点で生きてることは可笑しいしな・・・幻術って言う所か?」
それを気にせずに話す徹夜
「そこまでお見通しですか」
そんなことを言いながら立ち上がる美月
血が大量に流れ、致命傷とほぼ変わらぬ傷を負った人間がむくりと立つ様子はとてもシュールだ
「なんでわかったんですか?」
ニヤリと笑いながらこちらを見てくる
徹夜は正直に言うべきか少し考えた後に口を開いた
「いろいろとあったわけだが、この場の状況といつまでも続く条件があるわけだ
まずこの場の状況での条件で言うなら、美月はこの屋敷に入る前に俺に抱きつくチャンスがあるかないかを考えていたからな、一回分断されて再開したときに抱きつかない女ではない、というものがある」
「・・・」
美月の顔が納得いかない、というものになった
まぁ、どんな顔だかわからないけど相手もこんな感じの表情になったということだろう
「あとは、美月は汚れたくないようだから相手の返り血は全て避けるように徹底している。だから服についているというのはありえない、美月の速さはこの世界ではトップランクだしな」
「無駄なチートですね」
幻術で美月をまとっている誰かが言った
もう呆れている感じの表情だ
「これは結構続く条件だが、まずあいつは俺の不意打ちを軽く避ける奴だから
俺の攻撃を食らった時点で偽者なのは決定事項だ
あとは、他の人にはないものだけど、俺の『最悪だZE☆センサー』に反応が無かったからな・・・。
俺のセンサーによると東南の方向に美月は居るとみえる。そしてめっちゃ接近してきてる」
「・・・よくわかりませんけど、騙せないと言う事ですね」
そして霧が晴れていくように美月の体が四散する
「へぇ、遠距離から操るタイプの魔法具に幻術でカモフラージュさせて俺が油断しているときに殺そう、っていうわけか」
美月の幻術が晴れるとそこには目玉のついた棒人間のような人形があり
それがカタカタ…という音を立てながらぎこちなく動いている
「殺そうとするのはやっぱり無理ですかね~」
その人形の上にはギョロギョロと動く目玉がある
多分カメラのような物だろう、そしてその目玉が音源のようだ
その棒の体にはほんの少しのかすり傷
「チッ・・・幻術に惑わされてたのは変わりなし・・・か、くそっ…うざってェ」
「私だって頑張って幻術を高めましたからね~。この方法も結構良かったと思うんですが、どうでした?」
「・・・まぁ、良かったんじゃないか?でも、その方法じゃ俺には無理だろうな」
「あはは、そうですか・・・では、どうせ壊されるでしょうし」
棒人形は徹夜に手を振っている。どうやら今使ってる魔法具の末路を知っているようだ
「ああ、とりあえず次あえたら殺すからな」
その言葉と共に徹夜が棒人形に急接近して回し蹴りで粉砕した
壊れた棒人形の破片が空中を舞う
「ふむふむ、これが瑞穂たちが来た世界の魔法具か。技術が上がってんな~、この世界にはこういうの無かったぞ・・・あったら面白そうだったのにな」
そんなことを言いながら歩き出す徹夜
すると・・・
「てっつやぁ~♪」
そんな声が後ろから聞こえて、徹夜は振り向きざまに剣を横一線に振る
完全にとらえたかと思った徹夜だったが剣は避けられたようで空を斬り
そして徹夜の体に衝撃が襲った
「ごふぅっ!!?」
吹っ飛ばされる徹夜
ゴロゴロと転がり、やっと止まったと思い体にひっついてるであろう物を見つめる
「てっつやぁ~♪離れ離れになって寂しかったよ~・・・♪」
それはそんなことを言ってる美月だった
それに対して徹夜は
「俺の攻撃をかわしたってことは本物か・・・」
そんな事を呟いてる徹夜
「え?どういうこと?」
それに対して疑問の言葉をもらす美月
「いや、ちょっとお前の偽者が居てな、そいつを蹴りで粉々に粉砕したとこ」
「偽者と本物の区別がつくほど私の事を知ってくれてるなんて嬉しいなぁ~♪」
そんな事を大声で言いながらさらに抱きついてくる美月
美月は徹夜が容赦なく美月の姿の誰かを攻撃した、という事実は考えていないのだろう
「いい加減にそれをやめろ」
そういいながら美月を体から引き剥がす徹夜
なにやら最近・・・こういうのが多い気がする
ちなみに、美月は引き剥がされて少しむくれ気味である
「とりあえず瑞穂と和馬を捜しに行こう・・・」
「オッケー♪」
そんな事を徹夜と美月が言い合いながら
足を動かし屋敷の奥に入っていった
徹夜のセンサーは美月に反応することはあっても瑞穂と和馬を捕らえることはできない、結構時間がかかりそうだ
─ ─
そしてある場所では・・・
「なぁ、和馬。この道さっき通らなかったか?」
「ん?瑞穂もそう思うか?」
「迷ったかもな・・・」
「・・・そうだな」
迷っていた二人のことは今回の話では置いておこう
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