fool
幸市(『爆弾ゲーム』は後一回・・・しかも今日。)
四回目の『爆弾ゲーム』がどうにも釈然としない終わり方をしてしまった。
幸市は大切な物を失った悲しさが今更湧き上がってきた。
幸市「うう・・・葵ちゃん・・・」
それが恋だったかは分からない。
自分に告白してくれた可愛い女子の死に様が頭に染み付いて離れない。
幸市は今更、自分のした事の恐ろしさを実感したのだ。
気を抜けば、今にでも泣いていただろう。
−タッタッタッタッ−
それを堪えられたのは単に後ろから近づいてくる親友の足音があったからだった。
正史「よう幸市。how are you?」
以前と比べると格段に良くなった発音で、正史は幸市に今日の気分を聞いてくる。
幸市は、正史にいらぬ心配を掛けぬ様に、勤めて明るい声を出す。
幸市「I fine thank , and you?」
正史「あ!間違えた。ハワイユーだった。」
幸市「俺がハワイだったらなんと?」
正史「ん?元気ないな。」
自分では会心の演技だと思っていた幸市だったが、正史に一瞬で見抜かれた。
その辺は流石に長い付き合いだと思う。
幸市「いや・・・な・・・・・」
正史「安心しろ!俺の一発ギャグで元気出させてやる!!」
幸市「お前のギャグって一発だったか?」
正史「俺がお前の心を操って強引に元気を出させてやるぜ!!」
幸市「ハァ?」
正史「なんせ俺は念力二級だからな!!」
幸市「どんな試験内容なんだよ・・・」
正史「十日間踊りっ放しだった。」
幸市「ップ!」
不覚にも吹き出してしまった。
正史は我が意を得たりと得意顔になってネタを続ける。
正史「一級はもっと厳しいぞ。マサイ族の踊りとかあるからな。あ!言っちゃいけないんだった・・・」
幸市「お前普通に言っただろ?」
正史「いや、二級までは良いんだ。」
幸市「何で?」
正史「知らん。」
幸市「ネタは無いのかよ!!」
正史「元気出たろ?」
幸市「あ!」
先程まで葵が死んだ悲しみに暮れていた筈なのに、いつの間にか忘れさせられていた。
これが正史の親友たる所以なんだろうな、と幸市は思う。
幸市(まったく・・・敵わねぇな・・・)
少し自嘲気味に幸市は笑うと、前を向いて学校へ歩いて行くのだった。 |