挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第2章「新参訓練生」

77/388

第2章「新参訓練生」28 誰もかれもが知りたがる

班長はカレナードに告げた。
「男子棟でいるのなら、避けては通れないぞ」
「ああ、今度のことで僕は思い知ったよ。僕は女男ゆえ、時にはすごぶる率直でなくてはならないとね。皆の好奇心に応えるのが、僕の務めになるだろうな」
きっかけはすぐにやって来た。
航空部基礎概論が始まるという時に、サナールが朝の大講義室の講壇に立ち、新参訓練生が全員いる中でやらかした。
「新参のみんな、注目してくれないか。男子V班のレブラント君に伺いたいことがある。もし迷惑でなければ、これからは『レブラント嬢』と呼んでいいかな」
ミシコはよりによって、今ここでそれを言うかとあきれたが、カレナードは班長に合図して席を立った。
「ナサール、なぜ僕をレブラント嬢と呼びたいんだ。訳が知りたいな」
「ここまで降りてこいよ、カレナード」
ナサールは挑発した。カレナードが講壇までの緩い勾配の段を歩いていく途中にマヤルカがいた。彼女は「私も行くわ」と言ったが、カレナードは「男同士の話だ」と断わった。
「また殴り合いをするの」
「場合によっては」
言葉とはうらはらに彼は余裕の笑みを見せた。講壇まで行くと、ざわめいていた部屋が静かになった。
「ナサール、僕について何を知っているんだ」
S班の班長はカレナードの耳元でささやいた。
「さっそく乙女の慰めをしているかい」
「そういうことは、男子棟で言えよ。女達を敵に回したいのか、馬鹿野郎」
男子達はぼそぼそした遣り取りに不満を漏らした。
「おい、内緒話はないだろう。ナサール、カレナード!」
カレナードは振り向いた。
「男同士の話だ。悪いがこの先は場所を変えるなり女性にご退席願うなりしたい」
ミンシャが助け船を出した。
「私が女子代表で述べるわけではないけど、男の名誉にかかわることならそうしてもいいわ。講義が始まるまで15分あるから、席を外している間に終わらせてね。怪我して医療班を呼ぶようなことは無しよ。女子棟の皆さま、どうかしら」
少女の群れは潮が引くように、大講義室を出た。残った者は講壇を取り囲み、V班のメンバーはカレナードのそばに集まった。
ミシコが訊ねた。
「さっきナサールは何て言ったんだ」
カレナードが先制して答えた。
「男子S班班長は言った、『さっそく乙女の慰めをしているのかい』ってな。失礼にもほどがある。僕に対してじゃない、同席している女子に対してだ。だから男だけ残るようにしたんだよ。ミンシャが機転を効かしてくれて良かった」
アレクがきっぱり言った。
「ナサール、お前、女に総スカンを食うところだったな。カレナードに感謝しろよ」
ナサールは両手をひらひらさせて、お辞儀をした。
「それは俺の配慮が足りなかったな。カレナード、恩に着るよ。で、続きなんだが、君は実はスカートを履くべき存在だって本当かい」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ