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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第1章「禁忌破り」

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第1章「禁忌破り」35 岬にて

2日後、うってかわって人影の少ない大公会堂の前に私服のヤッカがいた。
「お前達のいうとおりだった。荒唐無稽などと言って悪かったな。」
マヤルカはしおらく答えた。
「いえ、私達もすぐに分かっていただけると簡単に考えてはいけませんでした。」
この男にあの写真を見られたかと思うと顔から火が出そうだった。ヤッカは勇気のいることだったろうと言った。カレナードは訊いてみた。
「ガーランドに乗るのは難しいでしょうね。」
ヤッカは正直だった。
「ルールだ。ガーランドにアナザーアメリカンを乗せてはならん。秩序のためだ。」
「ガーランドの秩序ですか。」
「それもある。そして、アナザーアメリカの秩序でもある。」
マヤルカがつぶやいた。
「難しいお話なのね。」
「そうだ。お前たちの事情は分かる。だが…詳しく言えないのを許して欲しいが、例外を作るわけにはいかん。そう簡単にはいかん…。どうしたものかな…。」
3人は岬へと歩いた。海上のガーランドが波の反射を受けて光っていた。
「僕達の体には玄街ヴィザーツのコードというものがあるのでしょう。それをなんとかすれば、元に戻れると考えます。ガーランドのヴィザーツはそれが出来るのでは。」
「お前はコードという言葉を知った。だが、コードがどれほど複雑で危険で扱いづらいものであるかはまだ知らん。それに全てのガーランド・ヴィザーツが玄街コードに精通しているとは限らん。
私なんぞは全く分からん。分かっているのは奴らと敵対していることだけだ。」
明るい真昼の光とはうらはらに、気分は重かった。ヤッカが浮き船に戻る時刻が来た。
「私はもう行かねばならん。お前達にしてやれることがないのが残念だ。」
「お話できて、嬉しく思います。来ていただいてありがとうございます、ヤッカさん。」
マヤルカはその気になれば淑女のように言えるのだ。カレナードは航路を訊いた。
「最後に一つ教えてください。ガーランドはこれからどこを通って、次の調停地に行くのですか。」
「秘密は教えられない。が、今から私は勝手に独り言だ。
出航は今夜宵の口、カローニャ南部から東オルニシバレ山脈の南端断崖に沿って、マルバラ領国のキャドルー地方へ向かう。途中のタラ高地で1日停泊。
断崖到達は4日後夕刻の予定。おい、この前みたいな無茶はするなよ。撃ちたくないからな。」
ヤッカは漁船に乗り込み、去った。
「隊長さん、優しいわね。」
マヤルカは漁船が見えなくなるまで、見送った。
その間、カレナードはガーランドへの道筋を見出そうと心に引っかかった事柄を検討し続けた。が、何も見えなかった。
フロリヤのように飛行機を操れるなら、無理やりにでもガーランドの滑走路に着陸してみせる。そして、ヤッカに撃たれるのか。彼は溜息をつきかけた。
「マヤルカ、僕はオーサのヴィザーツ屋敷を訪ねる。」
「1人でいくつもりなの。」
「ちょっと寄ってみるだけだよ。頼みがあるんだ。夕食は美味しいものを食べに行こう。ダナンさん以来の何か暖かいものを。力を付けなくちゃ。店を探しておいて。あまり高くない店がいい。」
「カレナードったら太りたいのね。いいわよ、海岸沿いの露店も覗いておくわ。」
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