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浮き船ガーランド・第一部 作者:セオ

第8章「刃(やいば)の夏」

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第8章「刃(やいば)の夏」16 清掃懲罰

隊員達は甲板脇へ退避し、黒と金の機体がぐんと迫った。風圧と衝撃が来た。カレナードはドルジンの言葉を思い出し、歯を食いしばった。
「ううっ!」
分厚い防護シートが嫌な音を立てるすぐ横をトールの武装盾が3度通り過ぎた。ヘルメット内部の保護膜が耳を守ったが、轟音の反響はすぐにも鼓膜を破りそうだった。大量の汗が流れ落ちた。
3機が着艦したあと、ドルジン達が来た。
「トペンプーラ副長の凄さが少しは身に沁みたか」
縛めから解放されたカレナードは、蒼白だった。
ドルジンはそれにかまわず、さっさと彼に甲板要員のオレンジ色のヘッドギアとエプロンを渡した。倉庫まで走らせてから、洗浄水の使い方を説明した。
「清掃範囲は第1甲板の発進控え位置から奥の退避壁までの間、乗員待機室、甲板員室、警備隊控室、休憩室、教官室、多目的室、その間の通路すべてがお前の受け持ちだ。朝7時に甲板から始めろ。夕方は6時終了。言っておくが、清拭コードを使いたくなる時期が来る。だが、絶対に使ってはいかん。
貴重な洗浄水は1日に5リットルのみ。
清拭コードが強力に活性化した水だ。皮膚がかぶれないよう、アームカバーをしろ。間違っても口に入れるな。猛烈な下痢になる」
着艦したトールからピード・パスリが降りてきた。彼はカレナードの顔色を見るなり、吐き捨てた。
「無様なツラしやがって。俺達の腕を信用してないな。お前を潰しやしないって分からないのか。さっさと床磨きに行けよ」
その日、カレナードは甲板の至るところで仕事の邪魔になっては叱られた。
キリアンとホーンが訓練を終え、カレナードをエア・シャワーに連れ出す頃にはへとへとになっていた。
ガーランドはベアン市を離れ、夏の大地を睥睨しながら南下を始めた。その速度は極めて遅く時速数km。大山嶺方面の弦街探索のためだった。
カレナードが甲板清掃の懲罰を始めて数日立った頃、彼はV班の部屋で着替えるときに必ず引いていたカーテンを引かなくなっていた。
朝は誰よりも早く起きて学科の自習をしてから携帯食を食堂で受け取り、そのまま第1甲板へ行ってしまうので、隣のベッドのヤルヴィさえ気づかなかった。しかし、夜の点呼の後で寝間着を引っぱり出してから、全員が目のやり場に困った。
シャルがあたふたとカレナードとヤルヴィの間のカーテンを引くために駆け寄った。
「忘れてるぞ、カレナード。」
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