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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第9章「飛翔」

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第9章「飛翔」42 あの人に届かない 

ガーランド上層部は紋章人を女王から遠ざけることで一致した。カレナードは納得できず、リリィ・ティンに懇願した。
「付加コードが消滅していると証明してください。あなたなら出来るはずです、ドクトル・リリィ!お願いです、僕はまだ女王の教えが必要なのです。あの方でなければ」
リリィは無表情で解析表をチェックしていた。
「随分とご執心だこと。幕僚全員が事態を最高警戒レベルの中の特級扱いにしたわ。諦めなさい」
「僕の体は調べつくしたのに…。何とか言ってください、ドクトル!」
「拘束室に入りたくなければ、大人しくしてて。勝手に出ていくとすぐに逮捕されるわよ。ほら、あそこ」
リリィが顎をしゃくった先にピードとボルタがいた。施療棟にまで監視の手が回っていることがカレナードの怒りを煽った。が、なんとか飲み込んだ。
「ところで、ドクトル・リリィ。マヤルカと僕の復元作業は可能なのですか」
女医は目を合わさなかった。
「今、最後の検証を進めているところよ。どんな結果が出ても受け入れるしかないわ」
「ウマル医師は何と言ってるのですか。彼は…」
「うるさいわね!ウマルなんか知らないわ!向こうへ行っててちょうだい」
カレナードは隣のサロンへ逃れた。マハが遅い昼食と毛布を持ってきた。
「ここでウマルの名は禁句よ。彼ったら故郷のヴィザーツ屋敷の医療研修会に出張中なんだけど、婚約したらしいの」
「…じゃ、ドクトル・リリィは振られたってことですか」
「彼が戻ったら修羅場になるかもよ。ドクトルは本気で付きあっていたから」
女医の恋が失われかけていると知って、マリラへの思慕が堰を切ったようにあふれた。カレナードはマリラへ短い手紙を書いた。
『マリラさま、あと一度ご教授願います。心よりの望みです。あなたの生徒、レブラント訓練生』
それをベル・チャンダルに渡すよう、マハに頼んだ。
女王は女王で紋章人への教授が残っていることにこだわっていた。
「肝心なことを伝えておらぬ。トール・スピリッツが建造された理由、ガーランドに甲板を増設した理由。この百年で大きく変わったヴィザーツの存在意義を。ジーナ、方法はないのか」
「小さな教本にでもまとめて渡されてはいかがでしょう」
「じかに教える方が間違いがない。これは複雑な問題であることはそなたも分かるだろう」
「存じております。が、なりませぬよ。紋章人に心を許してはなりません」
女王の眉がピクリとするのをジーナは見逃さなかった。
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