挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第9章「飛翔」

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

328/388

第9章「飛翔」5 火種

トペンプーラは軽く笑った。
「まったく。おもしろくて危険なのはあなたデス。我々の側に飛び込んでくれて幸運でした。
あなたのようなアナザーアメリカンが他にもいるなら、いっそヴィザーツの道を選んでくれませんかね」
「コードを間違って使わないためですか」
「そう。使う人間の数が多ければ多いほど危険デス。要するに数の問題」
カレナードはオルシニバレのヴィザーツ屋敷でも同じ言葉を聞いていた。ミシコの両親のささやき…『数の問題』『数が多すぎる』…ベスティアン・カレントはそう言っていた。
カレナードはそれを反芻しつつ、話題を変えた。
「トペンプーラさん、マリラさまは創生以前の世の中をご存知なのですよね。そこにサージ・ウォールは無く、人々は自由に行き来をしてたのでしょう」
情報部副長も講義を脱線し始めた。
「あなたもそれを考えますか。女王に昔を語られた人間は、2500年前に何があったのか、そして創生以前を想像するのです。
なんという好奇心。
紋章人、めったなことでは女王は昔を語らないのに、あなたは聞いてしまった。この好奇心をどう飼いならしますか」
「それよりも、僕は…女王がなぜ浮き船の船主になり調停を司り、不死を選んだのか、気になります」
「おやおや、それは厄介ですヨ。彼女の過去は放っておくに越したことはないのです」
「過去はそうかもしれませんが、マリラさまは今もこれからも生き続けるのでしょう」
トペンプーラは淡々と言った。
「我々に出来るのは、ヴィザーツとしてまっとうすること。
それが彼女の私人の部分を犠牲にしていることに対して報いる方法と、ワタクシは考えます」
「私人のマリラさまは辛そうです」
「カレナード、そこに土足で踏み込むような真似はかえって女王を苦しめますヨ」
「踏み込むには智恵と心遣いが必要でしょう」
「智恵と心遣い…、どうですかネ。彼女は複雑で難しい、仕事以外のことはネ。
やめておきなさい。
女王を求めるのは死線に立ち続けるようなもの、あるいは鏡に映った花に触れようとするようなもの。危険で虚しいデス」
「鏡の中の幻影ではありませんよ、彼女は生身の人間です」
「カレナード、あなたは紋章人として生かされている。それ自体が奇跡なの。今の状況に満足すべきです。さ、授業に戻りますヨ!」
2人は再び応用重複理論に取り組んだ。
取り組みつつ、トペンプーラは感じていた。
「紋章人は…ハーリ・ソルゼニンと同じような火種を持っている…」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ