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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第8章「刃(やいば)の夏」

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第8章「刃(やいば)の夏」53 宮殿の銃声

警笛が鳴った。十ヶ月訓練生は班ごとに統率のとれた動きで隊列を作り、ソカンリの棺の脇に集まり始めた。
ホーンは新参の先頭に立った。
「くそっ!命令遵守だ、仕方ねえ」
リンザは衛兵隊の動きを眺めた。
「ベテランヴィザーツのお手並み拝見だわ。あら、マリラさまよ」
カレナードは移動しながらホワイエと大広間の間にある八つの扉に目を走らせた。女王控室に近い扉に女王と女官達の姿が見えた。
新参達は十ヶ月訓練生の隣に並んだ時、カレナードは小さな乾いた破裂音を聞いた。叫び声が起こり、女官達が女王を取り囲んで控室に雪崩れ込んだ。衛兵達が走り始めた。もう一度、破裂音がした。銃声だった。
訓練生達はその場に伏せた。悲鳴があった。ミシコはミンシャに覆いかぶさった。
「じっとしてろ、ミンシャ!」
リンザとマヤルカは身を寄せ合って伏せていた。カレナードは体を起こして、彼女たちの傍に行こうとした。キリアンが手を伸ばした。
「カレナード、動くな。狙われるぞ」
バルコンの端から小柄な男が勢いよく新参訓練生に向かって来た。盾で武装した衛兵の群れがその男めがけて走った。ナサールが両手で頭を守ったまま叫んだ。
「ハーリ!止まれ!止まるんだ!」
ハーリは衛兵達に銃を向け、数発撃った。その間に訓練生達はホワイエへ逃げ始めた。ハーリは標的を探した。女王を逃した以上、狙うのはカレナードだった。
「女王代役!せめてお前だけでも!」
カレナードは人波に押されてホワイエに出た。どこからかキリアンの声が聞こえた。
衛兵と警備隊員が盾を連ね、避難する訓練生たちの防御壁を作りながら、大広間をじりじりと包囲した。
カレナードは周囲を見回しながら、大勢の十ヶ月訓練生と共に大階段を玄関へと走り下りた。
「くそっ、マヤルカはどこだ。キリアン!ミシコ!リンザ!」
背後から銃声がまた数発聞こえた。
おもてに出ると大通路の向こう側の建物に大勢が避難していた。カレナードは玄関を振り返った。妙な静寂があった。
1人の衛兵が出て来て彼の腕を掴んだ。
「カレナード・レブラントだな」
「そうです」
「一緒に来てくれ」
まだ逃げてくる訓練生がいる中を、衛兵とカレナードは大広間に取って返した。
階段の途中で衛兵隊長が来た。カレナードに防弾チョッキを渡した。彼はそっと告げた。
「ソルゼニンは人質を取っている。君に用があるそうだ。すぐに警備隊がソルゼニンの背後に入る。ゆっくり話をして時間を稼いでくれ」
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