solution
野球部の練習に参加して、準備運動だけ済ませた幸市は監督に話しかけた。
幸市「監督・・・」
野球部監督「ん?どうした?」
幸市「以前、千本ノックの際に俺がやった『アレ』の正体がわかりました。」
野球部監督「何!?本当か?」
幸市「はい・・・確実に出来ます。」
野球部監督「そ、そうか!!よし、見せて貰おうじゃないか。おい!全員集合!!」
なんと監督は野球部全員の前でやらせる様だ。
それでも幸市は臆さない。
幸市(『爆弾ゲーム』の緊張感の方が遥かに上だぜ・・・)
幸市はそっと頬に伝う汗を拭う。
幸市の投げる球を受け取るファーストとノックする監督以外は、みんな座って緊張の面持ちで見ていた。
野球部監督「行くぞ。」
幸市「はい!!!」
−カァン−
耳に残って、だが心地よい音が響くと同時に、幸市は球に向かってダッシュする。
ここからが肝心。
幸市はまだ捕球していないのに、すでに送球のように腕を振っている。
そして、腕を振っている途中の段階で中指と人差し指をボールに合わせ、そのまま振り抜く。
−パァン−
ボールがミットに吸い込まれる。
幸市がボールに触っている時間は0.3秒足らず。
しかも、幸市が投げる球の速さと相強まって、ボールがその場に瞬間移動したような錯覚を受ける。
これぞ幸市の編み出した、野球型の球技では理想とも言える守備の形である。
しかし、速さも動き方も全く違う打球全てに、寸分の狂いなく中指と人差し指を合わせるなんていうミラクルは幸市にしか出来ない。
もし、合わせた二本の指が数ミリ違っただけで、またはタイミングがコンマ一秒違うだけでボールは明後日の方向に飛んでいってしまうのだから。
野球部監督「幸市?何やったんだ?」
幸市は監督の下まで走って行き、どういう事か説明した。
野球部監督「そうか・・・」
幸市「技名もしっかり考えてあるんですよ。名付けて!!『NTS』!!!」
野球部監督「そりゃどういう意味だ?」
幸市「サッカーのノートラップシュートにちなんで名付けました。NTS(ノートラップ送球)です。」
冷たい風が流れた気がした。 |