relief
そんなわけで放課後。
『帰りのST』なる担任教師による諸連絡の伝達が終了し、幸市は速攻で校舎裏へ向かった。
そこには予想通り葵が待っていた。
葵は幸市を見るとパッと顔が明るくなる。
告白は断ったはずなのに、幸市への想いは諦めていないと見えた。
葵「幸市先輩!!」
幸市「や、やぁ葵ちゃん・・・何の用?」
できるだけ無関心を装うが、目は泳いでいるし緊張しているのが見え見えだ。
葵「『爆弾ゲーム』のことです・・・」
その途端、幸市の顔がすっと厳しいものに変わる。
幸市「葵ちゃん・・・そのことをあまり日常で口にしない方が・・・」
葵「わかってます・・・だからこうして校舎裏で・・・」
幸市「それで?」
葵「あの・・・私も例の同盟に混ぜてください!!」
幸市「なん・・・」
『何でそれを?』と幸市は訊こうと思ったのだが、それは愚問と言う物だった。
前回で葵が同盟に気付いていた様だし、葵が同盟と言う名前を使ったのは偶然だろう、と幸市は推測する。
幸市「ああ、俺としては構わないよ。真帆さんだってたぶん許可するしね。」
葵「よかったぁ・・・死にたくないもんね?」
幸市「当然さ。」
幸市はニッコリ笑ってみせる。
『大丈夫、葵ちゃんを殺させたりしないよ』的な意味を視線に込めて。
その気持ちが通じたのか、葵は赤くなって下を向く。
葵「あ、あの・・・幸市先輩!私と付き合ってもらえませんか?やはり・・・その・・・諦めつかなくて・・・・・」
真っ赤な顔を下に向けながらもじもじ言う葵は、幸市にとって堪らなく可愛かった。
幸市(どうする?今は断る理由がないよな・・・)
以前葵の告白を断ったのは、自分にとって大切な人間が『爆弾ゲーム』で死ぬという事態を避けるためだった。
『爆弾ゲーム』に参加している人間が、話を聞く限りは貧乏な人間ばかりなため、わざわざ葵の家が裕福かどうかを確かめたのだ。
しかし、今はもう葵は『爆弾ゲーム』に参加してしまっている。
葵「あの・・・駄目ですか?」
幸市「そ、そんなことないよ!!」
葵「じゃあいいってことですか?わ〜い!!」
そう言って葵は飛び跳ねながら去って行った。
幸市は暫くボーと立ち尽くした後、気を取り直して部活に向かった。
そんなことがあったのに、珍しく部活の開始に遅れなかった幸市は監督に叱られることもなかった。 |