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うそつきな男としょうじきな男

作者: 若槻風亜

 むかしむかし あるところに とても うそつきな男と

 とても しょうじきな男が おりました。


 しょうじきな男は 絵をかくのがうまく、

 いろいろな 絵を かいておりました。


 しかし しょうじきな男は しょうばいが

 うまくなく、かいた絵は 売れませんでした。


 あるとき、 うそつきな男は しょうじきな男の

 絵をみて思いました。


 「こいつの 絵は とてもじょうずだ。 

  よし、こいつの 絵を おれのものだと

  言って 売ってしまおう」


 うそつきな男は しょうじきな男の 絵を

 かってに もちだし 売りはじめました。


 そのことを しった しょうじきな男は

 とても おこって うそつきな男に つめよりました。


 「それは おれの かいた絵だぞ。 なんで かってに

  売ったりするんだ」


 しかし、 うそつきな男は へらへらと わらうばかりです。


 「おまえが しょうばいが へただから おれが

  かわりに 売ってやっているんだ。 もんくを言うな」


 くちの うまい うそつきな男は まわりの人に

 しょうじきな男が うそつきだと 言いまわりました。


 しょうじきな男は とても かなしくなり、 絵が

 かけなくなって しまいました。


 うそつきな男は すこし あせりましたが、 まだ

 かってに もちだした 絵が あるので いいかと

 思いました。



 それから ひとつきが たちました。


 うそつきな男の てもとから 絵が なくなってしまいました。


 うそつきな男は あわてて しょうじきな男に 言いました。


 「やい、 あたらしい 絵を かかないか!」


 しょうじきな男は くびを ふります。


 「おまえの せいで もう 絵は かきたくない」


 なんど たのんでも かいてくれない しょうじきな男に、

 うそつきな男は ついに おこりだしました。


 「いいから かけ! かかないなら こうしてやる!」


 うそつきな男は しょうじきな男を なぐりはじめました。


 「うわぁ! やめろ!」


 しょうじきな男は にげまわりましたが うそつきな男は

 それを おいまわします。


 となりの へやで そのやりとりを みていた しょうじきな男の

 むすめは かおが さーっと 青くなりました。


 「おとうさんが ころされちゃう」


 むすめは あわてて いえを とびだし、おしろまで いきました。


 「とのさま、 とのさま、 わたしの おとうさんを たすけてください」


 むすめが じじょうを はなすと、 とのさまは ひとを やって

 うそつきな男と しょうじきな男を むかえに いかせました。


 すこしして どうどうとしている うそつきな男と、 ぼろぼろに

 なった しょうじきな男が やってきました。


 とのさまは たずねます。


 「そちらの おとこは どうして ぼろぼろ なのだ?」


 うそつきな男は こたえます。


 「こいつが わたしの 絵を ぬすんだ からです」


 とのさまは また たずねます。


 「おまえは 絵が とくい なのか?」


 うそつきな男は むねを はって うなずきます。

 すると とのさまは けらいに なにかを めいれいします。


 いちど さがって もどってきた けらいが 持っていたのは

 絵の どうぐ でした。


 「ここで わしを かいてみよ。 ただし、 かけなかったら くびを はねるぞ」


 とのさまが めいじます。

 うそつきな男は とても あわてました。


 「わたしは じぶんの どうぐで ないと かけないのです」

 「それは おまえの いえに あった どうぐだぞ」

 「わたしは ひとまえでは かけないのです」

 「では ひとへや よういしよう」

 「わたしは いちにちでは かけないのです」

 「なんにち かかっても よい」


 いいわけを つづける うそつきな男は あせで びっしょりです。


 とのさまは ふと しょうじきな男に めを むけます。


 「おまえは わしを かけるか?」


 たずねると、 しょうじきな男は すぐに うなずきました。


 「はい」


 しょうじきな男は けらいから 絵の どうぐを うけとり、

 とのさまを かきはじめます。


 しばらくして しょうじきな男は ふでを とめました。


 「こちらで いかがでしょう」


 しょうじきな男は できあがった ばかりの 絵を

 とのさまに みせました。


 「おお、 みごとだ」

 

 絵を みた とのさまは かんしんしました。 その絵は

 とても じょうずでした。


 「この男は しょうじきだ。 おまえは うそつきで、

  絵も かけなかった。 言ったとおり くびを はねるぞ」


 とのさまは うそつきな男を じろりと にらみ、

 けらいに つれていかせました。



 こうして うそつきな男は くびを はねられ、

 しょうじきな男は とのさまの おすみつきの

 絵かきとなりました。





 めでたし めでたし



Twitterで流れてきた「Shuさん(@kihanmoto)」の以下のツイートを参照に書かせていただきました。


<引用 ここから>

他人が作ったものを自分で作ったと言ってチヤホヤされてる若者が

最終的に殿様の目に止まって目の前で作るはめになり、嘘がばれて

首斬られて死ぬ的な昔話を子供たちに読み聞かせておけばちょっとは

世の中平和になると思うんだ

<引用 ここまで>

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