family
?「お〜い、幸市。起きなさい。飯だぞ。」
父親が幸市を揺すりながら声を掛ける。
幸市「うるさいなぁ・・・もう少し寝させろよ・・・。」
幸市はまだ寝足りない様子で、だるそうに答える。
父「何言ってんだ?今日は試験だろ?」
幸市「そういえばそうか・・・わかったよ。」
幸市は渋々布団から出る。
そして、身支度を整え、父親と共に台所へ向かうのだった。
幸市の家は世辞にも裕福とは言えない。
その貧乏さがどれ程かと言うと、頭を洗うのにシャンプーなど使わずに、石鹸を水で溶いたもので洗っている程である。
ちなみに父親の給料は月々45万円。
そんなに悪い数字ではないのに、なぜ暮らしが貧乏なのか。
それは単に父親のポリシーのせいだった。
そのポリシーとは『借金をしない』というもの。
一見立派なようだが、そのためにローンもせず、今住んでいるこの家も現金一括払い。
つまりは、その時のせいでこんな苦しい生活をさせられている。
しかし、一応は稼いでるわけなのだから、高校には普通に通えているわけだ。
父「お前・・・少しは勉強したのか?」
席に着くなり、いきなり父が尋ねてきた。
隣に座っている母親も、まるで責めるように幸市を見つめている。
幸市「あ・・・ハハハ、何言ってんだよ。昨日は遅くまでがんばってたよ。」
幸市は苦し紛れの嘘を言う。
実際は、少し教科書を開いただけで悶絶し勉強を中断。
意味の無い苦悩を繰り返していただけだった。
父「おまえなぁ・・・そんなことじゃ・・・・・・」
幸市「あ!!もうこんな時間だ。じゃあ学校行ってくるわ。」
幸市は逃げるように、玄関から飛び出ていった。 |