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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第3章「生き脱ぎ」

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第3章「生き脱ぎ」6 女地獄にヌーディストビーチって?

「言うなよ、シャル。僕達はまだ銃器の扱いは素人同然だし、使えるコードの種類は半端だ。邪魔にならないようにするのも大切なことだ。なぁ、カレナード」
「そうだな。僕達が半人前のまま死んだら、それだけ将来の人材が減るだろ。第一、まだ死にたくない」
彼は訓練用の地図を広げ退艦後の脱出ルートの探索を始めた。
「川沿いに下れば必ず町がある。降下地点を外れて一人きりになったらどうする、ヤルヴィ」
「の、狼煙を上げる」
「何色の狼煙を」
「赤は『その地点に留まる』、青は『一番近い仲間に返事を請う』だ」
「君の狼煙にだれからも返事がなかったときはどうする」
「僕は嫌だよ、そういうの」
ミシコが「嫌で済む事態じゃないぞ」とたしなめた。「君ならどうする、キリアン」
「ああ、着地に失敗してパンツが脱げたら単独行動だ」
「違うな。パンツを濡らしたら単独行動だ」
アレクがこともなげに言って2人は笑い転げ、ミシコが頭をかかえ、シャルは「着地点に可愛い娘がいた場合」と答えて顰蹙を買った。
カレナードが「緊急事態のオレンジ三連射」と言って、急に席を立った。
「どうやら始まったみたいだ」
V班の面々はきょとんとした。アレクだけがうなずいた。
「レバーパテを食うか」
「うん。今日の訓練が終わったら。洗面所に行ってくる」
カレナードが教室を出てから、残りのメンバーは気づいた。アレクが言った。
「あれから1ヶ月経ったんだ。正確には28日だけど」
「なんで28日なんだ」とミシコ。
「周期が28日のタイプと30のタイプが多いんだよ。まぁ、他にもあるけど」
「だから、何で知ってるんだよ」
「姉貴が3人に母親に叔母連中が2人に従姉妹が5人も同居しててみろ。彼女達は屈託なしで、わざわざ教えに来るのさ。集団の威力ってところだな」
シャルはぶるぶる震えた。
「お、俺は耐えられねえ。そんな女地獄。班長はどんなんだよ」
「オープンな女系一族もいいかな。僕の所は家族単位で暮らすように作られてたから、大家族にはちょっと憧れてたんだ」
キリアンも相槌を打った。
「アルプのヴィザーツ屋敷も家族単位だったけど、解放感はあったな」
ヤルヴィが訊いた。
「どのあたりが解放的だったのさ」
「湖に面してて、短い夏にはみんな素っ裸で泳いだ」
ミシコとアレクが声を揃えた。
「ヌーディストビーチ…!」
教官は彼らを叱った。そのうちに、キリアンとヤルヴィはカレナードが再び貧血を起こしていないか見に行くために立ち上がったが、彼は元気に戻ってきた。キリアンは具合を訊ねた。
「痛みや…なんていうか、頭が重いとか、あるかい」
「今朝方、下腹が少し痛かったから用意はしておいたんだ。今は平気だよ」
カレナードは他班からの視線が集中しているのに気づいて、ニッと笑って見せた。
ミシコはその笑い方でミンシャ・デライラを思い出した。すぐに彼は彼女に班長会以外で会うための口実を探していた。
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