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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第2章「新参訓練生」

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第2章「新参訓練生」27 男と女の間には・その3

ドアの隙間から声がした。ミンシャとマヤルカだ。
「男同士のお話の最中ですけど。V班の皆さま、よろしいかしら」
ミシコの背筋がしゃんと伸びた。彼は小さく咳払いしてから、どうぞと言った。ミンシャとマヤルカが入るといつもの部屋が違って見えた。
「カレナードに必要なものを持ってきたの。いい機会だから知っていて欲しいンだけど、たぶん、あなた達は初めて見るのよね」
ミンシャは優しい手つきで女性に必要な品物を並べた。それから男子達に向き直り、特にミシコに向かって言った。
「あンた達の友人を助けて欲しいのよ。ほらほら、大事なことだから説明するわ。キリアンもこっち来て」
ミンシャとマヤルカの誘いには彼の気まずさも折れた。彼女達の前で無分別な子供でいては、男のプライドが許さないのだ。シャルはベッドの上の見慣れぬ品物を前に、ストレートな疑問を口にした。
「カレナード、お前、あれを付けているのか」
「そうだよ」
あっけらかんとした遣り取りにマヤルカは腰が抜けそうだった。
「デ、デリカシーはどこへ行ったの」
「マヤちゃん、男のデリカシーは女とは少しずれてンのよ」
ミンシャはニッと笑った。ミシコは彼女の小麦色の肌とくっきりした眉と水色の瞳が自分に笑いかけていると感じた。彼は右手を差し出した。
「ミンシャ・デライラ。恩に着るよ。どうも僕達は大雑把で、この分野の想像力に欠けているというか、いや、まだカレナードのことをそれほど分かってないんだな、その女性のことも…。だから、本当にありがとう。」
「いいってことよ。男も女もお互いに傷つくばかりじゃ損するわよね」
女子Y班の班長は、ミシコの右手を握り返した。どちらも柔かくて大きな手をしていた。
V班の一件は噂となってすぐに男子棟に広まっていた。
案の定、施療棟から戻ったカレナードには好奇の目が注がれた。夕食時には早々とナサール・エスツェットがミシコに探りを入れに来た。
「お前ら、昨日殴り合いしたんだってな。班の中で揉め事かい」
「雨降って地が固まるって言うだろ。おかげでV班は一山乗り越えたのさ」
「詳しく話せよ、ミシコ。女子Y班がわざわざ見舞いに来たって、どういうことだよ」
ミシコはそう簡単に口を割らなかった。
「どこにでもある行き違いってやつだよ。それを今回は殴り合いで解決したわけだ。僕たちはそれで気が済んだし、お互いの問題も分かった。ナサール、お前の班にもあり得ることさ」
「やめてくれよ、S班には剛腕が揃っているんだぜ。顔が変わっちまう」
冗談を言いながらも、彼はカレナードをちらりと見た。
「彼がお前らを殴ったって聞いたぞ。力加減が上手いな、いい具合に痕が残っているなぁ、ミシコ」
「そうなんだ、彼は場数を踏んでるかもしれない。君も気を付けろよ」
そう言ったものの、ミシコは遅かれ早かれ新参男子棟の全員に説明する時が来ると予想した。
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