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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第9章「飛翔」

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第9章「飛翔」41 ベルの挺身

マリラの内心は、カレナードの口が毒を吐くたびに傷を負った。
彼の中身がグウィネスと分かっていても、苦痛だった。
「グウィネス、お前の脅しは聞き飽きた。ガーランドはそうそう沈まぬ。ウーヴァの加護も力であればな」
「ウーヴァか。大精霊は私にも力を与えているというのに」
「私の目を盗んで生き脱ぎの契約をしたのか」
「ウーヴァと私の取引に生き脱ぎはないが、そちらと同様に生きておる。私は記憶を消しはしない。お前は忘れたのだろう、ガーランドの訓練生だった私を。過去に愛した者を」
「でまかせを言うな。訓練生の記録にお前はいない」
「そうかな。女王に都合の悪い記録など残すまいよ。お前はそうやって過去を歪め、生涯を偽っている女だ。
そろそろこの世から消えろ。浮き船の女王は石のような婆さまだ」
カレナードの顔が哄笑を上げた。マリラは吐き捨てた。
「統率者ならつまらぬ物言いはせぬ。テロリストは礼儀も忘れたようだな」
「テロリストの種はお前が蒔いたのだ。お前が焼いた東西トルチフの民や内乱で追放されたヴィザーツたちの苦難を忘れたとは言わさない」
「恨みに囚われた者は去ね。お前が罪を重ねておらねば哀れに思いなぐさめもしようが、今となってはそれも出来ぬ。」
グウィネスは憤然と椅子から立った。
「ガーランド女王のなぐさめなどいらん。かわりにこの躰はこのままいただいて行こう」
マリラの眉が初めて逆立った。
「ならぬ!その者は!」
「なるほど。よほど大事と見たぞ。ベルの情報どおりにな」
ベルが茶を運んだところだった。グウィネスは盆の上の茶碗を取り、わざと床に落とした。
「痺れ薬入りの茶は飲まん」
そして、小声で何かを唱えた。
「付加コードは外した。カレワランの息子を解放してやる。が、お前が受け取るのは死体だ」
グウィネスはカレナードの襟元からナイフを取り出していた。
「マリラ!次に会う時はお前の死にざまを見てやろう」
マリラが動いた。同時にベルも動いた。ナイフがカレナードの首に突き刺さる直前、グウィネスの気配が消え、ベルの左手がカレナードの首を守った。
「ベル!よくやった!」
傷の痛みを忘れたかのようにベルの口元には笑みがあった。ジーナは紋章人の息を確かめた。
「大丈夫です、傷一つ付いておりません。このまま拘束し、警備隊に渡すのが良いかと」
ベルの傷を止血していたマリラはわけを問うた。
「彼が再びグウィネスに乗っ取られる可能性があります。放置しては危険です」
「グウィネスは付加コードを外した」
「下衆は信用なりません」
「施療棟のウマルとリリィが付加コードの痕跡を確かめてくれる。案ずるな」
「駄目です。艦長と情報部長、それに参謀室長にも連絡を!女王、紋章人への個人教授は打ち切りにいたします!」
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