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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第2章「新参訓練生」

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第2章「新参訓練生」14 何が彼女をそうさせる・その2

女王は何も身に付けていなかった。豊かな髪が胸を隠していたが、張った腰骨とその下に続く太腿が描く曲線はダイレクトに彼の脳裏に刻まれた。カレナードは思わず目を閉じ、あとずさった。見てはならないものを見た畏れがそうさせた。女王は命じた。
「立て!立って私をよくご覧、カレナード・レブラント!」
「お許しください。実習中の事故です。ご無礼をいたしました。どうかお許しを」
「許さぬ。目を開けよ。この私の姿をしっかり見るのだ」
無理無体なことをいう女王だと思った。裸身の女王を見た者が無事でいられるはずがなかった。見れば破滅に近いことが起こるのは間違いなかった。
女王は5度命じた。ついにあらがえなくなり、カレナードは従った。女王の裸体は美しく、また恐ろしかった。
彼は不思議な衝動に襲われた。目を離したいのに離せないのだ。近づきたくないのに近づきたいのだ。彼の思考は止まったまま、立ち尽くした。
女王は突然怒り出した。
「よくも私の浴室を壊し、私の体を見つめ、私の時間を奪うとは!罰を受けろ」
彼女はカレナードの襟元をつかむと、彼を放り投げた。物凄い力だった。投げられた先は広い湯船だった。カレナードは実習服のまま、女王しか使うことのない湯の中へ落とされたのだった。彼は必死でヘルメットを外した。ライト用バッテリーが異常放電していた。それを湯船の外に投げ、肩で息をしながら周りを見た。
女王の浴室は広かった。明るいタイルと多くの植物で彩られ、ガラス屋根を持っていた。優美な温室を思わせた。
彼は湯から出ようとして、ギョッとした。女王がバスローブを羽織り、近づいてきた。彼女はカレナードを足で蹴った。
「浸かっていろ。この!」
彼女は腕を伸ばし、乱暴に彼の頭を湯に突っ込んだ。息が出来なかった。無我夢中で女王の腕を逃れた。水面から頭を上げた途端に、再び彼女の腕が彼を沈めた。いくらか水を飲んだ。そこへ女官達が現れた。
「マリラさま!何事でございます!」
女王はやっと手を離し、カレナードは湯船のへりで吐いた。女王は冷たい目で言った。
「ジーナ・ロロブリダ女官長、狼藉者である」
女官長は壊れた壁とずぶ濡れの新参訓練生を見た。
「逮捕いたしますか」
カレナードはまだ咳き込みながらも、訴えた。
「第7通気口の清掃中に誤って横配管に落ちたのです。どうか監督官にお知らせください」
女官長は女王に頷いてみせた。
「マリラさま、この場は私にお任せを。向こうでアライア女官が整体術の用意をしてございます。新参は湯から出て実習服を絞りなさい。そのまま女王区画を歩かれては、そこら中が水浸しになります!」
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