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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第2章「新参訓練生」

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第2章「新参訓練生」25 男と女の間には・その1

「男の子は時々わけの分からないことをするものだけど、これはバカの見本!」
カレナードに再びサロンを占領されたリリィ・ティンは、見舞いに来たV班をこき下ろした。彼女は独り言のように勝手に説明した。
「彼が昏倒したのは、貧血とショックね。あなた達、女性が出産する時にどれくらい出血するか、知らないわよね。月経10ヶ月分よ。つまり妊娠期間よね。
それと同じことを考えてみれば、彼はもうすぐ17歳だわ。初潮が15歳と仮定すると2年分の出血が一度にあったわけ。
ショックで一時的に神経症が起こったとも考えられるわ。認めたくないことを見るまいとして意識を遮断したのよ」
ミシコは憮然として女医の説明を終わらせた。
「ドクトル・リリィ、ごたくはいいから彼に会わせてください」
「ガキはしょうがないわね。まだ輸血の最中よ。静かにしてないと追い出すからね」
ミシコ達はカレナードのそばにマヤルカの姿を見た。燃えるような赤い髪が振り返って、V班の連中を非難の目で見た。ミシコは持ってきたものを差し出した。
「これ…カレナードに食べさせてくれ。貧血に効けばいいんだけど」
それは彼らの故郷から送られていた果物の保存食だった。マヤルカは彼らの頬の傷を見た。
「分かったわ。彼は眠ってるのよ。あとで伝えておくわ。ところで、彼の寝間着はどこなの。着替えは持ってこなかったの」
シャルがアッという顔をした。
「忘れたのね。本当に男って…。彼は裸で寝かされてるのよ。ここが病室じゃなかったら、あなた達の殴られてない方の頬を殴ってやるのに」
カレナードは目覚めていた。彼はもう落ち着いていた。
「ミシコ、ありがたくいただくよ」
ヤルヴィがベッドに駆け寄った。
「カレナード、僕はまだ君から罰を受けてないんだ」
「もういいんだ、ヤルヴィ。マヤルカ、彼らを許してよ。僕もいけなかった。体のことが辛くて、つい意固地になっていたんだ。ヤルヴィ、握手してくれるかい」
カレナードは輸血してない方の手を出した。ヤルヴィが握手を交わし、V班の男達は次々にカレナードの手を握り返した。その中にキリアンだけがいなかった。彼は遅れてきた。頬が腫れていた。ミシコがサロンの外にいる彼を連れてこようとしたが、彼は言った。
「合わせる顔がない…」
カレナードもまたキリアンにだけはためらいを見せた。
女子Y班が見舞いに訪れると部屋は急に華やいだ。ミンシャが手短に挨拶して、着替えや貧血に効く薬丸で見舞った。
オーレリとアラートがカレナードに耳打ちした。
「私達、いろいろ教えるわ。気持ちよく受け取ってくれると嬉しいわ」
ララとルルは喋りたくてたまらない。うるさくするとリリィがさらにうるさくなるので、2人はマヤルカに寄り添って無言でふざけた。まるで子リスのようだった。
男子V班は彼女達を陶然と眺めていたが、ミシコが思い切ったようにミンシャに声をかけた。
「君達が来てくれて嬉しいよ。僕らだけでは彼を助けられないんだ。本当に…これからも…よろしく」
女子Y班の班長はニッと笑った。
「もちろンよ。ミシコ・カレント」
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