believe
幸市(さあ、どうする?)
爆弾を受け取った幸市は思考の続きを行う。
危機においてのみ冴え渡るこの頭脳で、幸市は何回も野球の試合での勝利を収めてきた。
前回は負けてしまったが、もうそれすらもどうでもいい。
真帆も葵も何を思ってか言葉を発しない。
浩二だけは意味不明なことを喚いている様にも見える。
幸市(大丈夫だ・・・五秒間考えられる。)
この状況に至って、冷静に物事を考えられる自分に幸市は少し驚く。
幸市(俺にある選択肢は二つ・・・)
言うまでも無い事だが『真帆に投げる』『葵に投げる』である。
幸市(どっちに投げたら生き残れる?)
どちらに投げるにせよ、投げられた相手はそれを浩二に投げ、しかも浩二が持った状態で爆発しなければならない。
幸市(つまり投げる相手は、爆弾を受け取った後、残り一秒まで待ってから浩二に投げてくれる人間ってことになる。)
すなわち、自分の身を犠牲にしてでも幸市を生き残らせてくれる絶対の信頼が置ける相手でなくてはならない。
幸市(真帆さんは・・・ないかな・・・・・)
今までの三回の爆弾ゲームを見ても、真帆という人間が分からない。
爆弾を投げてもどんな行動を取られるのか分かった物ではない。
つまり、もう幸市には『葵に投げる』という選択肢しか残っていない。
幸市(葵ちゃんはどうだろう?)
選択肢が無いのに考察するのは、時間を無駄にする愚かな行為に他ならないが、幸市はその行動を自らの意思で止める事が出来ない。
幸市(葵ちゃんは前回俺を殺そうとしたんじゃなかったか?)
そう、葵は前回幸市に向かって爆発寸前の爆弾を投げている。
幸市
と幸市は思う。
幸市(前回、爆弾ゲームが終わった後、『もう俺には投げない』と言ったじゃないか・・・)
それも事実。
幸市は葵の方を向く。
葵と目が合った。
何を思ったのか、葵は幸市に向かってニッコリ笑って見せた。
幸市(!!・・・よし・・・決めた・・・・・)
幸市の決心の決め手はその笑顔。
幸市が覚悟するのと同時に四つの銃口が幸市に向く。
恐らく所定の五秒が近づいたのだろう。
幸市(一緒に生きていけなくて・・・ごめんよ。)
幸市は心中で、土下座でも物足りないくらいの気持ちで謝ると、信じて、本当に信じて、葵に向かって爆弾を投げた。
残り時間『00:00:03』 |