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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第9章「飛翔」

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第9章「飛翔」19 ヴィザーツの戦争

女王は話した。
「浮き船は情報部を設け、数百人の間諜を古領に送った。その目的は古領に多数ある強制収容所のヴィザーツを古領から奪うことだった。
そうしながら表では各領に調停を持ちかける第三の勢力になったのだ。
最初は外交で介入したのだよ」
「それが調停の始まりですか。古領の記録にそれは見えませんが…」
女王は『アナザーアメリカ古領群』のページをぱらりとめくった。
「成立しなかった調停は表向きの歴史に残らない。成立していたら古領のいくつかは存続していたかもしれぬが、調停はすべて頓挫した。
それでも収容所のコード技術が古領が軍事転用する前に次の手を打てたのは、浮き船にとって良い偶然が続いたからだ」
「何があったのです」
「各領のヴィザーツ政策は裏目に出た。
地上のヴィザーツはしたたかだった。収容所内で彼らはストライキを起こし、偽りをでっち上げてはコード技術を外に漏らさなかった。果敢な抵抗を続けていたのだ。
それら収容所に浮き船の間諜が潜入したのはその頃だ。やがて浮き船と収容所の間で秘密裡に協定が結ばれた。
彼らは領の管理から逃れ、浮き船の地上組織としてコード技術を共有し、マリラ・ヴォーを統括者として受け入れた」
「全ての収容所が受け入れたのですね」
「そうだ。全てでなくては意味がなかった。私は地上ヴィザーツのために現在のテネ城市に最初のヴィザーツ屋敷を建設し、脱出した彼らを厚遇した。その準備に10年近くをかけた。
これ以降、浮き船は古領と敵対した。ヴィザーツを奪った上に、収容所の管理者を少なからず殺してしまったからな。
古領群は逃亡したヴィザーツを取り戻すために休戦協定を結んだほどだ。彼らは必死だった。
私は強化した警備隊で古領連合軍を潰した。テネの郊外に血の河が流れた」
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