last ward
葵は普通に爆弾を受け取った。
幸市(あれ?)
やはり感じる違和感。
以前あったように感じる既視感。
しかし、絶対に無かったと断言できる。
幸市(いや・・・どうでもいいことだ。)
幸市はその違和感を頭の中から無理矢理追い出した。
幸市「葵・・・ちゃん?」
幸市は溜まらず葵に声を掛けた。
葵は幸市の方を向くと再びニッコリ笑う。
その顔は『大丈夫』と言っている様にも見えた。
幸市(頼むよ・・・本当に。)
その願いは、遠回しに葵に『死ね』と言っているような物だ。
幸市もそれは理解していて、しかし考えないようにしていた。
幸市(本当に浩二に投げてくれるか?もしかしたら俺と心中しようとしたりするんじゃ・・・)
幸市はそれが杞憂であると理解する。
葵がちゃんと浩二に向かって投げたからだ。
浩二「お?もう終わりか?」
それが浩二の最後の言葉となる。
−バーン!!−
凄まじい音と光が部屋の中を満たした。
やがて巻き上げられた埃は収まり、下半身だけになった浩二の死体が顕になる。
しかし、これで終わりではない。
幸市(次は・・・ルール通りなら・・・射殺・・・)
この時幸市は安心していたと言って良い。
爆弾は幸市の対角の浩二の所で爆発し、幸市は生き残る権利を得たからだ。
そして、真帆と葵に銃口が向けられる。
二人が撃たれると思って、一瞬覚悟した幸市にとって意外な言葉が出た。
?「最後に言いたい事があれば言うがいい。」
すなわち、この世に対する未練を吐いておけと言うのである。
葵「幸市先輩?」
幸市「ん?」
葵「一緒に生きていけなくて残念ですが、私の分まで一生懸命生きてくださいね?」
幸市「うん。」
それに関しては絶対の約束が出来る。
葵は満足したかの様に一度頷いた。
真帆「信用して貰えなかったのが残念ね。」
幸市「え?」
真帆「クスクス・・・結果としてそうなったから良いけど、私に投げても貴方を生かしてあげたのに・・・」
幸市「嘘・・・」
真帆「クスクス・・・嘘ついてどうするの?そうなるように完璧に計算して最高のタイミングで貴方に渡したのに・・・クスクス。」
幸市「・・・・・」
幸市は何も言えなかった。
真帆は最初から幸市を生かそうとしてくれていたのに、幸市は真帆を信用しなかった。
そんな虚しさや悲しさが心の中で渦巻いていたのだ。
葵「じゃあ幸市先輩。またね?」
真帆「クスクス・・・また会いましょう・・・クスクス。」
二人は軽い別れの言葉を告げる。
それは学校での帰り道での様な軽い別れの言葉。
−−パァン−−
二つの銃声が同時に聞こえた。
幸市は瞬間的に目を閉じる。
人並みの重さをしたものが二つ倒れた音がした。
幸市はそれが、今更ながら、夢であって欲しいと願い、目を開いた。 |