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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第1章「禁忌破り」

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第1章「禁忌破り」32 ガーランド警備隊

「度胸だめしに来たのなら帰れ。今すぐ帰るなら咎めはないが、これ以上は禁忌破りとみなすぞ。」
マヤルカが懇願した。
「お願いです。私達を助けてください。ガーランドの魔法なら私達にかけられた呪いが解けます!」
「魔法か!勘弁してくれ。地上に降りると必ずいるんだ、こう言うアナザーアメリカンが。」
吐き捨てた警備兵に負けているわけにいかなかった。カレナードは訴えた。
「あなたがたなら玄街のコードを解けるでしょう。ガーランドの方々なら!」
ヴィザーツは互いに顔を見合わせた。玄街のコードという言葉に先ほどとは違う空気が流れ始めた。
「玄街に襲われたというのか。」
隊長らしき年嵩の男が訊いた。カレナードは率直に答えた。
「そうです。僕達は体を作りかえられたのです。僕の体は女に、彼女の体は男に。」
またしても先ほどとは違う空気が流れ始めた。警備兵たちはいきなり笑い出した。
「笑いごとじゃないんです。そうだ、僕の体を見れば分かります。」
カレナードはマントを脱ごうとした。さきほど勘弁してくれと吐き捨てた兵士が怒鳴る。「女が男の服を着て、何を言う。」
「僕は男です。身分証明書と照らし合わせてもらえば。」
「ヤッカ隊長、追い払いましょう。この女は狂ってますよ。」
マヤルカはあきれた。
「玄街が絡んでるのよ。話を聞いて。」
ヤッカ隊長はきっぱり言った。
「禁忌にもかかわらず、勝手な言い分で浮き船に乗ろうとするアナザーアメリカンはいる。だが、お前たちのような荒唐無稽なことをいう奴らは初めてだ。悪いことは言わん。元来た道を戻れ。さもないと体が欠けるぞ。」
彼は銃を構えた。この距離で喰らえば、手足の1本くらいは吹き飛びそうな大きさがあった。カレナードはマヤルカを後ろへ押しながらも、訴え続けた。
「嘘は言っていません。僕達は元の体を取り戻したいだけです。一生がかかっているのです。」
「帰れ、小僧!」
銃の引き金がカチリと鳴った。カレナードはマヤルカを引っ張って走った。まだここで倒れるわけにはいかなかった。
「他に手はないかしら。」
マヤルカは荷物を隠した茂みに戻りながらトラックの群れを見ていた。納品を終えたトラックは山を降り、数は少なくなっていた。ダナンのトラックは帰ったようだった。
「チャンスはまだあるわ、カレナード。野菜と一緒にガーランドに行きましょう。やるだけやらなきゃ。」
2人はトラックの列の最後尾まで行った。人も少なくなっていたのが幸いした。最後のトラックによじ登り、大きなコンテナの中のほうれん草を掻き分けて潜り込んだ。
「けっこう息苦しいわ。」
「しっ!早くほうれん草を戻さなきゃ。」
すぐに2人が入ったコンテナは昇降機で支えられて、搬入用のゴンドラに移った。あとはゴンドラがガーランドに上がるのを待つばかりだ。2人は息をひそめて、その時を待った。
「ずいぶん慌てて入れたんだな。この箱だけ荷が乱れてるぞ。」
ヴィザーツがチェックを入れた。納入業者が言った。
「年内最後の出荷でしたからねえ、農家もわしらも大慌てですわ。出発したときはこんなにばらけてなかったはずなんだが。」
納入業者はさっさと終わらせようと、はみ出したほうれん草を箱に入れて上から押した。彼はカレナードのマントの端をつかんだ。
「何だ、これは。」
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