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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第8章「刃(やいば)の夏」

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第8章「刃(やいば)の夏」39 限りなく猥談に近い雑談

ヨーグルトの小瓶を掻き混ぜていたミンシャが言った。
「それで家出したンだ。なンで親に配偶者まで決められるのかしらン。あたしなら嫌なものは嫌って、はっきりさせるわ」
ミシコが首を振りながら返した。
「ミンシャ、君なら余裕でできるさ」
「何にやにやしてンのよ。やめてよね、もう!」
ナサールはコップに水を継ぎ足していた。
「あー、暑いな。V班とY班のおかげで余計に暑い。この先、オスティアへ出たら海の湿気で蒸し蒸しだぜ」
リンザは涼しい顔だった。
「ソカンリが回復するよう祈るわ。彼女が悪い子を全うできるようにね」
ミンシャが賛同した。
「リンザ・レクトー、あンた、意外に好い人じゃン」
「『意外に』を取りなさいよ、『意外に』を。ミンシャ・デライラ」
リンザは優雅に指をのばして美しい爪を光らせた。彼女はカレナードを振り返った。
「それはそうと、紋章人、懲罰終了おめでとう。この前はシャワーに付き合ってくれてありがとう」
キリアンとマヤルカが椅子をがたがたさせた。
「カレナード!あなたって!」
「カレナード!お前は!」
ミシコとホーンとナサールは一斉にカレナードを見詰めた。当の本人は静かにドクダミ茶を飲んでから、しれっと言った。
「女同士だからさ」
キリアンは拍子抜けして、ふらふらと椅子に掛けた。
「まったくお前もリンザも自由だな。俺は負けたぞ。それと、その茶…日焼けに効くっていうけど、臭い…」
マヤルカはまだ呆れていた。
「負けたって何に負けたのよ、キリアン。それで!カレナードったら、彼女の下着姿で目の保養をしたわけね!」
リンザが茶々を入れた。
「あら、シェナンディ嬢。彼が見たのは私の一糸纏わない体よ」
「げふぐふっ!」
男達は噴きだしそうになった。ミンシャは豪快に笑っていた。リンザは勝手に喋った。
「ねえ、カレナード。自分の体を触ってチェックしてるの」
カレナードも周りを気にしなかった。
「V班の部屋で、それは出来ないよ。なぁ、ミシコ、キリアン」
2人は口ぐちに言った。
「毎晩、カーテン引かずに着替えやがって。この野郎」
「寝間着でも胸の形くらい分かるんだぞ、デリカシーってものが無いのか、この野郎」
マヤルカが乱入した。
「しっかり見てるじゃないの!デリカシーが無いのはどっちよ」
「怒るなよ、マヤルカ。視界に入るんだから仕方ないだろ」
「目をそむけたらいいでしょッ!」
ホーンとナサールは「V班…羨ましいというか、赤裸々というか…」と呟き、カレナードの横顔を見た。彼は実習服の襟を大きく開けていた。日焼けした肌と細い首が見えた。
「やばい…。あいつ、女子に見ようと思えば見えないことはない…」
ホーンはもう少しでナサールに肘鉄を食らわせるところだった。
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