こんな夢を見た。縦書き表示RDF


こんな夢を見た。
作:ミズキシホ


桜の満開の下を歩いている。
待ちに待った年に一度の桜。
嬉しくて嬉しくて、
とにかく嬉しい。
桜の花びらが舞っている。
季節外れの雪のようだ。
雪なら傘を差さなければ。
傘を取りに行かなければ。
傘はどこ?
あのお気に入りの傘は。
車? ない。
クローゼット? ない。
傘がないと桜を見られない。
こうしている間に刻一刻と桜は散ってしまう。
傘がないと桜を見られない。
傘はどこ?
あの傘はどこ?
傘がないから今年の桜は見に行けないといって泣いている、

という夢を見た。


夜道を歩いている。
満天の星がとてもきれいで、
街灯もない道なのに明るい。
ひとつふたつと数え始めたら、
ひとつふたつと星が落ちてくる。
落ちてきた星をひとつふたつと拾って、
海へひとつふたつと投げたら、
一匹二匹と飛ぶ魚になった、

という夢を見た。


花火を見ている。
すぐ近くで上がっていて、
火花がヒラヒラと散っていく。
兄が、
「あれを拾いに行こう!」と言う。
「ウン、行く!」とわたしが言う。
途中まで行って、
兄は引き返す。
「なぜ? 拾いに行かないの?」
「もう消えてしまったよ。」
大きく膨れ上がった気持ちが、一気にしぼんでいく。
とても悲しい。
あれは小さい頃のわたしだ、

という夢を見た。


知らない誰かなのか、
もうすでに知っている誰かなのか
誰かと話している。
「今、この瞬間は『夢』だけど、
 いつか必ず会う日があるよ。
 偶然ではなく必然。
 そんな日が来るから、必ず。」

という夢を見た。


小包が届いた。
包みをほどくと、
探していた傘だ。
これで桜を見に行ける!

という夢を見た。














ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




◆BACK
小説家になろう