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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第2章「新参訓練生」

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第2章「新参訓練生」29 大胆にも

周りの視線を浴びながら、カレナードは言った。
「僕はスカートを履く気はこれっぽっちもない。ナサール、興味本位で訊ねているのなら止めてくれ。事実を受け入れる度量のないヤツに話せることじゃないんだ。そうだ、こちらからも伺っておこう。君の妄想のお相手はベル・チャンダル女官じゃないのか」
ミシコとキリアンがヒュッと口笛を吹いた。周りからも笑いが漏れた。
「そりゃまた高嶺の花だなぁ。高すぎて畏れ多いよなぁ」
「さすがお祭り男、調子こいてるぞ」
ナサールは、真っ赤になって叫んだ。
「男ならああいうお高い女に挑むものだろ!そこらへんのちょっと可愛いとか美人とか鼻にかけてるような女で満足していたらダメなんだっ!」
アレクがとどめを刺した。
「こいつは本当にダメだな、今の発言で新参女子を全員敵に回したぞ」
シャルも言った。
「誰か外で待ってる彼女達に言ってやれよ」
ナサールはあわてた。
「いやいやいやいや、ここだけの話にしてくれよ。男同士なら分かってくれよ」
カレナードがそれに答えた。その声はふざけてはいなかった。
「僕を男と認めて、そう言ってるのか。ナサール」
S班班長はふと我に返った。彼はお調子者ではなくなっていた。
「悪かった、お前にとっては本気の話なんだな」
カレナードはうなずいて、講壇に立った。それから周りの男子新参達を見た。
「いい機会だから、皆に聞いて欲しいことがある」
短い告白が始まった。
「もう噂が耳に届いているだろう。
僕の体は女性だ。オルシニバレ市の調停完了祭の最終日に玄街に襲われた。奴らのコードは僕の男の体を変えてしまった。だから禁忌を犯してまでガーランドに乗ったんだ、元の体を取り戻すためにね。施療棟では玄街のコード解析をしている。可能かどうかはまだ分からないんだ」
カレナードは周りを見た。男子新参達は静かに彼の言葉を聞いていた。
「編入してきた時、僕にはまだこのことを明らかにするだけの勇気はなかった。自分でもこの体を認めることが出来なかったんだ。先日の争いはそのせいで起こった」
誰かが「女子棟の方が何かと都合が良くはないのか」と言った。
「僕は男だ。ヴィザーツになるためにここにいる男だ。心は男のままだ。どうか男として扱ってほしい。そして、君たちの好奇心を否定はしない」
彼はいきなり実習服に解除コードをかけた。ミシコが止める間もなく、彼はコルセットを外し、小さく膨らんだ胸を見せた。そしてミシコに笑いかけた。
「最初が肝心さ。こうしておけば、皆もある程度納得できるだろ」
「お前、開き直ったな」
ミシコはあの遮音室で泣いた姿からは思いもよらないカレナードの度胸を頼もしく思った。キリアンは少し苦しそうにその様子を見ていた。男達はカレナードの胸に注目したのち、ざわめいた。
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