俺の日常につき(17/30)PDFで表示縦書き表示RDF


 数週間前からの事ですが、ユニーク数1000人突破おめでとー! 読者側は知り得ない情報なんですよね? これ。       感想、評価は相変わらずですが、アクセス、ユニークともに上昇しておりますので、これからもグダグダながら頑張りマス。
俺の日常につき
作:高田高



11月.文化祭につき その三



「「ただいまー」」

「お邪魔します」

 三人の声は絶妙にハーモニクスし、家中に響いた。その声に、ペタペタとスリッパの擦る音が聞こえ、現れたのはエプロン姿の清美。

「おかえり」

 お邪魔します、と言う良太の声を政一の声と聞き間違えたらしく、いつもなら返事もしないくせに、わざわざ玄関まで出迎えたようだ。

「おっす」

「なんだ、良太か。出迎えまでして損した」

 俺と清美と良太は、三人で出掛ける事もあるため、顔見知りで仲も良い。

「おいおい、そりゃないよ。今日はスゴイプレゼントあるんだからよ。なあ、トーさん!」

 俺は段ボール箱を玄関マットの上に置くと、ガムテープをはがし、中から例の衣装を取り出した。
 それを見た清美の反応は、予想通りあまり良くない。

「……なに?」

 冷ややかな視線で見られるのも予想通り。
 だがしかし、我々は家に帰るまでの間、ある策を思い付いていた。

「まあまあ、そう怖い顔するなって。タケがさ、出し物のクレープ屋の売り子やって欲しいんだと」

「この服で?」

「そうだよ。クレープにゴスロリ。どうよ? 案外マッチしてるっしょ?」

「ミスマッチだと思うけど」

「タケがさぁー、どうしてもって。無理にとは言えないけど、タケのヤツ楽しみにしてたからなー」

 清美は衣装を手に取ると、しばらく見つめていた。 あと、一声で落ちるな。

「その格好みたらタケのヤツお前にメロメロだよ。もう一気にゴールインだよ」

 言っておいてなんだけど、今時メロメロは無いよなぁ。逆にテンション下がらなきゃいいけど。

「……わかった」

 それだけ言うと、清美は衣装を持って奥へ走って行った。リビングとは違うようだから自室だろうか。早速着てみるつもりなのか?

「うまくいったな」

「100%バレるけどな」

「私、知らないよ」

 後でエライ事になりそうだが、是が非でも清美のゴスロリ姿を見たかったのだから仕方がない。
 男には、死ぬとわかっていても、行かぬばならぬ時があるのだ。
 まあ、そんなたいそうな覚悟ではないんですけどね?



 あれからリビングに場所を移し、清美が着替えてくるだろう事を楽しみにしながら談笑していた。
 しかし、気になる事が一つある。

「いつまでチャイナ着てるつもりだよ」

「えー、ダメ?」

「いえいえ、いいですよ! すごく似合ってますよ! こんなにチャイナが似合う人は中国にもいませんよ!」

「ありがとー」

 奏太の猫撫で声に、良太は顔を真っ赤にして照れている。
 もう誰がなんと言おうと、リョウにとってカマ兄は女なんだろうな。どうしようもないな、これは。

「あの、俺、いや、僕、あなたの事が……好きです」

 タケに続いてリョウまでも俺がいるのも関係なく、告白しちゃったよ。臆さないところは確かに男らしいけど、出来ればそれを女に言ってやれよ。

「ごめんなさい。私、付き合ってる人いるから」

「そう、ですか……」

「え、ちょっ、待って。誰と付き合ってんの? 男? 女?」

 俺の質問に奏太は、乙女のように頬を赤らめ、恥じらっている。
 なんかすっげぇームカツクんですけど。

「誰よ? 早くゲロしてくんない? くねくねされると、ムカツクんだよ」

「お前、いくら兄弟だからってひどくないか?」

「あのねぇ……」

 ・ ・ ・ ・

「早く言えコラ! 折りたたみ式ケータイを折りたたむべき方向でない方へ折るぞ!
 ミリオネアか? みのさん気取りか!?」

「落ち着け! そのケータイ俺のだから!
 そんなだと、そう姫怖がって言い出せないだろ!」

 とりあえずケータイを良太に返すと、腰を下ろす。今だ苛立ちが治まらず、机を人差し指でコンコン叩いていると、

「……浜岡さんと、付き合ってるの」

 浜岡? 浜岡……。
 誰だっけ。男だっけ、女だっけ。いや、待て、確かヨっちゃんの名字浜岡だったような……。

「え? ヨっちゃん?」

「ヨっちゃんて、芳江? え? だってヨっちゃん女だよ?」

 いや、合ってるから。生物学上正解だから。カマ兄は男だから。
 しかし、そうか。女性に対して恋愛感情あったんだな。安心したよ。

「いつから付き合ってたんですか?」

「えーと、先月かな?」

「先月? 不思議の国に迷い込んだ日?」

「なんだよそれ? 澤谷に不思議の国への入り口があんのか?」

「アーケードにあるケーキ屋がカオスゲートだ、気を付けろ」

 不思議の国に迷い込んだ影響で、男性としての性に目覚めたのか。捨てたもんじゃないな、カオスゲート。しかし、兄弟が親友の彼氏彼女って微妙な感覚だなぁ。

「待てよ。2−Aは仮装喫茶なんだよな。
 まさか、そう兄その格好って!?」

「浜岡さんにどうしてもって、頼まれたの。3年は文化祭参加自由だし、ウチのクラス出し物無いから、調度いいかなぁーって」

 彼氏がチャイナドレスってどうなのよ。ヨっちゃんも変わった趣味してるよなぁ。二人が並ぶとヨっちゃんが彼氏でカマ兄が彼女だもの。
 とか考えていると、リビングの戸を開け、世界色を一気に塗り替える姿の清美が入って来た。
 黒を基調としたシックなデザインながら、ところどころにあしらわれたフリルが可愛いらしさをアピールしている。
 思った通り、びっくりするくらい似合ってる。

「やっぱり恥ずかしいなぁ、これ。この格好で売り子するのか? 政一の頼みじゃなきゃ絶対やらないよ」

「政一? おいおい、いつから呼び捨てするようになったんだよ? 服なんかよりそっちの方が気になるんですけど!?
 そう言う関係になっちまったのか! ただれた関係になっちまったのか! 俺は許さ、」

「バカ兄貴! 今すぐ冥府へ案内してやるよ!」

 清美は飛び蹴りを俺の顔面に叩き込むと、瞬時に背後に回り、チョークスリーパーホールドを仕掛けてきた。

「ゴスロリの、妹に……絞め落とさ、れるなら……ほん、もう……だ」

「キヨちゃん、ブレイク! ブレイク! それ以上やると本当にイっちゃうから!」

「トー君、目閉じたらダメよ!」

 さらば、すばらしきこの世界――



 なんやかんやで準備は終了し、ようやく文化祭当日を迎える事となった。


《続く》


 前、後編の2部構成どころではなくなってしまいました。多分、11月だけがこんなに長いと思います。 準備が終わったので、次回から文化祭当日です。当初は三行程度で、文化祭はなんやかんやで無事終了、とかのつもりだったのに、エライ事に!











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