8話 まかi・・・いや、なんでもない
サブタイトルの意味がわからないって?
ふふっ・・・俺もです
なんでここで「なんでもない」ってのを入れたのか
わかりません
「いやいや~、さすがにあの状況は危なかったよぉ~
ありがと~」
そんな気楽な感じの事を言ってきたのはヒドラ
もう腹の傷は治っている。なんという回復力・・・
「それにしても、そこの二人は知らない顔だけど
君達二人とはよく会うなぁ~」
俺と美月を指を指してそんなことを言うヒドラ
「そりゃあ、俺達がお前を捜してたからな
・・・いや、探してたのはお前の腰に引っ付いてる少女・・・ミィというべきだが・・・」
俺がそれに対して答える
「ん~?なんで皆はここまでミィにこだわるのかな~?」
ヒドラはミィという少女を撫でながら首をかしげている
説明めんどくせぇ・・・
「かくかくじかじか・・・というわけなんだ」
さすが俺、省きっぷりが尋常じゃない!!
「へぇ、そうなんだ。つまりこの子が魔神の召喚とやらに必要なんだね
でも、この子一人だけじゃあ、魔神なんて無理だろうから
他にもたくさん捕らえようとしてることは間違いなしだろうね~」
何故にわかったッ!!?まぁ、話が早くて助かるけど・・・
そして意外とこの人(竜だけど)頭を使ってるね!!
馬鹿かと思ってたよ!!
「たしか、ミィと同じような黒髪黒目の少年が魔界でも保護されてるって話だったよ?
あとのこと話にないなぁ~・・・」
そんなことを言うヒドラ。ふむ、魔界にも保護されてるんだ・・・
俺、それは聞いてなかったな~・・・
まぁ、必要の無い事だと思って教えてこなかったんだろうな
「それで・・・この状況はどうするよ・・・」
俺の呟き
まわりでは建物が倒れ(俺が振り回した奴も含め)とてもゴチャゴチャしている
美月と瑞穂と和馬が一応、巻き込まれてる人がいるか調べている
ヒドラ達が派手に騒いだせいもあってその可能性は低そうだけどね
「とりあえずバッくれようZE☆」
まるで小学生のようなやんちゃな笑みを浮かべたヒドラがそんなことを言った
賛成♪
─ ─
「・・・この施設か」
・・・魔族の住まう大地、つまりそこは魔界だ
魔界はこの頃は少しずつ明るくなってきたが、まだ暗いと言えるほどだった
今の魔界ではある都が中心になっている、「魔城」という簡単な名前の城
そしてそれを中心とした円形の都市だった
その都市のある場所には施設があり、その施設の前にある広い場所では
魔族の兵士達が血を流して倒れていて、さらには息すらしていない。死んでいるのだ
その倒れてる魔族達の中心には一人だけ立っている男がいた
黒髪・・・そして白い肌、つまりそいつは人間だ
「ったく・・・戦闘が得意なタイプじゃないのにな、俺は・・・。
・・・こんなの泰斗の野郎に任せてればいいんだよ・・・」
その男がぼやく
その言葉の中には堕勇の内の一人、都堂 泰斗の名前があった
それからわかるとおり、この少年も堕勇の一人だ
その少年は施設に入っていく
目的の物を捜している・・・。それは黒髪黒目の少年だ
ときどき兵士・・・というよりもいつもは子供を世話しているであろう職員と会い
片手に持ったバスタードソードで躊躇いもなくそれを殺す
「・・・ったく、目的のためとは言え。こんな面倒な事をしなくちゃいけないとはな・・・」
そんな軽口を叩きながら歩き続ける
そして、ある一室についた
そこには大勢の子供、魔族もふくめ人間までいる
その子供達は貧しい生活で今にも死にそうになっていたところを保護された子供達
魔族が人間達とうまくやっていくためのいくつかある努力の内の一つ
魔族と人間の子供達は血のついた剣を見て、恐怖という感情がわきあがる
そして、その人間の子供の中に黒い髪に黒い眼の少年・・・つまり目的のものを見つける
「よし、あとはあいつを捕まえれば仕事終了かな・・・」
そういって一歩踏み出そうとした所で・・・
堕勇の少年が横に吹き飛ばされた、壁をいくつも突き破りながら吹っ飛ばされ
6つ目の壁に当たって止まった
「血の臭いがするからなんだと思ったら・・・
まさかこんな場面だったとは思いませんでしたね・・・」
そんな声が聞こえた。その声は女性のもの
その声の主の名前はリーシ・トルゥマア。魔界で一番の実力を持つ女性だ
「・・・いてぇじゃねぇか」
そう言って少年が起き上がった
その目には、殺意の色が見える
「あなたが堕勇てやつですか?」
その少年にリーシが問う
「・・・何故お前に教えなきゃならねぇんだよ」
殺気のこもった言葉
「ふむ、その返答はYESって事ですね」
それを無視するリーシ
その様子にさらに怒りを見せる少年
「まったく、せっかくあの子と散歩していたのに・・・
あ、ちなみにあの子の名前はリミって言いますよ、今は近くの知り合いの家に預けてます」
途中からどこに話してるかわからないがリーシがそんなことを言った
あの子・・・つまり徹夜から渡された魔族の少女はリミという名前らしい
「・・・お前、気が可笑しくなったか?」
その様子に変な表情を浮かべる少年
「あなたが気にする事ではないですね」
それを一蹴するリーシ
「・・・とりあえずお前は俺を殴ったんだ、その仕返しぐらいはさせてもらおうか」
怒りの表情で言う堕勇
「ん?私は殴ったわけじゃない、蹴ったんだ」
それを見ても表情を変えずに言い返すリーシ
「同じだよッ!!」
そういって走り出す少年
その手に持ったバスタードソードを振りかぶる
「・・・とりあえずこの場では子供達に被害が出るかもしれませんね
移動しましょうか・・・『闇の衝撃』!!」
その呪文と共に黒い闇の衝撃が少年を襲う
「ぐぅ・・・っ!!」
それをバスタードソードで防御の体勢に入った
そして爆発音が響く
「・・・チィッ!!」
ズザザザザ…!!と靴底から音を出し、小石を弾き飛ばしながら施設の外に着地する少年
さっきの衝撃で吹き飛ばされ屋外に出たのだ
そして何かの気配を感じ、上を向いた
その視線の先には空中でロングソードを構え、そのまま落下しながら振り下ろそうとしてくるリーシがいた
「ハァッ!!」
その言葉と共にロングソードをリーシが振り下ろした
「・・・ッ!!」
それを後ろに跳んで避ける少年
それを追う様にしてリーシが着地した後にロングソードを振るう
ロングソードとバスタードソードがぶつかり合う
火花がいくつも飛ぶ、剣の残像が見えるほどの速度で振るわれている
ドパァァァァン…!!という音が響き
リーシと少年が同じ距離を吹き飛ばされ、それぞれ同様に着地する
二人とも全力で攻撃を放ち、両者とも吹き飛ばされたのだ
「・・・うざい女だ」
少年が悪態をつき
「あなたにも同じ事を言えますね」
またもそれを一蹴するリーシ
「こォんの、やろうがァ!!」
その言葉と共に少年が動き、バスタードソードをリーシの首を切断するように振る
それをリーシはしゃがんで避けた後にロングソードで体を切断するように振る
「・・・ッ!!」
それを避けた少年
それに対して殴るようにリーシがロングソードを持ってないほうの拳を放った
体のスレスレ手前を通って顔を狙うような軌道
そしてそれを顔を横にずらして余裕で避けた少年だったが
「・・・なッ!!?」
その少年の体が切り裂かれた
浅い傷だが、その攻撃があったのがわからなかったので驚いたのだ
それは拳が通ったのと同じ軌道だった
「ふふ~ん♪魔界はまだ暗いですからね~・・・こんなものにも気をつけないとダメだね~・・・」
したり顔のリーシの手は、なにかをもてあそんでる様に動かしてあり
目を凝らすと黒い何かがクルクルと回っている様に見えるだろう
それは黒く、少しの光も反射しないように魔法をかけられた小さなナイフだ
そのナイフがもう少し大きかったら少年は重傷だっただろう
「・・・暗闇を利用した不意打ちか」
それを見た少年が呟いた
その顔は悔しそうな顔、そしてどこか楽しそうな顔だった
「次の一手で決めさせてもらおうか・・・ッ!!」
そう言ってリーシは走り出す。そして少年に接近していく
「・・・だったら、本当の不意打ちってのを食らわしてやるよ」
そんな声が聞こえたが
気にせずにリーシはロングソードを振るう
そして、少年の首をリーシのロングソードがとらえ・・・なかった
「・・・ッ!!?」
それに驚くリーシ
少年がいつの間にか消えていた
相手が速いという訳ではなかっただろう・・・一応、スピード重視の美月の最高速度でも
やっとの事でだが、目で追えるリーシに限ってそれはない
「これが本当の不意打ちってェやつだ」
いきなり後ろからそんな声が聞こえた
気配もなく唐突にその声が聞こえ、慌てて相手から離れるようにしながら跳び
声のほうを振り向く
「・・・か、はッ!!?」
次の瞬間、リーシの首が手でしめられ、壁に背中から思いっきりぶつけられた
その衝撃で無理矢理に肺から空気が吐き出された
いきなりの事に反応できずに手が緩みロングソードとナイフを落としてしまう
「あぐ、ぅ・・・ッ!!」
相手の手を引き剥がそうとするが、それもできず
相手の腹に蹴りを入れるが堕勇は眉間にしわができるだけで動じない
さっきの壁にぶつけられた衝撃のせいで肺の中の空気も出してしまい
普通なら数分は耐えられるはずなのだが肺の中に空気は無く、苦しい
「戦闘ってやつは奥の手ってやつを最後まで取っといたほうの勝ちだ
・・・まぁ、奥の手を先に使ったほうが勝つ確率が上がるのもあるがな
・・・死ね、魔族」
少年がそう言った。
「ぐ・・ぅ・・・っ」
その間にもリーシの体から力が失っていく
そして・・・
少年の顔を雷の帯びた拳が殴り、吹っ飛ばした
「ゲホッ・・・ゲホ・・・ッ!!」
その事でようやく空気を吸う事ができた、リーシ
体はぐったりとして、少しの間動けそうに無い
その彼女を支える魔族の少年が一人と目の前に立っている魔族の少女がいた
「まったく・・・あんたがそんな状況になるなんて、珍しいわね」
その声が聞こえた
それは、少女の声。そして魔族を束ねる同じ立場にいる魔族、ミルリアだった
そしてリーシを支えているのはミルリアの部下であるロシアンだった
「・・・遅いですね、せっかく最初にあんな派手な音を立ててあげたのに」
リーシがミルリヤに対してそんなことを言った
最初の魔法で少年を施設から追い出したときの轟音は他にも意味があったようだ
「あのねぇ、すぐに来れるわけないでしょ。言っとくけど一応さっきまで中央の魔城にいたんだから・・・まぁ、そのおかげで私以外も来たみたいだけどね」
その言葉通りだった
ミルリアとリーシ、そしてその向かい側には少年を挟む形で4人の魔族がいた
ジールクとルクライルとトールゥ・・・そしてジールクの部下のメイトがいた
「・・・あなた達も遅いです」
それに対してリーシが言った
「いやぁ、勇者にもらった将棋とやらに夢中になっちゃって・・・」
それに苦笑いの返答を返すトールゥ
「・・・すまん」
なんとも申し訳なさそうなジールク
「ごめん、リーシ。私が無理矢理にもこの馬鹿二人を連れて来れば良かったんだよね・・・」
ルクライルの言葉。これまた申し訳なさそうだ
「・・・ぶっ」
その状況にメイトが笑っている
そして、ジールクになぐられていた。それは気にしないでおこう
「チッ・・・うざったいのがゾロゾロと・・・」
そしてミルリアに殴られた少年が立ち上がった
「結構本気で殴ったのになぁ~・・・」
それを見てミルリアが驚いた表情で呟く
その拳の雷がビリビリ…とさらに音が大きくなっている
「・・・黒いのから報告のあった堕勇ってやつみたいですよ、簡単には倒せません」
それに対してリーシが答える
少しは体が回復してきたようで自分一人で立ち上がり、闇を出している
「へぇ、面白そうだな・・・」
それに対して笑みを浮かべるトールゥ
その体には風を纏っている
「ここで騒がれたのには少しイラつくな・・・燃やしていいか?」
いつもどおりのジールクの燃やす宣言。当然その手には紫色の炎がある
「二人とも、無駄にはしゃがないでね・・・ご近所迷惑になるから」
ちょっと可笑しい気もするがそんな発言をするルクライル
他の『魔界六柱』と同様にルクライルの周りでは赤い水がうねっていて
戦闘準備は完了しているようだ
「・・・これはめんどくさそうだ。あくまで俺は戦闘タイプじゃないからな
ここは一旦、退かせてもらおう」
そんな言葉を発すると同時に少年が消えた
「「「「・・・ッ!!?」」」」
それにリーシ以外の四人が驚き
リーシはまたか…という感じで舌打ちをした
完全に気配が無かった
「これはなにか対策をとった方がよさそうです」
リーシがこれから何をすればいいかを考え始めた
誤字・脱字があればマジで御報告宜しくお願いします