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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第9章「飛翔」

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第9章「飛翔」18 バティマンと呼ばれた頃

女王は付け加えた。
「ヴィザーツの第一歩はこうした形で行われた。六古領の強制収容からヴィザーツ集団の形成が始まったのだ」
「これは…アナザーアメリカンの歴史からは消えたものです」
「まあ、そうなるな。古領が消えた時、こうした経緯も共に消えた…というか、消されたのだ」
「消したのは誰ですか。シェドナン奨学生試験のために古領群の歴史も学びましたが、強制収容所の部分はアナザーアメリカンには無用でしょうか」
「無用と考えたのは、ヴィザーツも同じだったかもしれぬ。カレナード、古領群の名を挙げよ」
「あ、はい」
彼は記憶を引っ張り出した。
「カンバの北側に古領ラベル、西北に古領ヴィルアンデ、西にマーキノ、南にヘイゼル。さらに南にネオルがありました」
「カンバを併合したのはどこか」
「ヘイゼルです。併合の手段はカンバ領主家の相続権がヘイゼル家に有ったことですが…」
紋章人は歴史上にまだ調停の記述がないことに気づいた。
「併合は武力制圧だったのですか」
「そうだ」
女王は肯定した。
「浮き船はまだ調停の船ではなかった。創生期において誕生呪をアナザーアメリカに授けた不死の船主が坐す恩寵の船でしかなかった。
人々の篤い信仰と畏怖を受ける船。
呼び名は『バティマン』だったと覚えている。意味はもう分からぬ。バティマンにはもう一つ役割があった。コードに関する情報収集だ」
「では、その頃すでに浮き船はコードの情報を集積し、コード理論を導き出していたと…」
マリラは初めて微笑を見せた。
「ここにいるのがトペンプーラなら、ビンゴと言うだろうな。
浮き船の乗員は全てヴィザーツだった。現在の兵站部とコード開発部の原型はその頃にあったのだよ」
カレナードは素朴な疑問を口にした。
「なぜ古領の管轄下にあったヴィザーツ収容所が浮き船のものになったのですか。古領がヴィザーツを手放すことは誕生呪を得られないことになりませんか。死活問題です」
女王の頬が引き締まった。
「危険な賭けだった。命懸けの賭けをしたのだよ。六古領が崩壊したとき、その人口は半分になっていた。300万人が死んだ。その中には浮き船のヴィザーツも含まれる」
「では、浮き船も戦争に加わったのですか」
「そうだ。トルチフ大火の遥か昔、我々は戦ったのだ」
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