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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第8章「刃(やいば)の夏」

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第8章「刃(やいば)の夏」37 甲板上の煙

緊急事態の中、隊長機はガーランドに滑り降りた。
第1甲板の中ほどで、練習機は滑走コースを外れて倒れていた。甲板に150mほど引っ掻き傷があり、脇のテラスがなぎ倒されていた。モス・ツーのマークが付いた左脚がもげて、火の手が上がった。ドルジンはカレナードに指示した。
「少々特殊なコードを使うぞ。よく聞いていろよ。範囲指定のすぐあとで噴射レバーを7秒引け」
「はい。範囲指定のあと、噴射レバーを7秒引きます」
「起動コードから行くぞ。Dicourvertdèeupettir.範囲指定、dunouure-corvoffre-woina 550000&600000&580000. レブラント、噴射しろ」
カレナードはレバーを引いた。
ドルジンの範囲指定は通常のものと違っていた。
モス・ツーの火焔の周りに透明なグリッドが輝き、やや潰れた球体を形成した。その中に隊長機の左手首から消火剤が注入され、噴射が止むと同時に、一気に火焔を押し包んだ。
甲板に緊急車両が出た。そのあとに整備員と救急隊員が続いた。ヤッカは火が静まったのを確認し、ドルジンとカレナードに練習機のコクピットの強制開放を命じた。
「脱出装置が壊れたかもしれん」
横倒しになった練習機は厄介だったが、2人は生き残っている開放スイッチを押した。コクピットの扉が鈍い音を立てて開いた。ソカンリ・ジカが操縦席からずれ落ちて気絶していた。
「ソカンリ、目を開け!」
2人は呼びかけた。ソカンリの瞼が少し動き、カレナードを見た。彼女は何か言ったようだったが、また気を失った。救急隊員が到着した。彼らは解析コードを使った。
「内部出血がひどい。それにしても、よく火災を食い止めたな、ドルジン」
「甲板材料部開発の新しい消火法だ。一発範囲指定と空間固定を組み合わせたやつだ。上手くいってなによりさ」
ヤッカはモス・ツーの飛行記録について管制室と連絡していた。カレナードはティゲル・ピグスが死んだときのように、もう震えてはいなかった。彼は焦げ臭い風の中を運ばれていく担架に駆け寄った。
「がんばれ、ソカンリ。ガーランドに残るんだろ!」
彼女は意識がないまま、施療棟へのエレベーターに消えた。
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