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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第2章「新参訓練生」

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第2章「新参訓練生」19 遊びをせんとや生まれけん

ワタクシとしたことが19話をすっ飛ばしていました。申し訳ございません(平身低頭)
「さて、どのように直してやろう。まずは眉だな、剃刀で整えねば」
マリラの手の中で剃刀の刃がきらりと光った。人形に扮しているカレナードは心の中に冷や汗を流しながら耐えた。マリラはすっかり楽しんでいた。彼女は人形の化粧を直し、髪型も変えて花のかんざしを挿した。それらは全て女王の持ち物だった。首から上は乙女のようになった。
「こうなると、ドレスも替えたいものだが…」
マリラが考えを巡らせている最中、突然人形の腹から大きな音がした。それは空腹を訴える腹の虫だった。女王も女官も笑った。人形は少し恥ずかしそうな色を浮かべた。
「アハハハハ。カレナード…そうだ、人形に名前を付けてやろう。カレン、カレン人形はどうだろう。返事をしてごらん、カレン」
カレナードは首を少し傾けて、「はい」と言った。マリラは猫を愛でるようにカレン人形を撫でた。
「よしよし、カレン。お腹が空いているのだな」
「はい」
「夕食は済ませたのか」
「いいえ」
「聞いたか、ジーナ。まだ食膳は下げておらぬな。新しい食器にスープとパンを盛っておやり。果物とお茶も」
女官長は少々難色を示した。
「あれはマリラさまのために作られた食事です。他の者は口に出来ません」
「堅いことを。カレンは人形だぞ。何の不都合があろうか。夕食が整うまでに衣装を替えてしまおう。ベルよ、私はドレスを取って来るから、このイヤリングをカレンに付けなさい」
マリラはそう言うと自分の耳朶からイヤリングを外し、奥の部屋へと消えた。戻ってきた彼女の腕に白い清楚なドレスがあった。それを見た女官達に動揺が走った。衣装係筆頭のアライア・シャンカールがマリラを止めようとした。
「そのドレスはなりません。それはマリラさまのために」
「アライア、そなたが細心の心遣いでこれを用意したのを私は知っている。
だが、これを着た私の後ろ姿を私は知らぬ。だから見てみたいのだよ。そなた達に着せるわけにはいかぬが、人形なら構わぬ。
人形が食べている間は大きなナプキンを掛けるのだ。カレン人形はそれほど無作法はするまいよ。なぁ、カレン」
カレナードは人形の動きでうなずきながら、はいと答えた。派手な衣装を脱がされ、下着だけになった人形は細かった。
ジーナは再度、女王を諌めた。
「マリラさま、どうかこのような例外を作るのはお止めください。生き脱ぎの儀式に使うドレスを女王以外が着ることはあってはなりません」
「ジーナ、私に今宵このような機会をもたらしたのはそなただ。私は嬉しい、人形が私のかわりにこのドレスに袖を通していくのを見れば、春分の日にこれを着る苦しみが少しは軽くなるだろう」
そこまで言われるとジーナは反対するわけにはいかなかった。
カレナードに扮装させて余興のネタにし、ベルと2人で踊るために収穫麦刈り音頭まで練習した彼女だったが、事態は予想外の展開になっていた。
白いドレスはカレナードにとても似合っていた。ジーナとアライアは息を飲んだ。マリラは美しい出来栄えに満足し、人形を食卓につかせた。
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