extraordinary
奈緒美「いきなりイってどうすんのさ!!あんた人の話聞いてたのかい?」
真帆「クスクス・・・そんな余裕は無いそうよ?」
燈「大変な事情がおありの様ですね?」
ボールをキャッチした奈緒美は真帆へ、真帆は燈ヘ投げ渡した。
奈緒美以外には、とてもじゃないけど受け取れない『幸市の全力で投げた球』を恐れて、誰も幸市へはボールを回さない。
真帆「クスクス・・・燈さんでしたっけ?あなたも中々余裕そうね?」
奈緒美「精神構造が既にバグってんでしょ?」
燈「わかりますか?いやぁお恥ずかしい話です。」
燈は「ハハハ」と笑って、頭を掻いた。
それは、まさしく異様な光景だった。
三人は談笑を交わしながら、『死』を互いに押し付けあっているのだから。
そんな中、幸市は少しずつ落ち着いてきた。
未だに、恐怖は消え去らないし、晋介の上半身が吹き飛ぶ光景は網膜に焼き付いて離れないが、息は整い、冷静に周りを見ることができるようになっていた。
幸市(あれ?燈さんの様子が変だ・・・)
楽しそうに話し合っている燈の異常に気付いたのは、この時は幸市だけであった。
奈緒美「ところで燈さんよ。あんた仕事はしてるのかい?」
燈「いえ・・・少し前まで、大病院で働いていたんですが、重症患者の手術中に薬の禁断症状が出てしまいましてね・・・結果、患者は死亡、僕が薬をやっていることもバレてしまいましてね、留置所送りのところを逃げ出して、公園を渡り歩く漂浪生活をしていた所を連れ去られた、というわけです。」
真帆「あらあら・・・いけないことしてたのね?私はてっきり、廃業のショックで薬に手を出したのか、と思ってたわ。」
奈緒美「私もそう思ったねぇ。そんな過去じゃあちょっと同情し難いなぁ。」
そんな燈の異常が、明らかなまでになるのは、ほんの45秒後のことだった。
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