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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第9章「飛翔」

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第9章「飛翔」47 クレイジー・キリアン

だが、キリアンは親友の直感を舐めていた。絶対に悟られないと自信を深めれば深めるほど、彼の目は親友を追いかけた。
カレナードに直感の鋭さがなければ、そしてキリアンにもう少しの慎重さがあれば、悪戯とも本気とも分からないキスが露見することはなかっただろう。
二人とも若かったのである。カレナードはマリラの代わりになる存在を無意識に求め始めていたし、キリアンはそれになりたがっていた。まるで符合のように、カレナードはキリアンの望みを見抜いた。
「唇の上を這った蜥蜴は君だったのか、キリアン!」
夕食後、部屋に戻ったアレクたちが見たのは、取っ組み合いになっているカレナードとキリアンだった。班長会に行くはずだったミシコが部屋に飛び込んで、二人の頬を軽く打った。
「ここで喧嘩したらどうなるか知ってるよな。副長キリアン、説明しろ!シャル、ドアを閉めろ」
「見世物じゃねえぞ!」
シャルとヤルヴィが野次馬の眼をふさいだとたんにカレナードが言った。
「キリアンは僕が眠っている間にキスしたんだ。女扱いしないという皆で決めた協定を破りやがって!」
誰もが「まさかキリアンが」と驚いたが、シャルはすぐにニヤリとした。
「ふーん。やっぱりキリアンは好きになってたんだ。そうだろ、キリアン・レー」
赤味を帯びたキリアンの表情が全てを物語っていた。
が、カレナードは怒った。
「キリアン、僕の体が女だから…君は…そんなことをしたのか!」
キリアンは隠さなかった。
「ああ。なぜだろうな、いつの間にか、俺はお前が…」
カレナードの右ストレートがキリアンの頬に当たる前に、アレクの逞しい腕が止めていた。
「悔しいのは分かるが班長に任せるんだ、カレナード」
カレナードは拳を震わせ、床にへたり込んだ。
「キリアンは僕を裏切った…!」
ミシコはキリアンを班長会に連れて行った。その結果、キリアンはV班副長を辞め、T班へ移動することになった。T班はハーリ・ソルゼニンが去ったあとのベッドが空いていたのだが、キリアンに罪の意識があるように見えなかった。彼は班長会で堂々と宣言してしまったのだ。
「僕はカレナード・レブラントが将来的に玄街コード解除できないなら、結婚を申し込むつもりだ」
新参の班長たちはあきれてしまい、どこからともなく『クレイジー・キリー』の呼び名が付いた。
それを伝え聞いたカレナードは余計にすさんでしまった。
ミンシャ・デライラはミシコに言った。
「なンでキリアンを皆の前で晒し者にしたのよ。V班の中で何とか収めりゃ良かったのに」
「ミンシャ、これは新参男子の約束事なんだ。規律優先で行かないと収集がつかないだろ」
「それでもよ。班長の心遣いの見せ所だったのにさ」
「君ならどうしたんだ」
「V班だけでこっそりベテラン助言者何人かに入ってもらうの。マイヨール先生とか情報部副長とか兵站の便利屋とか。こンな問題に特効薬あるわけないじゃン。要はキリアンとカレナードが落ち着いて過ごせりゃいいってことよ。新参の終わりまでひと月と少しなのにさ」
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