挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第8章「刃(やいば)の夏」

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

321/388

第8章「刃(やいば)の夏」55 すべてはマルゴのために

ハーリは昨夜からの緊張と疲労のために震え始めた。
「マ…マルゴ姉さんさ、マルゴ・アングレーだよ、あんたは会ったことないだろうさ!紋章人!」
「知ってるよ、ハーリ。君の大事な人だ」
ハーリの顔が歪んだ。
「何を知ってるっていうんだ!彼女は…彼女が正気を失ったのは、ガーランドの情報部が拷問にかけたからさ!僕の大切な姉さんを酷い目に合わせて気が狂ったんだ。だからさ、僕が代わりに女王代役を消さなきゃ…。死んでくれよ、女王の代わりに!」
ハーリはまた一発撃った。弾が切れた。
「くそっ!」
アヤイが隙を見て逃げた。ハーリは持っていた銃をアヤイに向かって投げ、短銃に持ち替えた。カレナードは叫んだ。
「伏せろ、アヤイ!」
パンパンと乾いた音がホワイエに響いた。ハーリの呻き声が上がった。締め切られた扉の小窓からハーリに向けられた銃口があった。扉が開いて警備隊のボルタが出てきた。
ハーリは倒れていた。短銃ははじき飛ばされ、右手から血が流れていた。彼は必死で起き上がった。左手でナイフを振りながら、掃出し窓からテラスへ出た。アヤイの上半身に体を投げ出していたカレナードは頭を上げた。
ボルタはハーリを追い、問いただした。
「マルゴ・アングレーはどこにいるんだ!ハーリ・ソルゼニン!彼女にショックを与えれば、それだけ回復が遅れるぞ」
ハーリはベランダの端の手すりに寄りかかった。
「嘘つけ!姉さんが回復したって、また酷い目に合わすんだろ!これ以上、彼女を痛めつけるな」
ボルタはハーリのナイフを簡単に叩き落とした。
「馬鹿め!施療部を舐めるんじゃない!」
ボルタが手錠をかけようとした。ハーリは左手を掴んでいるボルタの腕に噛みついた。そして、幅広い手すりの上に立った。手すりの下の空間はすぐ上層天蓋があるはずだったが、天蓋は開いていて、天蓋フレームの下の地上まで30mはあった。
ハーリは自ら命を絶とうとしていた。ボルタはゆっくり立ち上がった。
「そのままじっとしてろよ、ソルゼニン…」
カレナードは急いでベランダに出た。
「ハーリ!マルゴさんが正気に戻ったとき、君がいないとどうなるんだ!彼女が君について病棟を離れたのは、君を忘れていないからだよ」
ハーリはのろのろと振り向いた。
「もう遅い…。手遅れさ、紋章人。僕は…」
カレナードは首を振った。
「聞いてくれ、ハーリ。僕が女王代役をしたとき、君と同じように手すりに乗った人がいた。図書館のミーナさんだよ。彼女の本名はオリガ・ヨセンタ。彼女は玄街のスパイだった…」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ