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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第9章「飛翔」

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第9章「飛翔」46 幻の牧歌

今回、キリアンが男にキスします。いわゆるBLかもしれませんが、BLと思わずに書いています。要するにジャンル分けの意識がありません。でも苦手な方のためにBL警報を出しておきますね。BLが駄目な方は逃げて下さい!
甲板材料部はテスト終了の打ち上げパーティを地上ですると発表した。キリアンは喜んだ。
「マギア主任らしいな。何もかもが型破りだ」
ホーンも浮き浮きしていた。
「こんな機会でもないと降りられないからな。きっと美味いものがあるぞ、カレナード」
「あ、ああ。楽しみだな」
カレナードはマギアに飛行データの報告先を聞いてみたが、女王の名は出てこなかった。それでも女王が特型飛行艇の報告を受けるはずと期待していた。
「マリラさま、恥知らずの紋章人ですが…少しは役に立っていると知ってください」
パーティは総勢100人を越え、大型飛行艇二台が秋の台地に降りていった。エーリフ艦長は苦笑いしていた。
「やれやれ。玄街にバレてないことを祈るよ、ヨデラハン」
参謀室長は仏頂面だった。
「その危険があればマギアを止めてるよ。しかし、新参まで乗せて行くのは規定違反だ」
西オルシニバレ山脈に点在する放牧地帯は夏のシーズンを終えていた。ヒロ・マギアは大声で言った。
「乾いた牛の糞で火を焚け!湯を沸かせ!」
ホーンはげんなりしていたが、キリアンは故郷での悪戯を思い出して張り切った。あちこちで夏至祭の無礼講よりもっとひどい光景が繰り広げられ、あのヤッカ隊長でさえ頭から発泡酒を浴びせられていた。そのうちホーンが掴まり、甲板材料部お手製のグラススキー滑りに挑む破目になった。キリアンとカレナードは妙なルールのミニハイキングに誘われ、午後の荒れ地を歩き回った。
キリアンは心から楽しんでいた。
「こういう馬鹿騒ぎは嫌いじゃないさ」
カレナードはあくびをした。ハイキングの途中、荒れ地の大岩の上で二人は寝転んだ。温められた岩は天然の寝床だった。カレナードは夢を見た、女王とおぼしき女、あるいはフロリヤ・シェナンディの幻か、誰とも判別しない女の顔が揺らめいた。
キリアンは横になっても眠らなかった。彼は傍らの親友が完全に眠り込んでいるのを確かめると、その唇にゆっくり自分の唇を近づけていった。
カレナードが目覚めた瞬間に、キリアンはもう立ち上がっていた。
「そろそろ行こうぜ。マギア主任のルールだと、俺たち罰ゲームの順番になりそうだ」
「あ、ああ。…なぁ、キリアン」
「どうした」
「寝てる間に…蜥蜴か何か僕の上を這わなかったか」
「いや、知らないな」
そうして道を戻る間中、キリアンは上機嫌だった。その理由をカレナードは知らなかった。
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